スノウ2

☆リサーナ☆

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第6章(4)紫夕side

6-4-2

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瞳を見れば分かる。
攻撃の重さや勢いを感じれば分かる。
俺とは対照的に風磨ふうまは本気で斬るつもりだ。

何で、こうなったーー?

心に浮かんだ疑問と共に、俺には風磨ふうまと初めて会った日の思い出がよみがえる。

お袋が精神的に少し問題があった事から、幼い頃はあまり人と顔を合わせないように住んでいた俺にとって、風磨ふうまは初めて出来た友達だった。
親父と風磨ふうまの親父さんが仲良しだった事がキッカケで知り合って、俺達もすぐに仲良くなれた。
育ちが良くて、頭の良い風磨ふうまの話は当時からよく分からない事もあったが、それでも何か通じ合えるものがあるから、長年付き合えて、親友になれたと思ってたんだ。
それなのにーー……。

「っ、なぁ……俺、なんかしちまったかッ?」

風乱ふうらん斬月ざんげつで止めて、問い掛ける。

「お前が気に入らない事、なにかーー……っ、ぐぁッ!!」

しかし、風磨ふうまは攻撃の手を緩めない。
風乱ふうらんでの攻撃に気を取られていた俺の腹にドガッ!!と蹴りを入れて離れると、鼻で笑うようにして首を傾げた。

「別に。さっき言っただろう?
僕は、サクヤあの子が欲しいだけだッ……!!」

そう笑いながら言って、再び斬り掛かってくる風磨ふうま
でも、俺には分かるんだ。

サクヤあの子が欲しいだけーー。

確かに、その気持ちも嘘ではないだろう。
けど、根底は違う。風磨ふうまがサクヤに執着している理由は、絶対に違う筈だ。

キィイン……ッ!!!

斬るつもりはない。
俺は風磨ふうまともう一度冷静に、腹を割って話したいだけだった。
そんな想いを込めて、攻撃を見極めて、俺は風乱ふうらんを弾くと、そのまま身体を回転させて風磨の首に斬月ざんげつの刃を突き付けた。

「……。驚いたな、本当に速く……」

「質問に答えろ、風磨ふうま

問い掛けに答えようとしない様子に、俺はもう一度強い口調で問い掛ける。
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