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9-2 闇オークション
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「きみが買い取れ。トウヤの魂を。金なら俺がなんとかする」
「ええっ! 何言ってるの!」
「きみならできる」
「僕にはムリだよ……ルドンがやってよ……」
「俺には別の役目がある。それまではお前に任せる。いいな、頼むぜ」
ルドンの意志の強い瞳に、サクマは下唇を噛みしめた。
そして、ゆっくりと頷く。
鬼や妖怪たちのざわめきが最高潮になったとき。
オークション主催のバッコが高らかに声を上げた。
「さあさあ! 上質の人間の魂をたくさん用意したよ! 今回も栄養満点の、おいしそ~な子どもの魂だよ~! 今ここで落札しないと、いつ手に入るかわからないよ!」
バッコの目の前に、大きな蜘蛛の巣がぶら下がる。
そこには、人間の魂がわんさか捕らえられていた。
これじゃあ、どれがトウヤの魂かもわからない。
「さあ、お立会い! 僕の魂のゆりかごには、およそ百個もの子どもの魂がいるよ。まずはこれ! 塾帰りの子どもの魂だ。食べると頭がよくなるよ! ひとまずは百円から!」
バッコのかけ声と共に鬼たちから「二百円!」「三百円!」と声が上がる。
みるみるうちに、どんどんと値段が釣り上がっていく。
「に、人間の魂が、たったの何百円だなんて……っ?」
サクマは愕然とした。
鬼たちの間でこんな商売が成り立っていたなんて。
なんて恐ろしいんだろう。
「サクマ! 全て落札するんだ! あの魂たちを助けるためにも! その後は……俺に任せろ!」
ルドンのまっすぐな視線に、サクマはゴクリと喉を鳴らす。
自分の手にあの魂たちの行く末がかかっている。
「でも僕、オークションのやり方を知らないけど、大丈夫かな……」
その時、トウヤのスマホが振動する。
「ええっ! 何言ってるの!」
「きみならできる」
「僕にはムリだよ……ルドンがやってよ……」
「俺には別の役目がある。それまではお前に任せる。いいな、頼むぜ」
ルドンの意志の強い瞳に、サクマは下唇を噛みしめた。
そして、ゆっくりと頷く。
鬼や妖怪たちのざわめきが最高潮になったとき。
オークション主催のバッコが高らかに声を上げた。
「さあさあ! 上質の人間の魂をたくさん用意したよ! 今回も栄養満点の、おいしそ~な子どもの魂だよ~! 今ここで落札しないと、いつ手に入るかわからないよ!」
バッコの目の前に、大きな蜘蛛の巣がぶら下がる。
そこには、人間の魂がわんさか捕らえられていた。
これじゃあ、どれがトウヤの魂かもわからない。
「さあ、お立会い! 僕の魂のゆりかごには、およそ百個もの子どもの魂がいるよ。まずはこれ! 塾帰りの子どもの魂だ。食べると頭がよくなるよ! ひとまずは百円から!」
バッコのかけ声と共に鬼たちから「二百円!」「三百円!」と声が上がる。
みるみるうちに、どんどんと値段が釣り上がっていく。
「に、人間の魂が、たったの何百円だなんて……っ?」
サクマは愕然とした。
鬼たちの間でこんな商売が成り立っていたなんて。
なんて恐ろしいんだろう。
「サクマ! 全て落札するんだ! あの魂たちを助けるためにも! その後は……俺に任せろ!」
ルドンのまっすぐな視線に、サクマはゴクリと喉を鳴らす。
自分の手にあの魂たちの行く末がかかっている。
「でも僕、オークションのやり方を知らないけど、大丈夫かな……」
その時、トウヤのスマホが振動する。
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