スノウ2

☆リサーナ☆

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第13章(1)紫夕side

13-1-3

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ゆきが荷台に居ない時は物陰から出て来るし、俺にも擦り寄ってくるのに……。ゆきが居ると、ずっと隠れて出てこねぇんだ。
「事件が起きた日に、強引に捕まえちゃったからかなぁ?」ってゆきは言うけど、おそらく違う。
紫雪しせつも、気付いてるんだ。
ゆきの、魔物の部分が強くなっている事に気付いて、警戒してるんだ。

紫夕しゆう~どうしたの?早く行こうよ~!」

助手席に座って、窓を開けて俺を呼ぶ笑顔のゆき
この笑顔を愛おしく感じて、胸が締め付けられるのも嘘ではない感情だった。

「おう!今行くな!」

俺は、手を振って笑顔と返事を返すと、運転席へと向かった。

……
…………しかし。
出発して、車を走らせる事数分。

「……、……。
……ゆ、ゆき?なんだ?ど、どうした?」

さっきから……。出発してから、助手席に座るゆきがじっと俺を見つめてくる。
その視線に、俺はずっとドキドキしていた。ハンドルを握る手に力が込もって、手汗が滲む。
そんな俺に、ゆきが微笑って言った。

「何でもないよ。紫夕しゆうカッコ良いな~って、見てるだけ!」

「そ、そっか?
でもさ、そんなに見る程じゃねぇだろっ?恥ずかしいから、外の景色でも見てろよ」

胸が、痛い。
呼吸が、上手く出来ねぇーー……。

ゆきに見つめられると、最近ずっとそうなってしまう。
胸のドキドキはときめきじゃなくて……。見つめられている視線を外してほしいのは、恥ずかしいからじゃなくて……。

それは、蛇に睨まれた蛙かのような、恐怖からだーー。

「はぁ~い!」

俺の言葉に、ゆきは素直に返事をすると、窓を開けて風を感じながら外の景色を眺め始めた。
そして、ホッとしてしまう俺の横で、ふと、呟くように言った。

紫夕しゆう

「っ、ん?」

「大好きだよっ」

「ーー……っ、おう!ありがとな」

ーー……俺も、大好きだよ。

ゆきの言葉に、俺は、そう、言ってやれなくなっていた。

……
…………。
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