彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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(こいつの真意は何なんだ?)

 そんな聖の疑念に答えるように、ジンは苦笑交じりに呟いた。

「あんたを見ていたら、余計な小細工はかえってマイナスになると判断したからね」

「なに?」

「あんたの噂は、オレのような下っ端モデルでも耳にしたよ。業界でも、特に力のあるお偉いさんたちを次々虜にしては破滅させる最悪のヴァンプ、伝説の『傾国の美女』だって。初めて聞いた時はずいぶんと大袈裟な仇名だと思ったけど、こうやってあんたを目の当たりにすると……噓じゃなかったんだと思い知ったよ」

 御堂みどうひじり

夜目でも分かるくらいに、美しく麗しい毒の華だ。

 その碧瑠璃の瞳で見つめられるだけで、魔に魅入られたように動けなくなってしまう。

 これで四十路だと言われても俄かには信じられない、瑕疵のない完璧な美貌だ。

 畠山ユウも綺麗な男であったが、こっちのは更に化け物じみた美しさだった。

「事前に顔を知っておこうと、あんたの画像をチェックした時も綺麗だと思ったが、実物は写真とは比べ物にならないな。――あんたは、マジで美人だ」

 ジンの眼差しを受け、聖は訝しむように眉間にしわを寄せる。

「まさか、オレに惚れたから降参する事にしたと、そう言う気じゃないだろうな?」

「ダメなのか?」

「それこそ、嘘をつくな」

 聖は皮肉気に嗤い、ジンの腕から素早く逃れた。

「これでも、そこそこ愛憎の修羅場は場数を踏んでいる」

 眦を吊り上げ、聖はキッパリと言う。

「お前は、オレのことは少しも好きじゃない」

「……ああ、そうだな」

 今度はジンの方が皮肉気に嗤い、本心を語る。


「あんたにオレが・・・惚れたんじゃない。オレの目的は、あんたが・・・・オレに惚れる事だ」
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