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第9章(1)紫夕side
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しおりを挟む俺は呑気で、雪と気持ちがすれ違ってる、なんて思ってもいなかった。
雪の為に、良い男でいたくて。
雪の為に、必死に自分の気持ちを抑えてた。
眠っている間の出来事を、雪は静かに聞いてくれた。
色々質問されたり、怒られる事もあるんじゃないか?って思ったけど、話を聞いた雪はただ「話してくれてありがとう」って、微笑って言ってくれた。
その言葉を真に受けて、何も言わない雪にただホッとしてた。
今まで一緒に居た雪は俺の意見や気持ちに従順で、反抗された事なんてなかったから……。
全て話して、自分の中でスッキリした俺は、勝手に目標を決めて動き出していた。
もう一度、しっかり雪にプロポーズをするんだ、ってーー。
スノーフォールの部位を移植する際に、手術中は着用不可って返された三日月の指輪。
術後目覚めた時はサクヤだった事から、ずっと俺が預かってて、今もまだ雪に渡せていない。
だから、俺は決めたんだ。
今度買い物行く時にデートして、そんでその時にもう一度プロポーズして指輪を雪の指にはめてやろう、と。
もちろん、その日までにも準備を怠ったりしない。
雪が俺を一生のパートナーに選んでくれるように。
一生を共にする相手として不安を感じないように、今までとは違う成長した自分を見てもらいたかった。
守護神に居た頃は、雪に任せっきりだった家事。
出来るか、出来ないか、じゃなくて、大切なのは一緒にやろう、って思ってやる気持ちだってようやく気付いた。
1人でやるのは大変だけど、一緒にやれば楽しくて早く終わる、って、サクヤが俺に教えてくれたんだ。
まだまだ失敗もするし、雪みたいに上手くは熟せないけど……。
サクヤに作ってやった時はぶちぶちだったうどん。リベンジで作ったら、雪が「美味しい」って全部食べてくれたのは、本当に本当に嬉しかった。
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