チューベローズ

スメラギ

文字の大きさ
上 下
69 / 88
本編

66ー義輝Sideー

しおりを挟む
 
 電話を切ると、椅子の背凭れにググッと凭れかかり一息ついて作業に戻ろうとしたが、とある存在を思い出した。

 そして、あの・・2人が処理されたのだから…ならば、あっちも・・・・処理してしまおうと思い立つ。

 幸い新薬も完成し、代理人も立ててある。その分、こちらには少しだけ余裕があった。
 次のプロジェクトまでの間に清算しておこうと、椅子から立ち上がる。

 部屋を出てリビングへ行くと、修兵がテレビを見ていた。真剣にテレビを見ている修兵は俺に気づいた様子もない。

 少しだけ悪戯心が生まれた…
 俺は迷う事なく実行に移す。

 背後から近づき噛み跡に指を這わした。直後、奇声を上げて振り返ってくる。顔は真っ赤だ…
 色気の無い声とは裏腹に表情は誘っているかのように可愛らしい…

 「っ…義輝!こ、声かけろよな!!」

 なんて焦ったように声を上げる。ニンマリと笑うと「これだからイケメンは!」とブツブツ言っていた。
 修兵にイケメンだと言われて悪い気はしない…俺に落ちてくれるなら、全て・・を利用するまでだ…
 とは言っても…修兵とセックスする為の手段なんて全く選んでないんだけど…

 「ふふ、ごめーんね。」
 「悪いと思ってねーな…はぁ…そういう奴だよ。義輝は…」

 と言って諦めたような表情を浮かべる…

 「というか…もう、仕事は終わったのか?」
 「ん~、終わってるか終わってないかと問われれば…終わってはいないねぇ…」
 「?…じゃあ、急用?」

 作業途中に部屋を出て修兵に会いに来るのは、殆ど急用で出かける時くらいだ。まぁ、稀に顔を見て、触れたくなって出て来る時はあるけれど…殆ど無いからな…

 「正解。ちょーっと出かけてくるね~」という俺の言葉に少しだけ寂しそうな、不安そうな雰囲気を出すが…それも一瞬で引っ込める。

 (全くこちらの気も知らないで…)

 ベッドに押し倒して鳴かせたくなってしまうではないか…と溜め息をつきたくなった。

 修兵に近づくと、輪郭をなぞるように指の腹を這わせていくとピクリと身体が動いたのが分かった。
 顔を赤らめたまま俺を見上げてくる修兵に理性を壊されかけながらも、なんとか持ち堪え、薄く開いた口に容赦なく深いキスをした。

 そして、少し後悔する。くぐもった声で喘ぐものだから、折角持ち堪えた理性が壊れそうになった。

 修兵の口内を堪能し、口の端から滴り落ちているどちらのものか分からぬ唾液を舐め取ると、身体を離した。

 潤んだ瞳で睨みつけてくる修兵に笑いかけると、「バカ…」と小さく呟いて視線を逸らされた。
 その煽ってくる態度に本能を刺激されながらも、何事もなかったかのように装い頭を撫でる。
 
 「白蓮と海斗は残して行くから、何かあれば2人を呼ぶんだよ?」
 「っ…わ、分かった。」

 ほんのり香る発情のフェロモンに知らず知らずの内に口元がつり上がる。

 「続きは帰ってきてからね?」と耳元で囁くと、耳を押さえて顔を真っ赤にし、声にならない悲鳴を上げて身体を離した。

 「っ…ばかぁ…分かったからっ…さっさと行け!!」
 「良い子でお留守してるんだよ?」
 「分かったからっ…」
 「俺が帰ってくるまでに訪問者が来ても扉を開けたらダメだよ?庇護鬼である2人なら大丈夫だけど…」
 「分かってるから!!」
 「それからー…」
 「だ~か~ら~、分かってるってば!早く行って早く帰ってこいよ!もう!!」

 なんて恥ずかしそうに叫ばれた。
 これは早急に用事を済ませて帰ってこなければ…と思い、もう一度、今度は触れるだけのキスをして「行ってくるね」と言ってから部屋を出た。

 
しおりを挟む
**
【禁止次項】
●転載、盗作、荒し、中傷、醸し
●他の作品と比べること
**
【注意次項】
●説明文とか下手です。(キャラも時折迷子になります。)
●物語最終話までの構成などは全く考えておりません。(大体グダグダです。)
●全て妄想で書き上げています。(自己満足です。)
●専門的な知識などは皆無です。(ご都合主義です。)
●気がついたら直していますが、誤字やおかしい文章など多数あります。(ごめんなさい。)
●R指定は念のため【R-18→*】
●メンタル弱いです。暖かい目で見てやってください
***

全ては“自己責任”でお読み下さい。


感想 5

あなたにおすすめの小説

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

なぜか大好きな親友に告白されました

結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。 ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。

処理中です...