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2 Unexpected
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「噓?」
「ああ、その噓の正体が何なのかは、さすがに分からないが」
ジュピタープロは現在、強引にモデル業界に乗り込んでいる。
今は、必死に足場を固めている状況だ。
新参者の定め故、モデル業界の詳しい情報はまだつかめていない。
だから聖が、ジンの事を知らなかったのも不思議ではないが……しかし、聖が『ジン』の話題を耳にしたのは極最近だ。それまで、聞いた事もない名だったのに。
偶然と言えばそれまでだが、やはり違和感は拭えない。
ネオンに映し出される、作り物のような無表情の顔を見遣りながら、聖は問う。
「お前が、ジュピタープロダクションに移籍したいというのは本当なのかもしれない。だが、モデルで成功したいからというのは俄かには信じられん。真の目的はなんだ?」
険を含んだまま詰問する聖に、ジンは無表情のままで応える。
「……あんたとヤクザが、仲良くホテルから出て来た時の写真を見せたらさ……畠山ユウは、オレに別の事務所を紹介するからジュピタープロは諦めろって言ってた。ずいぶん仲が良いんだな、あんたら親子は」
「なんだと!?」
舌打ちをして、聖は吐き捨てる。
「貴様! そんな下らない合成写真で、あの子を脅していたのか!」
「どうして合成だって言い切るんだ?」
「オレなら、そんなヘマはしないように気を付けるからさ。もしもヤクザと一緒のホテルに行ったとしても、入る場所も出る場所もバラバラにして時間も必ずズラす。仲良くヤクザとツーショットなんか、あるワケがない」
その昔、危うくすっぱ抜かれそうになった経験から、聖は今はかなり慎重に行動している。史郎は勿論、一夏と会う時も――――。
少し苦い顔になりながら、聖は断言する。
「――とにかく、お前がユウを脅していた内容がその程度だったと分かった今、これ以上バカ話に付き合ってやる義理もない。ヒモでもジゴロでも、好き勝手に生きて何処かで野垂れ死にしろ」
この男を見ていると、ムカムカして気分が悪くなってくる。
美しい顔を不快気に歪め、聖はそのまま踵を返そうとした。
すると、聖の腕に強い力が加わった。
「待てよ」
「離せ、この酔っ払いがっ」
振りほどこうとしたが、逆に引っ張られてヨロめいたのは聖の方だった。
しっかりとジンに掴まれた腕は、簡単には解けそうにない。
(おかしい? こいつは、足元も危ういくらいの酔っ払いだったハズなのに)
幾ら何でも、そんな酔漢に力負けする訳が無い。
「いい加減にしろ!」
足に力を入れて、腕を引き戻そうとしたが――――
「っ!」
「あんたを直接、取り込むことにするか。そっちが早そうだ」
ジンはそう呟くと、腕の中に絡めとった聖の顔をジッと見つめ、頤に手を掛けた。
抵抗する間もないまま口付けを受け、聖は眉をひそめる。
(こいつは――)
ガリッという音と共に離されたジンの唇からは、血が滴った。
「……キスは嫌いか?」
「お前……」
騙された!
こいつは、全然酔っ払っていない。素面だ!
どうやら、最初からプンプンと漂っていたアルコール臭は、着ている服の方に滲み込ませたものだったらしい。
口付けを受けて分かった。本人からは、酒の香りなどしない。
「女まで連れて、酔っぱらいのふりをしてオレに近づくとは……どういうつもりだ?」
「色々なプランを考えていたからさ。まず、あんたの油断を誘って情報を引き出すか取り入るか。それとも、息子を使って脅すか。とりあえず酔っぱらいのフリをすれば、通行人も急いで素通りしてくれるし」
ずいぶんと、計算して聖に接近して来たらしい。
しかし、それをどうしてここで暴露した?
これまでの努力も計算も、全てがご破算になるのに。
「ああ、その噓の正体が何なのかは、さすがに分からないが」
ジュピタープロは現在、強引にモデル業界に乗り込んでいる。
今は、必死に足場を固めている状況だ。
新参者の定め故、モデル業界の詳しい情報はまだつかめていない。
だから聖が、ジンの事を知らなかったのも不思議ではないが……しかし、聖が『ジン』の話題を耳にしたのは極最近だ。それまで、聞いた事もない名だったのに。
偶然と言えばそれまでだが、やはり違和感は拭えない。
ネオンに映し出される、作り物のような無表情の顔を見遣りながら、聖は問う。
「お前が、ジュピタープロダクションに移籍したいというのは本当なのかもしれない。だが、モデルで成功したいからというのは俄かには信じられん。真の目的はなんだ?」
険を含んだまま詰問する聖に、ジンは無表情のままで応える。
「……あんたとヤクザが、仲良くホテルから出て来た時の写真を見せたらさ……畠山ユウは、オレに別の事務所を紹介するからジュピタープロは諦めろって言ってた。ずいぶん仲が良いんだな、あんたら親子は」
「なんだと!?」
舌打ちをして、聖は吐き捨てる。
「貴様! そんな下らない合成写真で、あの子を脅していたのか!」
「どうして合成だって言い切るんだ?」
「オレなら、そんなヘマはしないように気を付けるからさ。もしもヤクザと一緒のホテルに行ったとしても、入る場所も出る場所もバラバラにして時間も必ずズラす。仲良くヤクザとツーショットなんか、あるワケがない」
その昔、危うくすっぱ抜かれそうになった経験から、聖は今はかなり慎重に行動している。史郎は勿論、一夏と会う時も――――。
少し苦い顔になりながら、聖は断言する。
「――とにかく、お前がユウを脅していた内容がその程度だったと分かった今、これ以上バカ話に付き合ってやる義理もない。ヒモでもジゴロでも、好き勝手に生きて何処かで野垂れ死にしろ」
この男を見ていると、ムカムカして気分が悪くなってくる。
美しい顔を不快気に歪め、聖はそのまま踵を返そうとした。
すると、聖の腕に強い力が加わった。
「待てよ」
「離せ、この酔っ払いがっ」
振りほどこうとしたが、逆に引っ張られてヨロめいたのは聖の方だった。
しっかりとジンに掴まれた腕は、簡単には解けそうにない。
(おかしい? こいつは、足元も危ういくらいの酔っ払いだったハズなのに)
幾ら何でも、そんな酔漢に力負けする訳が無い。
「いい加減にしろ!」
足に力を入れて、腕を引き戻そうとしたが――――
「っ!」
「あんたを直接、取り込むことにするか。そっちが早そうだ」
ジンはそう呟くと、腕の中に絡めとった聖の顔をジッと見つめ、頤に手を掛けた。
抵抗する間もないまま口付けを受け、聖は眉をひそめる。
(こいつは――)
ガリッという音と共に離されたジンの唇からは、血が滴った。
「……キスは嫌いか?」
「お前……」
騙された!
こいつは、全然酔っ払っていない。素面だ!
どうやら、最初からプンプンと漂っていたアルコール臭は、着ている服の方に滲み込ませたものだったらしい。
口付けを受けて分かった。本人からは、酒の香りなどしない。
「女まで連れて、酔っぱらいのふりをしてオレに近づくとは……どういうつもりだ?」
「色々なプランを考えていたからさ。まず、あんたの油断を誘って情報を引き出すか取り入るか。それとも、息子を使って脅すか。とりあえず酔っぱらいのフリをすれば、通行人も急いで素通りしてくれるし」
ずいぶんと、計算して聖に接近して来たらしい。
しかし、それをどうしてここで暴露した?
これまでの努力も計算も、全てがご破算になるのに。
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