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団長&副団長 × アミル
嫉妬 ★
しおりを挟む魔獣飼育関連の書類をあらかたまとめ終えた頃、中央騎士団の本隊が町に到着した。
彼らはこれからが本番だ。
謹慎している騎士たちへの聴取や内部資料の確認など余罪がないか洗い浚い調べられるだろう。
アミルたちは引き継ぎを終え、ようやく帰還の目処が立った。
随分長い任務になったと思う。
遠征に出た頃にはまさかこんな大問題が隠れているとは思わなかった。
先輩たちもやっと帰還できるとほっとした顔をしている。
書類仕事に忙殺されてだいぶ疲れた顔をしていた団長もこれで終わると嬉しそうだった。
詰め所で使用していた備品の確認していると、廊下の向こうからやって来たカイルがアミルを引き止めた。
「や、アミル。 備品の確認?」
「はい、結構な長丁場になったのであちらこちらに散らばっていて」
途中から詰め所を使うことになったから余計に。
自分たちが使いやすいように身の回りに品物を置いておく人が多くて取りこぼしがないように確認するのも一苦労だ。
「ああ、好き勝手に広げてるのがいたっけ。
個人の持ち物なら放っておいてもいいけど備品だからね」
頑張ってと労われてありがとうございますと答える。
「それが終わったらようやく帰還できるから」
よろしくと続いた言葉に頷く。
早く済ませてしまおうと礼を取って通り過ぎようとしたところでカイルに軽く手を引かれた。
振り向く前に首筋に柔らかなものが触れ、ちりっとした痛みが走る。
「……!?」
痛みがあった場所を押さえ振り向くと、笑みを浮べたカイルが顔を近づけ囁いた。
「アミルずっと我慢してたでしょ。
戻ったら好きなだけあげるから。
予約」
押さえた手の上から触れた箇所を指で叩き含みのある笑みを向ける。
こんな廊下で何をするのかと思うのに。
何も言えず、口を開いては閉じるだけだった。
備品の確認を終え仮の団長室として使っている部屋に戻る。
押収書類の類いは中央騎士団に提出したので部屋は大分すっきりしていた。
出かけているのか、団長の姿はない。
戻ったら確認してもらえるよう机に書類を置きメモをしていると、扉が開く音がして団長が入ってきた。
「アミルか、どうした」
「備品の確認が終わりましたので書類の確認お願いします」
手振りで書類を渡すよう言われたので書類を手渡す。
「うん、大丈夫だ。
各隊に同じ物を渡して荷物をまとめるよう伝えてくれ」
はい、と返事を返して書類を受け取る。
そのまま部屋を出ようとしたところで、肩を掴まれた。
わずかな驚きを浮かべながら振り向くと、耳に底冷えするような低い声が聞こえてきた。
「……カイルといたのか?」
「え?」
備品の確認をしている時に会いましたけど。そう告げる前にひたりと腹に当てられた手の平に言葉が止まった。
肩を掴む手が反射的に身を引こうとしたアミルを壁に縫い留める。
「団長……?」
何かあったのかと問うように呼ぶと怒ったようにも見える無表情で手を動かし始めた。
団長の手がはだけさせた制服の隙間から入り込み、直に肌に触れる動揺に息が上擦る。
「えっ? あっ……」
腹を腰を撫でる手の熱さにびくりと震える。
カイルのように殊更に興奮を煽るような触れ方ではない。
それなのに、団長に触れられているというだけでじわりと体温が上がっていった。
腹を腰を撫でる手の熱さにぴくりと反応してしまう。
アミルが反応を返す度に手の動きが大胆になっていく。
「っ、……ふ」
指の背で口を押えて声が漏れるのを堪える。
どうして?
混乱する頭でこの状況に到った糸口を掴もうと団長を窺う。
「……!」
びくんっと身体が跳ねた。
見上げた瞳に熱が宿っていることに一気に昂っていく。
見下ろす団長もアミルの身体の反応に気づき、吐息に混じった欲が強まった。
張り詰めた箇所へ団長の手が伸び、ひゅっと息を呑む。
「あっ、ああっ!」
布の上から刺激され、抑えようもなく快感の声を上げる。
目の前の光景が信じられなくてただ快感に身を震わせた。
「だめっ、だめですっ……」
悲鳴のような声を上げ懇願すると声に剣呑な響きが混じった。
「カイルには許すのに俺には駄目なのか?」
「ああっ!」
上から揉まれて必死に快感を堪える。
「違っ、違いますっ! ……っう」
指先が先端に近い場所を撫で、達しそうな快楽を与えた。
びくびくと身体を震わせ耐える。
「団長待って、待ってください!」
すっと目を細める団長に、触られるのが嫌なわけじゃないと釈明しながら嬲る手を押しやり止める。
「汚しちゃうから、これはダメっ、です」
制服が、と切れ切れに訴えると今にも快感を吐き出させようと導いていた手が止まった。
「……ベルト外していいですか?」
「……ああ」
もう恥ずかしいとか考えていられなかった。
吐息のような了承を聞いて自らベルトを外す。
取り出したペニスはすっかり勃ち上がり、濡れた先端が淫らに快楽を享受していたことを表していた。
アミルが自分で触れるか迷う間もなく団長の手がアミルのペニスに伸びる。
「……っん」
大きな手に握られただけで零れた雫が団長の手を汚していく。
びくびくと脈打つペニスが団長の手の感触を伝え、快感に変換してしまう。
動かされてもいないのに身悶えし快感の声を漏らす僕に団長が欲の混じった息を吐いた。
「あっ、団長……っ」
「触れてるだけなのに気持ち良さそうだな」
揶揄するような言葉に熱が上がる。
団長にはそんなつもりはなかったらしく、それ以上何も言わずゆっくりと手を動かし始めた。
太い指が僕のペニスに絡み、扱き上げる快感に何も考えられなくなっていく。
「あっ、ああっ、~~~っ!」
団長の与える刺激にアミルはすぐに達した。
吐精が団長の大きな手に受け止められる。
あまりの快感に、達してからもしばらく放心状態から戻れなかった。
荒い息を吐いて快感冷めやらぬ身体を落ち着かせていると団長の兆しが目に入った。
この前と同じように前を張り詰めさせ、アミルを見つめている。
ぞくりと背を走る感覚が、アミルに常にない行動を取らせた。
「……触れても、いいですか」
そう言いながら手を伸ばす。ベルトの金具に触れる寸前、団長が自らベルトに手を掛けた。
現れたペニスに圧倒される。
脈打つ太く逞しい存在にこくりと喉が鳴った。
「……っ」
団長のペニスを両手で包むと頭上から吐息が聞こえた。
指を絡め上下に扱くと団長から漏れる息が荒くなる。
聞こえる吐息を頼りに手を動かしていく。
吐息に快感が混ざっていくことがアミルの動きを大胆にさせた。
「っ、アミル、出る……っ」
快感の混ざる声で団長が限界を告げる。
受け止めるのは間に合わない。そう思う間に団長が身を震わせ、散るはずだった精を僕のモノで汚れた手で受け止めた。
荒い息と気まずい沈黙が部屋に落ちる。
渡したタオルで団長が二人分の精で汚れた手を拭うのを見つめアミルも自分の着衣を直す。
身を整える間二人とも無言だった。
どうして触れたんですか、そう何度も頭に浮かんだけれど口からは出ない。
「……すまなかった」
謝る声に顔を上げる。
団長は僕が見てもはっきりわかる後悔を浮かべていて胸が苦しくなる。幻滅されて当然だと思うのに傷つく自分に嗤いたくなる。
けれどアミルが自己嫌悪に陥っていたのは次の言葉を聞くまでだった。
「無理矢理に最低なことをした、お前が望むなら訴えてもらっても……」
「イヤじゃなかったです!」
後悔に見えたのが自己嫌悪だと知って慌てて否定する。
だってアミルは嫌じゃなかった。
どうしてなのかとか疑問はあっても。団長に触れられたことを厭う気持ちは全くない。
「イヤではなかったですし、その、……気持ち良かったです」
何と言ったらいいのかわからなくて思ってたことをそのまま言う。
なんてことを言っているのかという恥ずかしさはもちろんある。けれど団長の自責を止める方が先だった。
「驚いたのは確かですけれど、すごく気持ち良くて、興奮して。
団長もそうなんだって思ったら嬉しか……っ」
驚きに目を瞠る団長が目に入り一気に顔が熱くなる。
「と、とにかく本当にイヤじゃなかったですから!」
もうそれ以上言い募ることはできなくてそれだけ言い捨てて部屋を出る。
誰にも見咎められない場所まで走り抜けて蹲る。羞恥と混乱でどうにかなりそうだった。
言うに事欠いてあんなことを口走るなんて、本当に淫乱だと思われてしまう。
けれど、もう自分でもそれを否定できない。
カイルに酷く弄ばれても快感を得、それらを団長に見られても興奮してしまうほど淫らで。
先ほども団長に触れられて、ダメだと言いながら身体は正直に快楽を求めていた。
どうかしていると思うし、そんな自分を忌まわしく感じる気持ちもある。
ただそれよりも……、思い出す手の熱さに高揚する気持ちの方が強かった。
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