じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。

ゆうらしあ

文字の大きさ
38 / 67
第3章 レベルってゲームですか?

第38話 指導者さんから教えて貰おう

しおりを挟む
「ふぅ……良い朝だ」


 昨日は何だか疲れてしまい早く寝てしまったが、親孝行がてら庭の草取りをするのも悪くない。

 俺は汗を拭いながら、空を見上げる。

 青い空、白い雲。もう夏に差し掛かっているのか、ミーンミーンっとある虫の音がーー



『神の地へ行く事を推奨』



 ……虫の音が聞こえて来る。そうだ。夏と言ったら涼しい物を食べたい。流しそーめんとか店の前でやりたいな。



『神の地へ行く事を推奨』



 …………かき氷とかもやったらメマが『神の地へと行く事を推奨』うだ。あと夏と言ったら海だよな『神の地へ行く事を推奨』ったら、焼きそば『神の地へ行く事を推奨』とうもろこ『神の地へ行く事を推奨』


「シャラップ!!?」


 俺は何度も話しかけて来る声に大きく叫んだ。


「一体さっきから何だってんだ!? いつまでも俺の頭に話し込んできやがって!! お前アレだろ!? 神の地のスキル何だろ!? 何で俺の家まで来て話してんだよ!?」
『否定。神の地である土地からの指摘。神の地へ行く事を推奨』
「うっせぇっ!! どんだけ推奨すんだよ!! バ~カ! 推奨ヴアァ~カ!!」


 俺が空中に向かって巻き舌でバカにしていると、頭に何かが凄い勢いで当たる。


「近所迷惑だろ!! こんな朝早くから1人で叫んでんじゃないよ!!」


 飛んできた方向、家の方を見ると窓から覗いた母さんが、こめかみに血管を浮かび上がらせながら此方を睨んでいた。


 ……地面を見れば、俺のKIROに行く時のトートバッグが落ちている。



『……神の地へ行く事を推奨』


 ……はぁ。今日は休む予定だったんだが。


 俺は頭をさすりながら、KIROへと向かった。





「………何事?」


 すると、そこで待っていたのは黒を基調としたメイド服を着た銀髪美女だった。切れ長で美しい慧眼、そして細身ながらも女性らしさを十分に表しているその身体。

 ハッキリ言って、人形の様だと、そう思った。

 彼女は俺に気付くと、45度の浅い礼をする。


『お待ちしておりました』
「は? この声……」
『はい、先程から声を掛けさせて貰っていました。指導者です』


 ………………うん。まぁ、いいや。


「指導者さん、声は同じだけど口調は違うね」
『距離が離れると流暢には話せなくなる様ですね』


 俺は指導者さんと共にKIROの店内へと入って行く。


「あ! おとーちゃんきたの!!」
「おはようございます。結局来たんですね。そちらの方は?」


 2人は開店作業をしていた様で、俺達が来ると手を止めて指導者さんを見た。


『どうも初めまして。哲平さんにより作られました、指導者です。よろしくお願いします』
「………どう言う事ですかね?」


 そんな。目を細められて見られると、自然と心臓がキュッてなっちゃうよ。だからその目をやめて下さい、俺だってしたくてした訳じゃないんです。


 俺は昨日あった事を、比奈に説明した。



「……なるほど。という事は、この方は『神の地』のskill『指導者』から産まれた存在だと言う事ですね」
『はい』
「指導者さん、貴女はどういう事が出来るんですか?」


 比奈は捲し立てるかの様に、指導者さんへと質問する。それに指導者さんは間髪なく答える。


『私の基本的な役割は知識のサポートになります』
「知識のサポート?」
『はい。例えばですが……此処が〈神の地〉である事はもう理解しているとは思いますが……』


 え、そうなの。


『何故此処が〈神の地〉などと名前が付いているのかご存知でしょうか?』


 その言葉に俺達2人は腕を組んで考え込む。
『神の地』って呼ばれてる理由ねぇ……じいちゃんから譲られた土地にまさかそんな大層な名前付いてるとは思わんかったな、マジで。


「神が此処に住んでいる、とかですかね?」


 比奈が答えると、それに指導者さんは目を見開く。


『お見事、正解です』


 え、マジっすか。


『厳密に言えば、昔は此処に何人もの神が存在していました。その神が亡くなる際に落としていく貴重な命の源と言われる"神石"がある為に癒しの力がーー』
「……ん? 石?」
『どうかなされましたか?』
「あ、い、いや? 続けてくれ」


 神が亡くなる際に落としていく命の源『神石』だと?


 俺は自然と鳴る喉の音を抑えながら、指導者さんの話を促した。


 ま、待って欲しい。神の石ってさ、なんか……思い当たる物が一つしかないのですけど。


「……その神石があるから『神の地』という事なんですか?」
『まぁ、それはついでみたいな物です』


 指導者さんはそう言うと、外で水撒きをしているメマの方を見て言った。


『神石が沢山ある神力の高い場所では、新たな神が産まれやすいのです』
「え、それって……」


 比奈が驚きに目を見開いているが、俺はちょっと理解出来ていない。

 ん? つまり?


『系統的には……植物特化。あの方、魔神です』


 指導者さんは少し口を引き攣らせながら、メマを指差している。



 ウチの子、魔神でした。





 取り敢えず今日はもうB級映画見ね?
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

処理中です...