5 / 23
4話 制裁について その2
しおりを挟む
「なんだか、凄いことになってきたわね」
「ええ、そうね……」
貴族街の噴水庭園。その場所で私は親友のアリーと話をしていた。ランドールと婚約破棄になった件については既に話してあるけれど、水面下ではそういう噂はもう出ているらしい。
「アリシア、あなたは平気なの? 色々と心の整理とかつけないとダメでしょうに」
「大丈夫よアリー。婚約破棄自体には動揺しちゃったけれど、なんとかなっているわ」
「それならいいんだけれど……」
アリーはほっとしたように胸を撫で下ろしてくれている。私の為に色々と考えてくれているのね、なんだかとても悪い気がしてしまうわ。
「ランドール様が婚約破棄をおっしゃるなんて……とても信じられないけれど……」
「そうね、でも紛れもない事実よ」
私としてもまだ信じられない気持ちの方が強い。一時期は本当に好きになっていたのだから。同じ伯爵令嬢であるイリスに傾いてしまうなんて夢にも思わなかった。
「それで……どうするの?」
「私の権力ではどうしようもないわ。ただ……ほら、兄上がね」
「ああ、王子殿下ね」
「うん」
アリーは私と兄上の関係を知っている伯爵令嬢の一人。私がトランス王子殿下の名前を出しただけで、なんとなく事情を察知してくれたみたい。兄上がどういったことをしてくれるのかはまだ不明だけれど、あんまり声を上げて言うものではないという予感もするし。
それに、お父様もランドールに対して制裁? のようなことを考えていらっしゃるみたいだし……。
「あら? 誰かと思ったら、可哀想なアリシアちゃんじゃない。こんなところで遭うなんて奇遇ね」
「えっ?」
「……イリス……お久しぶりね」
そんな時、私の耳に不快な声が入って来た。誰かはすぐにわかったけれど、敢えてそちらに目線を合わせた。案の定、ランドールが選んだ女性、イリス・サブラビッチの姿があった。
私と同じ17歳だけれど、勝ち誇ったような視線を見せている。なんでこんなところで会わないといけないのかしら?
「何か用?」
「なによ、つれないわね。わかってるんでしょ?」
「なにが?」
イリスは確信の言葉を出さない。癪に触るので、私も敢えてとぼけ続けせみせる。隣に座っているアリーは状況がわからずに、ただただ慌てているようだった。
「決まってるでしょ、ランドール様の一件よ。可哀想にね、アリシア。あんたは華がないんだってさ」
「……あなたより、家事も料理もできると思うわ。一緒に暮らした場合は、私の方が役に立つと思うけれど」
「はあ?」
ランドールなんて本当はどうでもいいけれど……この時の私はイリスに敗北することを、何よりも嫌がっていた。大人げないかもしれないけれど、彼女との言い合いはしばらく続くことになった。
「ええ、そうね……」
貴族街の噴水庭園。その場所で私は親友のアリーと話をしていた。ランドールと婚約破棄になった件については既に話してあるけれど、水面下ではそういう噂はもう出ているらしい。
「アリシア、あなたは平気なの? 色々と心の整理とかつけないとダメでしょうに」
「大丈夫よアリー。婚約破棄自体には動揺しちゃったけれど、なんとかなっているわ」
「それならいいんだけれど……」
アリーはほっとしたように胸を撫で下ろしてくれている。私の為に色々と考えてくれているのね、なんだかとても悪い気がしてしまうわ。
「ランドール様が婚約破棄をおっしゃるなんて……とても信じられないけれど……」
「そうね、でも紛れもない事実よ」
私としてもまだ信じられない気持ちの方が強い。一時期は本当に好きになっていたのだから。同じ伯爵令嬢であるイリスに傾いてしまうなんて夢にも思わなかった。
「それで……どうするの?」
「私の権力ではどうしようもないわ。ただ……ほら、兄上がね」
「ああ、王子殿下ね」
「うん」
アリーは私と兄上の関係を知っている伯爵令嬢の一人。私がトランス王子殿下の名前を出しただけで、なんとなく事情を察知してくれたみたい。兄上がどういったことをしてくれるのかはまだ不明だけれど、あんまり声を上げて言うものではないという予感もするし。
それに、お父様もランドールに対して制裁? のようなことを考えていらっしゃるみたいだし……。
「あら? 誰かと思ったら、可哀想なアリシアちゃんじゃない。こんなところで遭うなんて奇遇ね」
「えっ?」
「……イリス……お久しぶりね」
そんな時、私の耳に不快な声が入って来た。誰かはすぐにわかったけれど、敢えてそちらに目線を合わせた。案の定、ランドールが選んだ女性、イリス・サブラビッチの姿があった。
私と同じ17歳だけれど、勝ち誇ったような視線を見せている。なんでこんなところで会わないといけないのかしら?
「何か用?」
「なによ、つれないわね。わかってるんでしょ?」
「なにが?」
イリスは確信の言葉を出さない。癪に触るので、私も敢えてとぼけ続けせみせる。隣に座っているアリーは状況がわからずに、ただただ慌てているようだった。
「決まってるでしょ、ランドール様の一件よ。可哀想にね、アリシア。あんたは華がないんだってさ」
「……あなたより、家事も料理もできると思うわ。一緒に暮らした場合は、私の方が役に立つと思うけれど」
「はあ?」
ランドールなんて本当はどうでもいいけれど……この時の私はイリスに敗北することを、何よりも嫌がっていた。大人げないかもしれないけれど、彼女との言い合いはしばらく続くことになった。
585
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
婚約者に値踏みされ続けた文官、堪忍袋の緒が切れたのでお別れしました。私は、私を尊重してくれる人を大切にします!
ささい
恋愛
王城で文官として働くリディア・フィアモントは、冷たい婚約者に評価されず疲弊していた。三度目の「婚約解消してもいい」の言葉に、ついに決断する。自由を得た彼女は、日々の書類仕事に誇りを取り戻し、誰かに頼られることの喜びを実感する。王城の仕事を支えつつ、自分らしい生活と自立を歩み始める物語。
ざまあは後悔する系( ^^) _旦~~
小説家になろうにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる