幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

ルイス

文字の大きさ
上 下
8 / 60

8話 繰り広げられる会話 その2

しおりを挟む
(ウォーレス視点)


「なあ、アーチェ。君は照れているだけだろう? 私は分かっているんだよ」

「はあ? さっきから何を言っているの? ウォーレス、現状を理解出来ているかしら?」

「おいおい、やめてくれよ。本当に連れないな……」


 アーチェは私の言葉に否定的に対応していた……ニーナも言っていたのだから、彼女が私のことをまだ好きなのは明白なのだ。しかし、今の彼女からそんな様子は感じ取れない。となれば、理由は1つしかない。

 照れているのだ……若しくは、婚約解消をした間柄だから、仲良くし過ぎるのはマズイと考えて、敢えて距離を取っているのか。馬鹿だな、そんなこと一切、気にしなくて良いのに。

「ネプト国王陛下……こうしてお会い出来るなんて、本当に光栄でございます」

「ああ……そうか。それはありがたいことだが……」


 ニーナは国王陛下が珍しいようで、そちらに興味が向かっているようだ。国王陛下の前で失礼かもしれないが、本日はパーティーの席でもある。ネプト国王陛下はニーナとの会話に忙しいようだし、私がアーチェと話していても問題はないだろう。


 ここで、一気に攻勢に転じるのも悪くないな……ふふふふふ。



-------------------------


(アーチェ視点)


「ウォーレス……? もしかして、何か勘違いとかしていない……?」

「勘違い……? それは一体、どういう意味かな?」

「いえ、私の勘違いであれば良いんだけれど……」


 上手くは言えないけれど、どうもウォーレスは何かを勘違いしている気がする……私と彼は元婚約者という間柄だし、幼馴染でもあるので、そういうところは分かるのだ。

「うふふふふ、国王陛下……」


 ニーナはニーナでネプト様に夢中で話しかけているみたいだし……この二人はかなりアンバランスなカップルな気がするわね……。

「ウォーレス……」

「どうしたんだい?」

「ニーナが傍に居るんだし、私と話すことはあんまりしない方が良いと思うけれど……」


 私はウォーレスの為を思って指摘した。でも彼はキョトンとした表情になっている……私の言葉を理解出来ているのか、甚だ疑問だった。

「それについては心配ないよ……ニーナも承諾済みだ」

「えっ? どういうこと……?」

「本当に済まなかった、アーチェ。私はどうやら、非常に短絡的な答えを出してしまったようだ。君の気持ちも考慮せずに……君が戻って来ることは、ニーナも承諾済みなんだ。だから、安心してもらって構わないよ」

「……?」

 一体、ウォーレスは何を言っているのだろうか……私には理解できなかった。フォルセの様子も見てみたけれど、弟も意味が分からないと言った表情になっていた。

 うん、本当に意味が分からないわ……。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します

矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜 言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。 お互いに気持ちは同じだと信じていたから。 それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。 『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』 サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。 愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」  豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。  周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。  私は、この状況をただ静かに見つめていた。 「……そうですか」  あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。  婚約破棄、大いに結構。  慰謝料でも請求してやりますか。  私には隠された力がある。  これからは自由に生きるとしよう。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

処理中です...