彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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最終章

最終章-12

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 甘い声をもらすと、座っている客たちは一斉に聞き耳を立てる。

 姿も美しいが、あえかな声も情感をそそる。

 ごくりと、無意識に飲み下した己の唾の音で、男達は赤面した。

 聖はその様子を脇目に収めながら、白い身体をゆっくりと回転させると、白い腕を広げて頭上で組む。

 そうすると、胸筋と腹筋が程よく浮き上がり、晒した脇腹から腰に掛けての筋肉が淫蕩な生き物のように蠢いた。

 なにより、覆う物のない下肢がライトに晒され、綺麗で形の良い臀部や雄芯までもがハッキリと衆目に晒される。

「うぅ……やはり彼自身を買いたいぞ……」

 誰かがそんな呻き声を上げたが、その場にいる殆どのものは同意見であろう。

 この二つとない綺麗な美獣を手に入れ、己の物に出来るのならば――どれだけ金を積んでも惜しくはない。

 それだけの価値が、この傾国にはある!

 ギラギラとした男達の剥き出しの欲望を全身に感じながら、聖は徐々に足を開いて行く。

 そして、頭上で組んでいた腕を解き、白い指をゆっくりと下肢へと伸ばすが――

「あっ」

 一瞬声を上げると、その足元が揺らいだ。

 カーペットのたるみ・・・に、つま先を引っ掛けてしまったようだ。

 やはり立ち姿のままで、自慰を披露するには難しいか?

 第一、脚を大きく開いてペニスをしごいている格好を見るにも、聖が立ったままでは都合が悪い。

 そう判断したオーナー二人は、こくりと頷き合った。

「――誰か、彼に椅子を用意しなさい」

 生唾を呑み込みながら、豊川がそう命じた。

 すると直ぐに、椅子が聖の前にと引き出される。

(……まったく、これじゃあ時間稼ぎにもならねぇな)

 聖は内心で悪態をつきながらも、誘惑する淫婦のように、エロティックに唇をゆがめる。

 次に、椅子の上に片膝をつくと、唇を開けて紅い舌を伸ばして見せた。

 やがて、その舌から滴った唾液が糸を引き、聖自身の胸へとポタポタと落ちる。
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