グレイ

第４章（４）紫愛side

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でも、その時。
私の頭の中には、兄貴にーにの事が思い浮かんだ。

みんなに嫌われるのは怖い。
みんなを失うのは怖い。
みんなを敵にしたくはない。……けど。

「紫愛シア！お前のオヤジさんは紫夕しゆうさんだもんなっ？
人型魔物とかっ、関係ねぇ！！そうだろっ？！」

けど、それ以上に。
私は兄貴にーにを、独りぼっちにしたくないと思った。

そしたら……。

「……っ、ごめんね」

私の口から小さな声で、まずその一言が出た。
その一言は、きっとパパに対しての謝罪。私の事を護ろうとしてくれたパパとの約束をこれから破ろうとしている自分から無意識に出た、謝罪の言葉だった。
そうとは知らないアレクは「え？」って……。ビクッてして、私の方に伸ばしかけていた手を止める。
そんなアレクと、その周りに居るみんなに、私は言った。

「っ、私も……魔物の血、引いてるのっ……」

みんなの表情かおを、見るのが怖い。
でも私は、しっかりと顔を上げて言わなきゃ、って思った。

「私のママは、橘たちばな 涼夜りょうやのもう1人の子供で、人型魔物」

全てを受け止めて、現実を見なきゃ、兄貴にーにを独りで戦わせているのと同じだと思った。
だから、私は顔をあげて、みんなを見て、言った。

「私もっ……人型魔物なの。
アレク、みんな……っ、黙っててごめんね」

……。
私は、そう、みんなに告げた。