上 下
30 / 69
副団長 × アミル

名前の付けられない関係 ★

しおりを挟む
 

 カイルが入ったのは倉庫のような部屋だった。

「ここ……」

「ごめんね、ベッドがある方がよかった?」

 それはベッドの方が良いけれど素直に肯定しきれず視線を外す。
 ふ、と笑ったカイルがおいでと誘う。
 壁に背を付け座ったカイルの前に膝を付くと不思議そうにわずかに目を丸くした表情が目に入った。

「なんか珍しく素直だね。
 初討伐でそんなに高ぶっちゃった?」

「そうかも、しれません……」

 カイルの声に肯定を返しながらも内心では違うと感じていた。

「そう、じゃあもう言える?」

 いつもの言葉を言わせようとしてくるカイルに薄く唇を開く。
 けれど言葉は発せない。
 代わりにカイルの膝にもう硬くなっている部分を擦りつけた。
 言葉でないおねだりにカイルが口元を吊り上げる。

「脱いで?」

 汚しちゃうと後で大変だからねと囁くカイルの声に痺れた思考で制服のボタンを外していく。
 まだ触れてもらう前から全ての肌を晒すのは初めてのことだった。
 カイルも制服を脱いで裸身を晒す。細身に見えても僕より遥かに逞しい身体の中心には自分の中に迎えたことがあるとは信じられないほど大きなモノが勃ち上がっていた。
 視線を逸らせない僕にカイルが軽く首を傾げる。しばらくしてああ、と何か納得する。

「そういえば何もわからなくなっちゃう前に見るの初めてだった?」

 こくんと頷くと安心させるようにいつも入ってるモノだから怖くないよーとからかう。
 そのからかいのはずの言葉さえ興奮材料にしかならなかった。

 カイルの前に膝立ちになって愛撫を受ける。
 舌で乳首を嬲られながら下に指を入れられる。
 指で弄られることが多かったいつもと違い濡れた柔らかい舌が乳首を刺激する感触に頭が溶けそうなほど気持ち良さを感じた。

 零した先走りを使いぬるつく穴をカイルの長い指が出し入れを繰り返す。

「~~~~~っ!」

 更なる刺激を欲して揺れる腰を持て余しカイルの肩に縋りつく。
 抱き着くような姿勢になるのが嫌で片手をカイルの肩に乗せ、もう片方の手でカイルの二の腕を掴む。

「ああっ!」

 ぐりっと大きく中を刺激されて肩に乗せた自分の手に額を擦りつける。
 体重をかけるところのないこの姿勢は辛かった。
 なのに止めてと言えない。
 気持ち良くて、この後に来る快楽が待ち遠しくてただカイルが与える刺激に耐える。

「カイルっ」

 もう待てないと名前を呼ぶ。
 けれどカイルの答えはいつもの通り非情だった。

「まだ早いよ」

 気持ち良くなりたいならもうちょっと待ってねと幼子に諭すような口調で言われて嫌々と首を振る。

「んー、仕方ないなあ」

 困ったように眉を寄せ僕の顔を見つめる。
 こんな風なカイルの顔を見つめるのも初めてだ。だっていつもは逃れようとして、逃れられなくて何もわからなくなってしまうから。

「じゃあ先に一回こっちでイかせてあげる」

「あぅっ!」

 そう言って僕のペニスに手を伸ばすカイル。柔らかな手つきで撫で、緩く輪にした指で扱かれるとあっという間に達してしまう。
 どろりと零れた白濁を掬い僕の中へ再度指を入れる。指で探りながら「まあいけるか」と呟いたカイルが残った白濁を自分の猛ったペニスに塗り付ける。その淫靡な光景から目が逸らせない。

「……おいで」

 カイルの手が僕の腰を引き寄せる。
 膝立ちだった僕は難なくカイルの腕の中に引き寄せられた。
 宛がわれた熱を早くと催促するように中が蠢いた。

「はっ、あ……、あ、どうして?」

 いつものように一気に貫くのではなくゆっくりゆっくりと埋め込んでいく。
 その緩慢な動きにカイルのモノを飲み込んでいく様子をまざまざと感じさせられる。

「だって一気にしたら多分まだ痛いよ」

 だからゆっくりねと言いながら押し込んでいくカイル。
 気持ちイイ。なのにいつものような自分を失うほどの快楽は与えられない。

「こんな……っ」

「ん? 大丈夫だよ。
 最後はちゃんと強く奥まで突いて気持良くしてあげる」

 その言葉に喜んだのか中が急に緩みカイルのペニスをぐぐっと飲み込んだ。

「あ、そんなに欲しかったんだ。
 ごめんね」

 でもまだ駄目だよと告げるカイルの声は冷静で、全部を埋め込まれるまでにはまだ時間がかかった。





「はっ、はあっ……」

 じわじわとした甘い刺激に耐え、ようやくカイルのモノを全部埋め込まれる。
 みっちりと埋め込まれた質量にこんなものがいつも入っているなんて信じられないと改めて思った。
 あんなにすんなりと受け入れ何度も奥まで貫かれたモノが、もう動く場がないというように詰まっている。

「……流石にいつもよりキツイね」

「ああっ!」

 ほんのわずかだけ身じろぎしたカイルの動きに圧迫された内壁が押し返そうと圧を掛ける。

「んぅっ……、ん」

 鎖骨の辺りに吸い付かれ小さく身体を揺らす。
 舌を伸ばしぺろりと舐められた乳首への刺激に仰け反り歓声を上げる。

「ああっ! あっ、んぅっ!」

 まだ動かれてもいないのに快感の声を上げているのが恥ずかしくて唇で指を食んで声を堪える。

「せっかくなんだから声聞かせてよ。
 ここ、誰も来ないし」

 ね?と告げると共に腰を動かし始めた。
 ゆるりとした動きに内壁を擦られてカイルの肩に縋りつく。
 もっと激しく動いてほしいのに緩やかな動きしかしてくれない。

「あ、ああっ、あうっ!」

 震える脚でカイルの動きに耐える。
 そのはずだったのに、いつしかアミルはカイルの動きに合わせるように自分で腰を揺らしていた。

「自分から動いちゃうんだ」

 本当に我慢できなかったんだねと笑う声には苦笑めいた響きがある。
 表情にはそれを裏切る楽し気な色。

「どこが気持ちイイ?」

 肩口に顔を埋める僕にカイルが囁く。

「わ、からな……っ、そんなのっ
 でも、ここ……、んぅっ!」

 ほんのわずかだけ浮かせた腰を落とし中を擦る。
 それだけで痺れるような快感が走った。

「アミルそんなに突かれるの好きだったんだね」

 いっつも嫌しか言わないからわかんなかったと吐息混じりに耳をくすぐられる。
 ――違う。好きじゃない。

「好きじゃ、な……」

 好きじゃない、けれど――。

「好きじゃないけど気持ちイイ?」

「……ぅん」

 肯定なのか吐息なのかわからない僕の答えにもカイルは楽しそうに笑った。
 そして僕の腰を掴み浮かせると、一気に奥まで貫いた。
 先ほどまでの緩やかな動きではなく急に激しくなった動きに歓喜の悲鳴を上げる。

「ああああああっ!!」

 散々焦らさた身体はその一撃だけで限界を迎え、カイルの腹に白濁を散らして達してしまう。
 しっかりと割れた腹筋に飛んだ飛沫にしまったという思いとは別に……。
 自分がカイルを汚したんだと喜びにも似た仄暗い何かが浮かぶ。
 これまでのように一方的に高められ心ならずも受け入れたわけじゃない。
 アミル自身が望んでカイルを迎え入れた。


 達したばかりの身体を揺さぶられ快感に悲鳴を上げる。

「あああんっ、あっ、あうっ!」

「イイ? ならイイって言って?」

「あっ、良、い……!」

 カイルの囁きに途切れ途切れにイイと答える。
 あれだけ厭い避けた言葉なのに、意思を持って発する。
 ぐちゅりと音を立てカイルのペニスが僕の中を穿つ。

「あっ、ああっ、イイっ!」

 中を擦られる感触、奥を叩くペニスの熱さをはっきりと感じる。
 自分の中が収縮し締め付ける度に快感を得た。
 受ける快感を認識すると自分の身体の反応まで理解できる。
 アミルの身体は正直に快感を求めていた。
 理解するほどに感覚は鋭敏になり、快楽を求め受け止め高ぶっていく。
 カイルの吐き出したモノを奥で受け止めた時には何度達したかわからないほどだった。

 この日、僕の中でカイルに対する何かが変わった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

【騎士とスイーツ】異世界で菓子作りに励んだらイケメン騎士と仲良くなりました

尾高志咲/しさ
BL
 部活に出かけてケーキを作る予定が、高校に着いた途端に大地震?揺れと共に気がついたら異世界で、いきなり巨大な魔獣に襲われた。助けてくれたのは金髪に碧の瞳のイケメン騎士。王宮に保護された後、騎士が昼食のたびに俺のところにやってくる!  砂糖のない異世界で、得意なスイーツを作ってなんとか自立しようと頑張る高校生、ユウの物語。魔獣退治専門の騎士団に所属するジードとのじれじれ溺愛です。 🌟第10回BL小説大賞、応援していただきありがとうございました。 ◇他サイト掲載中、アルファ版は一部設定変更あり。R18は※回。 🌟素敵な表紙はimoooさんが描いてくださいました。ありがとうございました!

眠れぬ夜の召喚先は王子のベッドの中でした……抱き枕の俺は、今日も彼に愛されてます。

櫻坂 真紀
BL
眠れぬ夜、突然眩しい光に吸い込まれた俺。 次に目を開けたら、そこは誰かのベッドの上で……っていうか、男の腕の中!? 俺を抱き締めていた彼は、この国の王子だと名乗る。 そんな彼の願いは……俺に、夜の相手をして欲しい、というもので──? 【全10話で完結です。R18のお話には※を付けてます。】

恋愛スイッチは入っていません! 宰相補佐と近衛騎士様では何も起こらないと思っていたら、婚約してました

nano ひにゃ
BL
仕事のためになれなれしくしていた相手と噂になっていたのを無視していたら、本当に婚約してしまっていた。相手は近衛兵の副隊長でさらに公爵家の血筋。それに引き換え自分は宰相に取り立ててもらって補佐の仕事はしているが身分はなんとかギリギリ貴族を名乗れる家の出。 なんとか相手から解消してもらえないかと相談することにしたが、なんとも雲行きが怪しくなっていく。 周りからかなり評判のいいスパダリ溺愛攻めと隠れスパダリの受けが流されながらもそれなりに楽しくやっていくお話です。 R表現は予告なく入ります。無理やりはないですが、不本意な行為が苦手な方はご注意ください。 ストーリーに変更はありませんが、今後加筆修正の可能性があります。 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

【完結】チクニー動画を大人の動画サイトにアップロードしたら、身バレして現実世界でBANされそうです。

大竹あやめ
BL
 人には言えない性癖を持つ祐輔は、一人で慰めている動画を大人の動画サイトにアップして小遣い稼ぎをしていた。  しかしある日、偶然見られた裸でなぜか身バレして、脅されて男と付き合うことに。  けれど男は最初こそ祐輔を脅そうとしてきたけれど、どうやら本気で祐輔のことを好きなようだ。なんで? どうして?  好きな人の全てを受け入れたい。そんなテーマで書きました。  ★はR18表現ありです。  この作品は、ムーンライトノベルズ、fujossyにも掲載しています。

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

処理中です...