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第11章(2)紫夕side
11-2-2
しおりを挟む響夜の奴、本気……だったよな?
「そんなに大事なら、二度と離すんじゃねぇ。
次泣かせてみろ。……もう絶対に、返さねぇからなっ」
俺を蹴り付けて、そう言った響夜の瞳は真剣そのものだった。
いつもはふざけた軽いノリで話すクセに、ズルい位、同じ男から見てもカッコ良かった。
響夜、雪の事ーー……。
「好きなのか?」なんて、問うまでもない。特別な想いがなきゃ、あんな表情であの言葉は言える訳がない。
そんな事を考えていると、顔をこちらに向けた雪がおずおずしながら言った。
「……紫夕?
ごめん、重い?オレ、退いた方がいいよね?」
ずっと黙り込んでいた俺を気にしたのだろう。その首を少し傾げる仕草と様子を伺う表情は、まるで小動物のようだ。
つまり、めちゃくちゃ可愛い。俺は離れようとした雪をすぐ様引き止めホールドすると、その頭に頬をすり寄せる。
「全然、お前は軽すぎだって。
それより、……その、身体……大丈夫か?」
「え?」
「腹痛かったり、気分悪かったり、とか……」
「!……っ。
……う、ん。へ、平気」
俺がそっと腹を摩ってやりながら尋ねると、さっきの事を思い出したのか、雪は真っ赤になってモジモジと身体を揺らしながら顔を背けた。その仕草さがもう、また……。
ーー可愛すぎる。
え?もう一回、したいです。
俺の理性は崩壊しそうだった。
だが、さすがに今日はもうダメだ、とグッと堪える。
以前マリィに「雪ちゃんの事が大事なら、エッチの時は避妊しなきゃダメだからね!男の子だからって怠らない事!いい?」って、散々言われたんだ。
互いの感染症の予防はもちろん、中に体液が入ると腹壊したり、気持ち悪くなったり、熱出したり、体調崩す事があるって……。
雪は身体があんまり丈夫じゃないから、ずっと気を付けてきてたんだけどな……。
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