スノウ２

第６章（４）紫夕side

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ッ、カァアア……ーーンッ！！！！！

弾かれた風乱ふうらんが風磨ふうまの手から離れて、空中を舞った。
驚き怯んだ風磨ふうまに俺は続けて攻撃を仕掛ける。身体を半回転させて勢いをつけた一撃を、風磨ふうまの背中に向かって打ち込む。
本来ならそんな事すれば背中が真っ二つに裂けるどころか、身体が真っ二つに裂けてしまうだろう。でも……。

『大丈夫ーー』

斬月ざんげつの声と共に、攻撃の途中に一瞬目が合ったサクヤが頷いて微笑っていた。
相棒と大切な人に支えてもらって、恐れるものなど何もない。
俺はそのまま勢いを緩める事なく、風磨ふうまの背中を斬月ざんげつで斬りつけた。

その瞬間ーー。
まさに風磨ふうまの背中に当たる瞬間に、斬月ざんげつの刃が優しい光を放つと共に形を変えた。
鋭い刃は角が取れたように丸くなり、殺傷能力から打撃能力が上回る形状に変わったのだ。

殺したくない。
人を殺す道具にしたくないーー。

そんな俺の想いに、斬月ざんげつが応えてくれた。

「ッぐ、はぁっ……！！！！！」

しかし、刃がの鋭さは無くなったと言えど鉄の塊で殴られる威力は凄まじい。
背中を思いっきり叩き付けられた風磨ふうまは身体を外らせて吐血すると、そのまま地面にうつ伏せで倒れ込んだ。

ドシャッ！！と風磨ふうまが叩き付けられた音を最後に、原っぱは静けさを取り戻す。

「…………。
っ……、……ふぅ～」

さすがの風磨ふうまも、この一撃では暫く起き上がってはこられないだろう。

最悪、なかなか目を覚さなかったら運んで介抱してやらねぇとな。

倒れた親友を見つめ、そんな事を考えてながらひと息吐くと……。

「しゆー！！」

大好きな、元気な声が俺を呼ぶ。
視線を向けると、これまた大好きな笑顔が輝いていた。
あまりの可愛い笑顔に愛おしさが込み上げる。が、俺は心を鬼にして説教口調で言う。

「サクヤ！勝手に遠くに行っちゃダメだ、って約束しただろう？」

「！……っ、ごめんなさい」

俺の言葉に一瞬でしゅんっと身体を窄すぼませて、謝るサクヤ。
その可愛いらしい姿に、誰が本気で怒れるだろう。