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第6章(4)紫夕side
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しおりを挟む瞳を見れば分かる。
攻撃の重さや勢いを感じれば分かる。
俺とは対照的に風磨は本気で斬るつもりだ。
何で、こうなったーー?
心に浮かんだ疑問と共に、俺には風磨と初めて会った日の思い出がよみがえる。
お袋が精神的に少し問題があった事から、幼い頃はあまり人と顔を合わせないように住んでいた俺にとって、風磨は初めて出来た友達だった。
親父と風磨の親父さんが仲良しだった事がキッカケで知り合って、俺達もすぐに仲良くなれた。
育ちが良くて、頭の良い風磨の話は当時からよく分からない事もあったが、それでも何か通じ合えるものがあるから、長年付き合えて、親友になれたと思ってたんだ。
それなのにーー……。
「っ、なぁ……俺、なんかしちまったかッ?」
風乱を斬月で止めて、問い掛ける。
「お前が気に入らない事、なにかーー……っ、ぐぁッ!!」
しかし、風磨は攻撃の手を緩めない。
風乱での攻撃に気を取られていた俺の腹にドガッ!!と蹴りを入れて離れると、鼻で笑うようにして首を傾げた。
「別に。さっき言っただろう?
僕は、サクヤが欲しいだけだッ……!!」
そう笑いながら言って、再び斬り掛かってくる風磨。
でも、俺には分かるんだ。
サクヤが欲しいだけーー。
確かに、その気持ちも嘘ではないだろう。
けど、根底は違う。風磨がサクヤに執着している理由は、絶対に違う筈だ。
キィイン……ッ!!!
斬るつもりはない。
俺は風磨ともう一度冷静に、腹を割って話したいだけだった。
そんな想いを込めて、攻撃を見極めて、俺は風乱を弾くと、そのまま身体を回転させて風磨の首に斬月の刃を突き付けた。
「……。驚いたな、本当に速く……」
「質問に答えろ、風磨」
問い掛けに答えようとしない様子に、俺はもう一度強い口調で問い掛ける。
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