転生したら従者になった話

涼音

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「おはようございます。シアン様」

今日から本格的に第三王子のシアン様の御付きとなった
前世で考えたら10歳が従者ってとんでもない事だが、この世界ではごく当たり前なのだろう

昨日の事は水に流す事にし、何事も無かったようにシアン様の朝の目覚ましに向かった
寝て起きて考えてみれば、一々主人の言葉にイライラしてたら従者務まらんしな


「シアン様、シアン様」

カーテンを開け、俺よりまだ小さい丸さが残る体を揺すと、うーーんと眉間にしわを寄せて畝った
朝に弱いタイプか


「後、ごふん・・・」

掠れた声で御決まりのセリフを言い、布団を頭まで被る


「シアン様、朝で御座います。起きてください」
「わっ!!!」


勢いよく掴んでいた布団をひっぺ返すと、そんな声を上げながら目を開けた


「おはよう御座います。お着替えをいたしますよ」

俺が笑顔で言うと、俺を認識したシアン様は暗い表情で「はい」と言った
一体どうしたのだろうか

そんなことも少し考えながら、クローゼットから持ってきた衣服と寝間着を手早く取り替えた


「さあ、朝ごはんのお時間で御座います」

厨房から持ってきた朝ご飯をテーブルに並べると、シアン様が椅子に座って食べ始めた
隅に立ち、もう少しで完食しそうな時厨房に行き紅茶を作って持っていく




「では、本日のご予定でございますが」

事前にメモをしておいた本日の予定を読んでいく
まあ、殆どがいつもと変わらないスケジュールだ

俺が従者になったからと言って、シアン様のスケジュールが変わるわけでもない
だが、明後日はシアン様の5歳の誕生祭だ
俺も例に漏れず準備で忙しくなるだろう
その為、シアン様の従者になったばかりなのにシアン様を放っておかなくてはならない
何の為の従者だろうね。


シアン様のスケジュールは変わらないとは言ったが、この数日はマナーの授業がより一層厳しくなるだろう
主役はシアン様で、失態は許されないのだから



「では、私はこれから2日後のパーティーに備えて準備を致して参ります。何かあればこのバングルでお呼びください。ここの石に魔力を流せば私の方に通じますので」


そう言って、余った魔力で精製して作った黒色の魔石が嵌ったバングルを渡した
これは俺が左に付けてるバングルと対になっていて、どちらかが魔力を流せば光るようになっている
シアン様の従者になったらいづれ渡そうと思っていたので、良いタイミングだろう


シアン様の両手に乗せるの、シアン様はそれをじっと見つめた
その姿を見ていると、昨日の事を思い出す
「こんなものいらない」とか何とか言われるんかな。と、シアン様が言葉を発するのを待つ




「あ、あ、ありがとう」

え。。
今聞こえた言葉は空耳なのかと目を見開きながらシアン様を凝視すると、あろう事か顔を真っ赤にしていた


「僕、剣術の授業があるからっ!!」
と、そのまま扉を勢いのまま開けて出て行ってしまわれた


「剣術の授業まで3時間程ありますが」
飛び出して行った扉の方を見ながら呟いた










ーーーーーーーーーー-ーーー

お久しぶりです。忘れられていませんように_| ̄|○ナム



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