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本編
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しおりを挟む『泰虎』と呼んでくれと言われたので、白蓮たち同様に呼び捨てる事になった。
俺の格好を見てなのか…挨拶を一通りすると直ぐに帰った。呼び出したはずの義輝は「お疲れ様~」的なノリで手を振っていた…
玄関で全てを済ませてしまった義輝に何とも言えず…泰虎に「部屋には上がらないの?」と問えば「また今度にしておきます」と返ってきた。
ヤ●ザのトップみたいな見た目の『鬼』に下から言われると恐縮してしまうが…これもその内慣れる日がくるのだろう…白蓮の時のように…
呼び出したにも関わらず、玄関で済ませて帰って当然…と言ったような態度に『コレで良いのか?』と思わなくもなかったけれど…口出しは己の首を締めかねない…というのは体験済みなので、大人しく手を振っておいた。
義輝はというと…泰虎が帰ってから俺を膝に乗せてやらしく太股を撫でてきている。
上着がいい具合にひざ丈ワンピースになっている…際どいトコロを撫でる手をペチペチ叩いていると案外あっさりと手を引っ込めた…
俺がその気になっていれば続きをしたのだろう…
「ねぇ…1つ確認したいんだけど」そう言って紋章に吸い付いてくる義輝に危うく俺は声を漏らしそうになった…
「っ…何?」
「元両親についてはどこまで思い出せる?」
そう聞いてきた義輝に対して首を傾げた俺はあの両親の事を思い出そうとして…困惑する事になった。
顔はおろか、名前も思い出せない…というか…修兵になる前の名前すら出てこない。
そういえば…前に付き合っていたヒトが居た気もする…そのヒトの顔も性格も思い出せないし…酷い別れ方をした程度の認識しかない…
焦って義輝にそう伝えると、少しだけ思案気に首を傾げたが直ぐに口を開いた。
「トラウマってヤツかもしれないね。」
そう言いながら俺の頭を優しく撫でる。
「それは恐らく軽い記憶喪失だと思うよ。辛い記憶だから無意識的に忘れた…という認識で良いと思うけど…ま、ムリに思い出す事もないでしょ」
そう言って軽く口付けてきた。多少の含みはあるものの、義輝にそう言われると『義輝が言うならトラウマなんだろう』と俺の頭は考える事を放棄する。
そして、俺はされるがままにその与えられるキスに応える。徐々に激しさを増す行為に溺れ、気づけばお互いに激しく深く求め合っていた。
*
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