スノウ2

☆リサーナ☆

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第6章(2)サクヤside

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聞けば、紫夕しゆうゆきの事を思い出してしまうだろう。
それに、紫夕しゆうの口からゆきの事を聞く、勇気はなかった。

二人きりで居られる時だけは、ゆきが居ない今だけは、ボクだけを見てほしいーー。

そんな想いから、ずっと口に出来なかった。
本当は口にしたくない名前。でも、気になって仕方のない人。
複雑な想いを抱えたまま見つめていると、風磨ふうまさんが微笑んだ。

「ああ、もちろん知ってるよ」

「……「ゆき」は、やさしい?」

「ん?」

「「ゆき」は、ボクのこと……どうおもうかな?」

ずっとずっと、それが心配だった。

「どうして、そんな事聞くの?」

「だって「ゆき」は、しゆーの"だいじなひと"なんでしょ?
……だから、かえってきて、もしボクがしゆーのそばにいたら……いやがらない、かな?」

ゆきがあの家に……。紫夕しゆうの元に帰って来て、自分が居るのを見たらどう思うのかが、ずっと気になっていた。
紫夕しゆうは優しい。ボクと一緒に居てくれるけど、大事な人のゆきがボクを嫌がれば、きっと……、……。

ボクじゃなくて、"ゆき"をえらぶーー……。

そんな事は、分かり切っている事。仕方のない事。

でも、もしゆきが優しい人なら仲良く出来るかも知れない。
紫夕しゆう紫雪しせつゆきと自分が、一緒に暮らせるかも知れない。
そう思った。……だから、…………。

「っ、このかんむりはね!「ゆき」にあげるの!
しゆーと「ゆき」が、やくそくをちかって、しあわせになるんだよ!」

想いを紡いだ花冠を作ろうと思った。
大好きな紫夕しゆうが、大好きなゆきと幸せになってくれたら、それで良かった。
いつも心の中が暖かくなる紫夕しゆうの笑顔が見られたら、ボクもきっと幸せになれる。
今は胸がチクチクして痛む重い塊も、きっと紫夕しゆうの笑顔を見たら消えてくれる。

……そう、思って。涙を堪えて微笑った。
でも、そしたら風磨ふうまさんがニヤリと口角を上げて、おかしそうに「アハハハハッ」って声を上げて笑った。
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