婚約破棄された直後に隣の帝国王に番認定されてあっという間に囲い込まれてデロデロに愛されます!

ちゃこ

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9.宮殿に到着しました

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帝国までは3泊ほど道中泊まる必要がある。
乗り降りの際もアラン様から過度なエスコートを受け、せっかく足も手も自由に動かせるようになったのにさっそく運動不足になっているわけだが・・・
アラン様はあまり私が人の目に触れないようにと気を使ってくれているようで、接触する人もごく一部。
宿泊先の豪華な宿に泊まる際も、馬車の乗り降りの時に私にベールをかけてお姫様抱っこ移動。気づいたらお部屋という状態だ。アラン様的には私は強度の人見知り認定をしているのね!
アラン様が世話を焼いてくれることはありがたいけれど、私の心臓はドキドキがいっぱいで疲れ果てているけれど・・・

馬車の中でアラン様と私の記憶について話した。
『ミシェル、君は今前世の記憶はあるが、これまでのミシェルの記憶は引き継いでないということだよね?』
そうなのだ。私も気になっていたが、異世界転生ものというと、ご都合主義のように記憶がうまく交じり合って、異世界生活も問題ないように過ごせる、というのが鉄板なのだが・・・残念ながら私は前世の記憶しかないのだ。

「はい・・・そうなのです。おぼろげに覚えているということもなくて・・・」
『私がこの世界において不自由なく過ごせるようにはするけれど、ミシェルの真実を伝えるのは避けたほうがいいだろう。あの精神的に負荷がかかっただろう事実は皆耳にしているだろうから、記憶喪失ということにするのはどうだろうか?』
「そうですね。そうさせていただければありがたいです。そして守っていただくだけでは私にはなりたくない。私からお願いなのですが、この世界のマナーや学問などを学ぶために、教師をつけていただけないでしょうか?」
『・・・・そんな必要なんてないのに。けれど君の願いは極力叶えたいからね。屋敷についたら整えよう。』
「アラン様ありがとうございます!」
よし!頑張ろう!アラン様の横に立っても恥ずかしくない私になるんだ!私は嬉しくて、自然と満面の笑みをアラン様に向けた。
すると
『う・・・・くそ・・・誰にも接触させたくない・・・・女性講師しかだめだな』
とアランが片手を顔にあて溜息をついてつぶやいているのは、気合満点のミシェルには聞こえはしなかった。




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『ミシェル、あそこに見えるのが宮殿だよ』
安定のアラン様の膝の上で、アラン様が窓を指さした。
そこには白をベースにしたとてつもなく大きな荘厳な宮殿が見える。
大帝国の宮殿ともあれば、豪華絢爛な宮殿だろうと想像していたが、想像をはるかに超えている・・・東京ドーム以上の大きさでは・・・
「こんなに大きいなんて・・・迷ってしまいそうです」
『ふふ。使用人たちも住んでいる棟もあるし役人も大勢いるからね。私たちが過ごす空間はごく一部になるから、そんなに気負わなくて大丈夫だよ。』
「そうなんですね!よかったです。」
『不特定多数がミシェルに接触できるような状況を私が作るわけないだろう?』
「(私のボロがあまり出ないようにということかしら?)ご配慮ありがとうございます。」
 

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馬車が立派な宮殿の門前に到着し、先に降りたアラン様に手を差し伸べられる。
目の前には使用人たちが列をなして迎え入れてくれている。50名は超えているように見える。皆頭を下げているがその様子はどこか硬い空気を漂わせていた。

その先頭にいる一人の執事が一歩前に出た
「旦那様、お帰りなさいませ。ハーモスト・ミシェル様にございますね。私はこの城の執事長を務めております、ブルートでございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
40代くらいのTheジェントルマン!のブロンドヘアのイケおじである。
さすが異世界・・・おじさままで美形率が高いわね。

「こちらこそ、ブルート様よろしくお願いします。」と私は頭を下げた。
するとブルートさんは、おろおろ驚き「頭をお上げください!使用人に対してそのようなことをする必要はございません、ミシェル様」
あれ・・・こちらの世界の常識がわかってない私はちょっとマナー違反をしてしまっていたようだ。
二人でわたわたしていると、アラン様が私の腰に手をあて引き寄せてきた。
『ブルート、我が妻ミシェルは、アルカイル国の不実な振る舞いにより精神的に負荷がかかり、記憶喪失となっている。こちらのことをミシェルは学びたいということだが、そんな必要がないくらい不自由をさせぬように配慮するように。』

「作用でございますか・・かしこまりました。」

『皆表を上げることを許す』


すると使用人たちが顔を上げた。
ミシェルが悪役令嬢として知られていることは宮殿中に広まっているのだろう。使用人たちの顔には戸惑いと不信感といった表情が見てとれた。彼らの視線は冷たく、嫌な雰囲気が宮殿前に漂っている。 
アランの瞳には冷徹な光が宿った。

『ミシェルは私の妻となるもの。彼女に対する不敬な態度は一切許さない。私の敵と見なす。理解した者は頭を下げ、そうでない者は宮殿を出る覚悟を持て。』

アランの言葉は冷徹であり、同時に宮殿の支配者としての威厳を感じさせた。使用人たちは静寂の中で頭を下げていった。
『ブルート、不平不満を持つものは解雇しろ』

「アラン様!そこまでせずとも・・・私の噂を聞くと不信感を持つのも仕方ないです。ここから皆さんの信頼を得られるように私は頑張ります!」とアラン様を安心させるように私はガッツボーズをとった。


するとミシェルを見たアランは視線を緩め、ふっと微笑んだ。
『ミシェルは存在自体が完璧なんだ。それを分からない者に価値はないんだよ?』

アラン様・・・ときめく笑顔ですが言っていることは暴君です・・・・
よし、ここはちゃんと自分の気持ちを皆さんに伝えよう。

「皆さま、私はハーモスト・ミシェルにございます。私の噂をお聞きになって不安かと思います。記憶喪失といえど、火のない所に煙は立ちませんし過去をなかったことにはできません。これからの私の行動を見て皆様の信頼を得られるように努力いたします!どうぞよろしくお願いいたします。」
と勢いよく頭を下げた。

高位貴族が使用人に頭を下げるなどはあり得ない。皆から戸惑いの雰囲気が出ている。
そんな周りの反応はどうでもいいとばかりにアランは頭を下げるミシェルをうっとり見つめ、その顎に手をあて顔を上げさせた。顎クイである。

『あぁ、なんと謙虚で清らかな私の女神。』

とみんながこちらを見ているのに、私の膝に手を入れあっという間にお姫様抱っこしてしまった。
「ひゃ!アラン様!みんな見ているのに恥ずかしいですっ」
とミシェルは顔を真っ赤にしてあまりの恥ずかしさに手で顔を隠した。

『さあ、私たちの愛を育む城を案内しよう私の女神。』

『ブルート、わかっているな。躾を徹底するように。』
「御意」


アランがミシェルを守るためならば手段を選ばないことを皆が痛感するとともに・・・見合わせた使用人たちは気にしていた悪役令嬢以上に衝撃自体を目にしてしまった・・・


「「「「「「「今の誰よ!!!?????」」」」」」」
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