裏切り者、そう呼ばれた令嬢は

影茸

文字の大きさ
51 / 52

第51話

しおりを挟む
 「………え」

 ライフォード様の愛の告白。
 それに冷静さを保つことができず、呆然と辺りを見回す。

 ……私達が、周囲の貴族達の注目を集めているのに気づいたのは、その時だった。

 「あれは、まさかライフォード様がサラリア嬢に愛の告白を……?」

 「い、いや、そう決めつけるのは早計であるぞ!」

 「だが、そうは言っても王子が手をつけようとしている女性に手を出すわけにはいくまい……」

 貴族達、特に若い令息達は、私達を見て口惜しげな様子を浮かべている。

 何故ライフォード様が愛の告白で留めたのか、私が理解したのは、その光景を見た瞬間だった。

 「───っ!」

 いくら私が《仮面の淑女》の代表だとしても、王族に婚約を迫られれば、簡単に跳ね除けることは出来ない。
 なのに、ライフォード様はそれをすることはなかった。

 ──そう、全ては私に選択肢を残すために。

 その私の考えを肯定するように、ライフォード様は私の耳元で囁く。

 「答えを今求めるつもりはない……これなら、余計な邪魔が入ることは無いだろう」

 私達を見て及び腰になった令息達。
 それさえ、ライフォード様の計算内だと私は悟る。

 ……本当に、ライフォード様はどれだけ前からこの状況を用意してきたのだろうか。

 そんなことを考えながら私は、熱を抑えることができなくなった顔を俯き隠す。
 ライフォード様のペースに乗せられている自分を、恨めしく思いながら。

 だが、ライフォード様の行動に、一つだけ間違いが存在することに私は気づいていた。
 それも、致命的すぎるものが。

 その間違いを指摘しようとして……羞恥によって、一度私は口を閉ざしてしまう。

 「サラリア嬢、貴女の返事をいつまでも待っている」

 ライフォード様は、そう言って私に背を向ける。

 私の覚悟が決め手を伸ばしたのは、その時だった。

 「………え?」

 突然手を引かれたライフォード様は、その顔に疑問を貼り付けて振り返る。

 私は、そのライフォード様の表情を無視して身体を寄せ──次の瞬間、私は強引にライフォード様の唇を奪った……


 ◇◇◇

 更新遅れ➕短めで申し訳ありません。
 何とか次回、本編完結までいけたらな、と思っております!
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

処理中です...