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第8章(4)雪side
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しおりを挟む紫夕が以前、オレが飼いたい、と言っていた白黒の猫を引き取り、オレと自分の名前を混ぜて「紫雪」って名付けてくれたんだと知った時は、本当に嬉しかった。
オレは男だから、紫夕の子供は産めない。
家族を作ってあげる事が出来ないーー……。
だから、笑われるかも知れないけど、オレと紫夕の髪色が混ざったような白黒の猫がどうしても欲しかったんだ。
紫夕が居て、オレが居て、紫雪が居るーー。
今のこの生活は、オレが思い描いていた夢のような生活。幸せな、生活……。
に、なる、筈だったんだけどな。
紫夕は話してくれた。
オレが倒れて、仮死状態になっていた間にあった全ての出来事を……。
ーー……ううん。
本当はね、残月に教えてもらったんだ。
探ろうと思った訳じゃない。ワザとじゃなくて、それは本当にたまたまの出来事だった。
紫夕が話してくれる前の時間……。紫夕がシャワーを浴びに行っている間に、部屋の片付けを簡単にしてあげようと思った際に、残月に触っちゃったんだ。
そしたら、まるでテレビの映像のように、オレの頭の中に残月が見てきた紫夕の事が流れ込んできた。
紫夕が守護神の隊長を辞めて、オレの為に孤独を選び、そして……三月さんの仇である橘さんの元で、働いている事。
毎日のようにオレの看護をしながら、必要な部位を集めて……。苦手な家事もして、毎日クタクタになりながら生活してた。
スノーフォールの討伐でも、目の前で杏華が傷付き倒れ、そして海斗に誤解されて、責められて……。
龍の涙を手に入れる為にも、心を痛めていた。
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