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第10章(3)雪side
10-3-1
しおりを挟む紫夕と再会する、少し前ーー。
人混みに慣れる練習と自分に自信を付ける為に、オレは響夜と色んな遊び場を回った。(と、言うか連れ回された)
ダーツを始め、野球やらバスケやら……。どれも初挑戦で全然上手く出来なかったけど、そんなオレに響夜は少しも嫌な表情せず教えてくれた。
ちゃんと無理なく、オレの様子を見ながら適度に休憩もくれて……。
実は、優しいの……かな?
そう、オレの中で響夜へのイメージが変わった時間だった。
それに、始めの方は人に見られてるみたいで緊張したけど、最後の方は全然気にならなかったし……。何だかんだ、少し、楽しかった。
そんな時間を過ごして、「飲み物でも買いに行こうぜ」と言った響夜に付いて町中を歩いている最中。ふと、空を見上げると、いつの間にか夕陽でオレンジ色に染まっている事に気付く。
「……。
もう、夕方なんだ」
足を止めて、そうポツリと呟くと、何だか一気に現実に戻って来た気がした。
そしたら急に、胸にじわじわと広がって行く切ない気持ち。そして頭に浮かぶのは、紫夕の顔だった。
紫夕、何してるんだろう……?
お昼頃に別れて、あれからもうずいぶんと時間が経った。けど、未だに会えてない。
この町は広いし、人も多いから、その中でたった一人を見付けるのは至難の業だろう。
でも、もしかしたら……。
酷い事言っちゃったから、もう、オレの事なんて捜してくれてないのかも……。
そう思って、俯いた。
すると、そんなオレに「オイッ」と声を掛けてくれたのは響夜。ハッとして、すぐに顔を向けると、その表情は何だか少し怒っているように見えた。
けれど、そんな響夜の口から出たのは予想外の言葉。
「あ、……ご、ごめん。行こ……」
「ーーお前、このまま僕と一緒に居るか?」
ーー……え?
その言葉に、驚く。
てっきり、歩みを止めてボーッとしていた事に怒っているのかと思ってた。のに……。
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