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第23章(2)雪side
23-2-5
しおりを挟む響夜が昨夜言っていた、大きな任務がなんなのか。
そして、眠りに落ちる寸前に言われた「明日には全部終わる」と言う言葉の意味をーー……。
「ーー……待ってッ!!」
響夜の手が離れて背を向けられた瞬間。オレはあんなにも恋しくて愛おしい筈の紫夕の手を放して……響夜の服を掴んでいた。
涙がボロボロと溢れてくる。
胸が痛くて、呼吸が、上手く出来ない。
オレは必死に、声を絞り出した。
「い、やだ……ッ」
手が震えて、力が上手く込められない。
けど、必死に必死に、オレは響夜にしがみ付いた。
「響夜も、っ……一緒じゃ、なきゃ!ぃ……ッ、嫌だぁーー……ッ!!!」
子供みたいに。
駄々を捏ねるように、泣き叫んだ。
離れたくない。
放したくない。
別れてしまったら、これが最期だ、って、分かったから……。
お願い。
お願い。
行かないで。
一緒に居て。
これからも、ずっと傍に居てーー……。
声にならない叫びを心の中で叫んでいると、振り向いた響夜が言った。
「ーー……その言葉だけで充分だ」
呼吸が止まる程の。
瞬きを忘れて、目を見開いてしまう程の。
そんな、優しく。心からの喜びを表したかのような笑顔で……。
それが、オレが見た響夜の最期だった。
後頭部にコンッ!って響きを感じたと同時に、オレは意識を手放してしまったから……、……。
「幸せになれよ」
そう、言われた気がした。
……
…………。
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