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第16章(4)紫夕side
16-4-2
しおりを挟む俺が強姦魔の息子だ、って知ったらお前はどう思うーー……?
違和感を感じた事が、今までなかった訳じゃなかった。
「お前は、紫季に似て良かったな!」
親父はよく、口癖みたいに俺にそう言った。
最初は自分に似なくて良かったな、って意味だと信じて疑わなかったけど……。時折り、お袋を懐かしむ感じとは明らかに違う、哀しい表情で俺を見る時があった。
それに、性教育にはやたらと厳しくて、俺が13歳になると「恥ずかしい」「もう分かった!」って嫌がっても「大事な事だ!」って、断固として譲らなくて……。避妊の事やら、女性を傷付けない事を、何度も何度も言い聞かされた。
俺が友達から強引に貸されたエロビデオを見付けた時も、その中にあった無理矢理に女性を犯すやつにだけ目の色変えて……。「こんなモン見て欲情する奴なんてクズだッ!!」って、まるで別人みたいに怒りを露わにしてた。
ーー……ああ、そっか。
だから親父は、あんなに怒ってたのか。
ただ、真っ直ぐなだけだと思ってた。
バカで、普段はふざけてヘラヘラしてるけど、斬月を握って戦ってる時はホント、カッコ良くて……。
曲がった事が嫌いで、女子供には特に優しくて、自慢で……。
俺は、そんな親父の息子だ、って事が誇りだったんだけどなーー……。
……
…………俺が真実を知ったのは、このコテージを借りた際だった。
家を借りる程、長く一ヶ所に滞在するつもりはなかったし。雪の具合がある程度回復するまで休ませてやれる場所があれば、良かった。
だからちょうど良い、って思って、このコテージを借りる為に持ち主である町長さんと簡単な契約を交わしたんだ。その時……。
「望月……三月?」
「!……え?」
「お兄さん、望月 三月って言うのかい?」
「あ、はい……」
俺が書類に署名している最中、町長さんがそれを見て不思議そうに尋ねてきた。
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