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新生活
冒険者とは
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「しばらくはゆっくりしたいですが、それにはお金を稼がねばなりません」
縁側に三人揃って座り、のんびり空を見上げながら世間話をする。
「なんで? 鉄ちゃんならパパに言えばいっぱいもらえるよ」
ルルの提案に鉄次郎が両手を振る。
「いえ、いつまでもお世話になるわけにはいきません。家を与えてくださったのに、これ以上は。なので、一人で生活できるよう仕事を探そうと思っています」
七十の体では少々不安があるものの、吸収を上手く使用すればある程度の肉体労働も可能だろう。
──早いところ見つけないと、お酒が飲めなくなってしまう。
「老体の私を雇ってくださるところがあるといいですが」
すると、シルアが手をパンと叩いた。
「うちのお城で働くとか! あとは国を出ない冒険者とか」
「お城ですか。それに冒険者とは」
「冒険者鉄ちゃん、絶対カッコイイ」
ルルが拍手をして鉄次郎を見上げる。鉄次郎は頷いた。
「冒険者について詳しく教えていただいてもよろしいですか?」
「任せてください!」
シルアは丁寧に冒険者について説明を始めた。
冒険者とは、文字通り冒険しながら依頼された仕事をこなす職業である。
冒険者になるにはギルドで証明書をもらうことが必要で、それが身分証明書にもなる。国境を越える際は証明書を提示することが義務付けられている。
国内にも沢山の依頼があるため、国内のみで活動する冒険者も多数いる。仕事はピンキリで、植物採集などの簡単なものからモンスター退治の難しいものまである。
鉄次郎は元の世界とは異なる職業に興味深く聞き入った。
「面白そうです。仕事内容もいろいろな種類があるようですから、私にもできるものがあるかもしれません」
どうにか一人で生活できそうな道が現れてほっとする。
──日本に帰る方法が見つからない今、ここで自立して迷惑をかけずに生活をしたい。
ここで三人で食べている菓子も、城からもらったものだ。鉄次郎は手元を見つめ、さっそく明日から活動を開始することにした。
「シルアさん、ギルドの場所を教えていただいてもよろしいですか?」
「OKです。地図を描きますね」
サラサラとシルアが描き進めるが、段々とその顔が暗くなっていった。
「す、すみません。私、絵が苦手なこと忘れていました……」
出来上がったそれは、文字は読めるものの、その横にはペンで描かれた無数の何かが紙を這っていた。鉄次郎が注意深くそれらを眺める。シルアは顔を耳まで赤くさせた。
「これは……動物でしょうか」
「公園です」
縁側に三人揃って座り、のんびり空を見上げながら世間話をする。
「なんで? 鉄ちゃんならパパに言えばいっぱいもらえるよ」
ルルの提案に鉄次郎が両手を振る。
「いえ、いつまでもお世話になるわけにはいきません。家を与えてくださったのに、これ以上は。なので、一人で生活できるよう仕事を探そうと思っています」
七十の体では少々不安があるものの、吸収を上手く使用すればある程度の肉体労働も可能だろう。
──早いところ見つけないと、お酒が飲めなくなってしまう。
「老体の私を雇ってくださるところがあるといいですが」
すると、シルアが手をパンと叩いた。
「うちのお城で働くとか! あとは国を出ない冒険者とか」
「お城ですか。それに冒険者とは」
「冒険者鉄ちゃん、絶対カッコイイ」
ルルが拍手をして鉄次郎を見上げる。鉄次郎は頷いた。
「冒険者について詳しく教えていただいてもよろしいですか?」
「任せてください!」
シルアは丁寧に冒険者について説明を始めた。
冒険者とは、文字通り冒険しながら依頼された仕事をこなす職業である。
冒険者になるにはギルドで証明書をもらうことが必要で、それが身分証明書にもなる。国境を越える際は証明書を提示することが義務付けられている。
国内にも沢山の依頼があるため、国内のみで活動する冒険者も多数いる。仕事はピンキリで、植物採集などの簡単なものからモンスター退治の難しいものまである。
鉄次郎は元の世界とは異なる職業に興味深く聞き入った。
「面白そうです。仕事内容もいろいろな種類があるようですから、私にもできるものがあるかもしれません」
どうにか一人で生活できそうな道が現れてほっとする。
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「す、すみません。私、絵が苦手なこと忘れていました……」
出来上がったそれは、文字は読めるものの、その横にはペンで描かれた無数の何かが紙を這っていた。鉄次郎が注意深くそれらを眺める。シルアは顔を耳まで赤くさせた。
「これは……動物でしょうか」
「公園です」
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