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団長&副団長 × アミル
お願いだから ★
しおりを挟む近づいてくるカイルの手をただ見つめる。
殊更にゆっくりな動きに、自分が拒否をしていない事実を突きつけられた。
触れる直前、ほんのわずかに手が止まる。
拒否しない僕へ笑みを深め、カイルの手がベルトに掛かった。
外で、とか。
誰か来るかも、とか。
静止する理由はいくつも頭をよぎるのに。
何も言葉にはならなかった。
やわりと握られてすぐに反応を見せる。
「ああ、久しぶりだからかな、反応が早いね」
蜜を零し始めた先端を指先でなぞりながら笑う。
快感を悦び雫を零す。どう誤魔化しようもない。
アミルの身体はこの手を待ち望んでいた。
指でゆるく作られた輪が締められたり緩められたりしてアミルの反応を引き出していく。
「……っ」
「気持ち良い?」
カイルの問いにも言葉を返せない。
荒くなっていく息を抑えるだけで精一杯だった。
「ねえ」
「……っ!」
咎める声と共に輪が強めに締められる。
びくびくと身体を跳ねさせて悶える僕をカイルの目が見つめていた。
「あ……、……っ」
止まった手の動きに何か言わなければと口を開く。
けれどアミルが何か言う前に低い声がその場に響いた。
「何をやっているんだ……」
「――!」
聞こえた声にびくんっと肩が跳ねる。
上げた視線の先、カイルの背中越しに僕の姿を見下ろす団長の姿に息を呑む。
ズボンの前だけを寛げて取り出したペニスをカイルに握られた姿。
夜の訓練場の片隅で淫蕩に耽る、言い逃れもできない状況だった。
「なんですか団長、邪魔しないでくださいよ」
硬直するアミルや怒りの顔で見下ろしている団長を余所にカイルだけが平常通りだった。
首だけで団長を振り向いてそんなことを言う。
手もアミルのペニスから離さず輪で戒めたまま。
「カイル……っ、離して……っ!」
意識すると手の感触を強く感じてしまう。
「えー、何で?」
「……んぅっ!」
きゅうぅっと締め付けられて声が出る。
「あっ、お願……、止めて……っ」
団長の目の前でカイルにペニスを刺激されることに激しい羞恥と快感を感じた。
「……本当に?」
耳に落とされた囁きにぞくりと背を何かが走った。
カイルが半身をずらし、団長からアミルの身体が見えるようにする。
「……っっ!!」
見下ろす団長と視線がかち合う。
怒りではない強い視線に身体が熱くなっていく。
握られただけのペニスからとろりと蜜が零れた。
「……っぅ」
「あ、感じた?」
アミルって団長の視線に弱いよねと耳元で笑われて首を振る。
「カイルっ! 止めてやれ!」
団長の怒号が落ちてもカイルの笑みは崩れない。
つうっっと指でなぞられて口元を押さえて仰け反る。
「……っ、……!!」
跳ねる腰をカイルの腕が押さえ、まるで団長に見せつけるようにゆっくりと指を滑らせていく。
そんな微細な刺激にもアミルの身体は敏感に反応を返す。
――おかしい。
こんな、団長に見られながらカイルにペニスを弄ばれている異常な状況。
そんな状況に快感を得ているなんて。
「あ、ああ、あ……っ、……やあっ!」
羞恥と、それでも昇る快感に涙が滲む。
「カイルっ! いい加減に……っ!」
「あんっ!」
団長が足を踏み出したのと同時に快楽を与えられ声を上げる。
びくんと震えた僕に団長の足が止まる。
「団長、止めないでくださいよ」
僕に快楽を与えながらカイルが笑う。
「……お前っ!」
「アミルだってこんなところで止められたら辛いでしょ?」
せき止めながら快感を与え続ける手に身悶え腰を揺らすアミルをカイルの声が唆す。
『……イかせてほしい?』
そう囁く声に雫が零れた。
根元を戒める指に解放を待つペニスが、堪える快楽に震える。
カイルの指に締め付けられる感触とペニスの脈動をはっきりと意識させられぶるりと肩が震えた。
「ねえ……?」
「あ……」
もう僕は完全にカイルの作り出す空気に飲まれていた。
ゆるゆると顔を上げ近くで見下ろす団長を見つめる。
目が合ったと同時に反応するペニスをカイルの手が押さえ快楽を吐き出させるのを止めた。
「……アミル」
団長の視線を受けて身体が燃えるように熱くなり、思考がぼんやりとしていく。
快楽を知った奥が疼き身体の熱が上がったのはきっと錯覚じゃない。
熱に浮かされた思考そのままに口を開く。
「団長……」
団長の目が僕を射抜いた。
手を伸ばせばきっとカイルから引き離し助けてくれる。
――けれど。
「お、願い、です……」
――助けて。
その言葉は違う意味を持って発せられた。
「……っ!」
アミルの答えにカイルの手が動き出す。
「んぅっ……」
快感に抗えずに甘い声を漏らす。
もう止める声は上がらず、速さを増したカイルの手がアミルを追い詰め頂きに昇らせていく。
肌を焼くような団長の視線。
せき止められていた快感が一気に押し寄せてくる感覚に堪えられず、アミルは身を震わせ絶頂する。
飛び散った飛沫が快感の深さを物語っているようだった。
荒い息が段々と落ち着いて来る。
それと同時になんてことをしてしまったのかと青褪めた。
恐る恐る団長を見上げると熱の宿った目でアミルを見つめていて、その視線にまた熱が溜まっていく気がした。
はあっと熱い息を吐くとカイルの手がアミルの肩を引き寄せる。
「俺も満足させてほしいんだけどなー」
耳に吹き込まれる囁きにびくんと震えると団長がカイルの腕を掴んで引きはがす。
「お前、いい加減にしろよ!」
「なんですかちゃんと同意だったでしょうが」
「あれが同意なわけないだろうが!!」
制服の首元を掴んで揺さぶる団長にカイルが首を傾げる。
本気で言ってる……。わけではないんだろうな、団長をからかっているだけで。
軽く身を清めて着衣を正しながら二人を眺める。
「あ、服直しちゃったの?
これからだったのに」
「させるわけがないだろ!」
俺はまだ発散してないんだけどと文句を言うカイルにふざけるなと団長の怒りが飛ぶ。
カイルにさっさと部屋に戻って自分で処理しろというと団長はアミルの腕を掴み歩き出す。
戸惑いながらカイルを振り返ると『また今度ね』と口で告げられぞわりと背が震えた。
次は何をさせられるのかという恐れ。それに快楽への期待が混ざることは気づかないふりをする。
そのままアミルは団長に部屋まで送られることになった。
自室の前で団長から注意を受ける。
真剣な忠告なのが申し訳なく、心苦しい。
「アミル、カイルに無理を言われたらちゃんと断るんだぞ。
なんなら殴っても良いからな」
「いえ、それはちょっと……」
カイルにアミルの攻撃が通じるとは思えないし、逆に捕まえられて弄ばれる予感しかしない。
思案していると団長の声が真剣さを増す。
「どうしても逆らえないなら俺のところに逃げて来い。
俺がどうにかしてやるから」
「え?」
カイルから庇ってやると言っているだけだと頭では理解している。
なのに、別の意味を読み取ろうとしている自分がいた。
自己嫌悪に陥りながらこれ以上幻滅されたくないと否定の言葉を口にする。
「いえ、団長にご迷惑をかけるわけには……」
「あのなあ、放っておく方が気になるだろうが」
アミルの言葉を遮って団長が難しい表情で顔を覗き込む。
「目の前でカイルに付け込まれてる姿を見てそのままにできるか!」
心配されている事実を嬉しく思うと共に……。
苦く、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
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