スノウ2

☆リサーナ☆

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第6章(4)紫夕side

6-4-3

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「っ、何でだよ……ッ。
何で、俺達が戦わなきゃなんねぇんだっ?!」

戦う事はもちろんだが、1番悲しいのは理由が分からない事だった。
幼い頃からの友達だと……。数少ない親友だと思っていたのに、何も言ってもらえない。それが、1番ショックだった。
すると風磨ふうまは少し俯いて、ボソッと呟く。

「……そういう所だよ」

「!……え?」

「"そういう所"が、嫌いだ……」

ーー……風磨ふうま

風がサアァ……ッ、と吹いて、長い前髪が俯いていた風磨ふうまの顔を晒す。
その、傷付いた子供のような哀しそうな表情と瞳は、絶対に演技ウソだと、俺には思えなかった。

やっぱり、何か理由ワケがあるーー。

風磨コイツが俺と戦う事。
そして、サクヤに執着し、手に入れたいと望んでいる事には何か理由がある。
そう思えたら、ようやく俺にも"戦う理由"が出来た。

ぶん殴って、大人しくさせて、もう一度しっかり向き合うんだーー。

たくさんのものを護る事は出来ないと悟った時に、それなら、愛する人を1番に大切にしようと思った。
けど、それはやっぱり違う。
杏華きょうか達を遠ざけようとした時の後悔を、過ちを、もう繰り返してはいけない。

サンキュー、斬月ざんけつーー!!

俺が再び迷走しないように呼び掛けてくれた相棒。チカチカと優しい光を放ち、俺に力を貸してくれると言っていた。

風磨親友を殺したい訳じゃない。
そして、俺は斬月お前を人を殺す道具にしたい訳じゃない。
でも、俺は前に、未来に進みたいーー。

そう強く願った時、斬月ざんげつが言った。

『信じて』……と。

俺には、その言葉の意味が何となく分かったような気がした。

ーーああ。信じるッ!!

握る手に力を込めて、脚に力を込めて、俺は思いっきり下から斬月ざんげつ風磨ふうまに振るった。

キイィィィンーー……ッ!!!!!

風磨ふうまがそれを風乱ふうらんで受け止める。
だが、今回は俺と斬月ざんげつも負けちゃいない。一心同体、想いが一つになった俺達の力は風磨ふうま達に……。いや、自分達に打ち勝つ。
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