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第1章 現実? 異世界? 夢?
第3話 ヒャッハー! ……ん?
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「よし、夜明け前に始まるからそろそろだなぁ」
俺は寝過ごす事なく早朝現場へと着くと、まだ太陽が見えない薄暗い中1人でにボソッと呟いた。
既に何人か私と同じぐらいの年代の少年達が少し離れた所で話しをしているが、アレは決して私の友達ではない。
「おい! 随分遅い出勤だな……!!」
そこにいる茶髪のクソガキに、私は肩を思い切り押されよろめく。
うわ……確かコイツ……
「前も言った筈だぞ? お前は街でも悪目立ちする、その事を踏まえて優しい親方が雇ってやってるんだ。だから1番乗りに現場に来て整理しておけって言っただろ!?」
そう。コイツらは俺の事をイジメる事が大好きなクソガキである。
クソガキの背後にも居る3人程の少年達もクソガキの仲間で、此方をニヤニヤと見ているだけ。
つまりは、どっちもクソガキだ。
こう言うのは面倒だから無視するのが1番。
でもーー。
「俺がやれとは言われてないだろ? 新人全員で協力してやれっていうのが先輩からの指示だった筈だ」
俺が淡々と告げると、反論されるとは思っていなかったのか、クソガキが半歩程後退する。
「は、はぁ? 急に口調を強めても変わんないぞ? また痛い目に逢いたいのか? 昔にションベンを漏らすまで殴られたいみたいにな!!」
手の骨を鳴らしながらクソガキは言ってくる。
この子は親方に拾われた小さな頃から、こんな責めをされてたんだなぁ。そしてそんな中で、この子は1人で頑張って来た……。
複数の男に襲われる、そんな状況が過去にもあった為か、心の奥底にある感情が震える。怖がっているのが分かる。
でも俺になったからには、この気持ちを改善してあげよう。
俺は近くにあった木材を手に取って、前に構えた。
「今度はお前らににウ◯コ漏らしてやるよぉっ!!!」
この数年で鍛えた技を見せてやる!
ーーという事はなく……子供達の喧嘩は親方達、大人等が来て沈静した。
大人が来るまでの十数分、結局俺は身体のあちこちに青タンを作りながらも、4人の股間を濡らす事は出来なかった。あと3分もあれば行けたかも……。
因みに俺が殴られた所は痛みはない。何か当たった程度で、手を開いたら閉じたりすると少しぎこちなく感じるというだけだ。
「それで? 何で殴り合っていた?」
そして今、俺達は親方の前に正座させられていた。仕事が始まっているにも関わらずいつもの勢いの無い落ち着いた声に、クソガキの取り巻き3人は戸惑っている様だ。
「コイツがいきなり殴り掛かって来たんです!!」
しかし、率先して私に殴り掛かったクソガキが1人でに、私を指差して言ってくる。それに同意する様に取り巻きの3人も頷く。
コイツはまた……。
「アメリアがか?」
「はい!!」
「……本当か? アメリア?」
クソガキがニヤけながら此方を見て来る中、親方が睨みを利かせて私を見る。
このクソガキは俺が泣くとでも思ってるのかね?
俺は落ち着き払い、淡々と告げる。
「いえ、コイツが現場の後片付けを俺1人にさせようと殴りかかって来たので、対処しました」
私がハッキリと答えたのに驚いたのか、親方とクソガキ共は目を点にする。
親方は怖い、だけどそれ以上に優しさを持っている人だ。怒る時は何かしらちゃんと理由があり、それが親方の義に反しているのかが問題。
だから多分ーー
「っ……はっはっはっ!! そうか!! よし!! アメリアは少し休んでから仕事に入れ!! 本来なら休みだしな!!」
「! はいっ!!」
親方は涙を流して笑った後、俺はを手で払って仕事場の方へ行けと促した。
親方は悪い事が嫌いだ。それこそ小さな事でも見逃せない。先輩方がタバコのポイ捨てをしてた時は、思い切り怒鳴って怒っていた。
仕事前の後片付けも、本当は先輩方が親方にやれと言われた仕事だった筈だ。
まぁ、つまりーー
「オラッ!! お前らは早く仕事行けっ!!」
「「「「は、はい……」」」」
親方の拳がクソガキ共の頭にタンコブを作る。クソガキ共は俺の方を涙目で睨みながら、仕事場は向かう。
ふふっ、俺の完全勝利である。まぁ、今日が休みだなんて思ってすらいなかったけど。
遠くから聞こえてくるクソガキ共を叱る先輩達の声を心地良く感じながら、何処か身体に異常がないか調べていると、俺の前を親方が通り過ぎる。
「やっと、英雄らしくなって来たんじゃねぇか?」
親方は歯を見せ、楽しそうに笑みを深めながら俺の前を通り過ぎた。
その言葉はやっと誰かに認められた様で……現実世界ではない、本当に俺と親しくしてくれているんだと言うようで、本当に夢の様な心地だった。
俺はそんな親方の背中を見て、力強く地面を蹴って後を追おうとした。
その瞬間。
俺の目の前に光るボードが現れる。
【チュートリアルの初じめてのクリアを確認】
【システムが開拓されました】
【貴方は英雄の一歩を踏み出しました。貴方はまだ非力で何の影響力もない、ただの孤児です。しかし、どんな世界においても諦めない精神が、これからの貴方を助けるでしょう】
……俺は夢でも見てるのか?
【獲得者の分析を始めますーー……完了しました】
【ユニークスキル『明晰夢』のレベルが最大になりました】
【夢であるという認識が貴方を強くします】
【称号『異世界へと自力で渡れる者』を獲得しました】
【称号『表裏一体』を獲得しました】
【現実と夢に於ける、能力の同調を始めます】
その言葉を見た瞬間から、俺の視界は暗くなった。強制的に意識を閉ざされて行き、数秒後に戻った視界。
そこにはーー。
「……ん? 」
俺……さっきまで親方の後を追っかけようとしてたよな?
さっきまで居たのは『剣聖』の屋敷の横。使用人達が過ごす為の建物を作っていた筈だった。
「俺、現実に戻って来たのか?」
そこは、元の世界。俺が泉 玲として過ごした世界だった。
俺は寝過ごす事なく早朝現場へと着くと、まだ太陽が見えない薄暗い中1人でにボソッと呟いた。
既に何人か私と同じぐらいの年代の少年達が少し離れた所で話しをしているが、アレは決して私の友達ではない。
「おい! 随分遅い出勤だな……!!」
そこにいる茶髪のクソガキに、私は肩を思い切り押されよろめく。
うわ……確かコイツ……
「前も言った筈だぞ? お前は街でも悪目立ちする、その事を踏まえて優しい親方が雇ってやってるんだ。だから1番乗りに現場に来て整理しておけって言っただろ!?」
そう。コイツらは俺の事をイジメる事が大好きなクソガキである。
クソガキの背後にも居る3人程の少年達もクソガキの仲間で、此方をニヤニヤと見ているだけ。
つまりは、どっちもクソガキだ。
こう言うのは面倒だから無視するのが1番。
でもーー。
「俺がやれとは言われてないだろ? 新人全員で協力してやれっていうのが先輩からの指示だった筈だ」
俺が淡々と告げると、反論されるとは思っていなかったのか、クソガキが半歩程後退する。
「は、はぁ? 急に口調を強めても変わんないぞ? また痛い目に逢いたいのか? 昔にションベンを漏らすまで殴られたいみたいにな!!」
手の骨を鳴らしながらクソガキは言ってくる。
この子は親方に拾われた小さな頃から、こんな責めをされてたんだなぁ。そしてそんな中で、この子は1人で頑張って来た……。
複数の男に襲われる、そんな状況が過去にもあった為か、心の奥底にある感情が震える。怖がっているのが分かる。
でも俺になったからには、この気持ちを改善してあげよう。
俺は近くにあった木材を手に取って、前に構えた。
「今度はお前らににウ◯コ漏らしてやるよぉっ!!!」
この数年で鍛えた技を見せてやる!
ーーという事はなく……子供達の喧嘩は親方達、大人等が来て沈静した。
大人が来るまでの十数分、結局俺は身体のあちこちに青タンを作りながらも、4人の股間を濡らす事は出来なかった。あと3分もあれば行けたかも……。
因みに俺が殴られた所は痛みはない。何か当たった程度で、手を開いたら閉じたりすると少しぎこちなく感じるというだけだ。
「それで? 何で殴り合っていた?」
そして今、俺達は親方の前に正座させられていた。仕事が始まっているにも関わらずいつもの勢いの無い落ち着いた声に、クソガキの取り巻き3人は戸惑っている様だ。
「コイツがいきなり殴り掛かって来たんです!!」
しかし、率先して私に殴り掛かったクソガキが1人でに、私を指差して言ってくる。それに同意する様に取り巻きの3人も頷く。
コイツはまた……。
「アメリアがか?」
「はい!!」
「……本当か? アメリア?」
クソガキがニヤけながら此方を見て来る中、親方が睨みを利かせて私を見る。
このクソガキは俺が泣くとでも思ってるのかね?
俺は落ち着き払い、淡々と告げる。
「いえ、コイツが現場の後片付けを俺1人にさせようと殴りかかって来たので、対処しました」
私がハッキリと答えたのに驚いたのか、親方とクソガキ共は目を点にする。
親方は怖い、だけどそれ以上に優しさを持っている人だ。怒る時は何かしらちゃんと理由があり、それが親方の義に反しているのかが問題。
だから多分ーー
「っ……はっはっはっ!! そうか!! よし!! アメリアは少し休んでから仕事に入れ!! 本来なら休みだしな!!」
「! はいっ!!」
親方は涙を流して笑った後、俺はを手で払って仕事場の方へ行けと促した。
親方は悪い事が嫌いだ。それこそ小さな事でも見逃せない。先輩方がタバコのポイ捨てをしてた時は、思い切り怒鳴って怒っていた。
仕事前の後片付けも、本当は先輩方が親方にやれと言われた仕事だった筈だ。
まぁ、つまりーー
「オラッ!! お前らは早く仕事行けっ!!」
「「「「は、はい……」」」」
親方の拳がクソガキ共の頭にタンコブを作る。クソガキ共は俺の方を涙目で睨みながら、仕事場は向かう。
ふふっ、俺の完全勝利である。まぁ、今日が休みだなんて思ってすらいなかったけど。
遠くから聞こえてくるクソガキ共を叱る先輩達の声を心地良く感じながら、何処か身体に異常がないか調べていると、俺の前を親方が通り過ぎる。
「やっと、英雄らしくなって来たんじゃねぇか?」
親方は歯を見せ、楽しそうに笑みを深めながら俺の前を通り過ぎた。
その言葉はやっと誰かに認められた様で……現実世界ではない、本当に俺と親しくしてくれているんだと言うようで、本当に夢の様な心地だった。
俺はそんな親方の背中を見て、力強く地面を蹴って後を追おうとした。
その瞬間。
俺の目の前に光るボードが現れる。
【チュートリアルの初じめてのクリアを確認】
【システムが開拓されました】
【貴方は英雄の一歩を踏み出しました。貴方はまだ非力で何の影響力もない、ただの孤児です。しかし、どんな世界においても諦めない精神が、これからの貴方を助けるでしょう】
……俺は夢でも見てるのか?
【獲得者の分析を始めますーー……完了しました】
【ユニークスキル『明晰夢』のレベルが最大になりました】
【夢であるという認識が貴方を強くします】
【称号『異世界へと自力で渡れる者』を獲得しました】
【称号『表裏一体』を獲得しました】
【現実と夢に於ける、能力の同調を始めます】
その言葉を見た瞬間から、俺の視界は暗くなった。強制的に意識を閉ざされて行き、数秒後に戻った視界。
そこにはーー。
「……ん? 」
俺……さっきまで親方の後を追っかけようとしてたよな?
さっきまで居たのは『剣聖』の屋敷の横。使用人達が過ごす為の建物を作っていた筈だった。
「俺、現実に戻って来たのか?」
そこは、元の世界。俺が泉 玲として過ごした世界だった。
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