12 / 49
第2章 別に…
第12話 文化祭実行委員(葵視点)
しおりを挟む
「じゃあ今日は文化祭の事について色々決めるよ~」
教壇に立っている小さな先生。大山《おおやま》先生が、のんびりとした声で言う。
文化祭…うちの文化祭ってどういう風のなんだろ? 興味なかったからどんなのか分からないや…
私がこの学校へと進学を決めた理由は、此処が1番近く、学費を1番安く済ませれる学校であったからだ。それ以上もそれ以下もない。
葵は頬杖を着きながらつまらなそうに聞いていると、
「出し物って例えば何やるんですか?」
1人の男子生徒が手を挙げて質問する。
「うちの学校の文化祭はここら辺でも大きな文化祭だからね~、まず1クラスに1つ神輿を担いで商店街を歩いてもらうよ~」
「え! 凄っ!!」
「逆に知らなかったのかよ」
「これがあるから頑張って此処に入学した様なもんだぜ!」
男子達は大盛り上がりで騒いでいる。
それに対して女子はそこまで盛り上がっていない。
神輿するってなると、汗かくだろうし、メイクとか崩れそうだもんね。私もぶっちゃけ神輿はそこまで嬉しくない。暑いし、疲れるし。それだったら中で本読んでる方がマシだ。
「あと、学校の敷地内の何処かで屋台とか出し物をするからね~」
大山先生からそう告げられると、今度は女子が少し盛り上がる。
「出し物…メイド喫茶とか?」
「ちょっと~嫌だよ~!」
「えー! じゃあお化け屋敷とかは?」
うーん、どちらも大変そうだ。
私は極力こういうイベント事は、静かに過ごしたい派だ。なるべく大人しくしていよう…。
「じゃあ、その何か出し物をやるに当たって、文化祭実行委員を2人決めるよ~。誰かやりたい人とかいる~?」
大山先生からの言葉で、一瞬にして教室が静まり返る。
それもそうだ。好き好んで大変そうな役割をしたがる人はいないでしょ。
「だよね~…だから今回私が頑張ってクジを作ってきました~」
大山先生が教壇の上に取り出したのは、上に穴が空いた小さな箱。そこからは何本か割り箸の様なものが飛び出している。
「これから当たりを引いた人は委員って事で~」
皆んなが顔を顰めながら、ぞろぞろと立ち上がり、列を成す。
…絶対なりたくない。
そう思いながら葵は、ゆっくりと列の最後尾に並んだ。
「は~い。じゃあ決まったみたいだね~文化祭実行委員は、高波《たかなみ》くんと神原さんね~。頑張って~」
「げぇ~! ついてねぇ!!」
「…」
大山先生は窓際に机と椅子を置くと、疲れたとも言いたげに突っ伏し、私と高波くんは、黒板の前に立つ。
…はぁ。最近私、運使い果たしてるかも。
葵は少し息を吐き、前を向く。皆んなの視線は私達が2人に集まっている。
「流星! ついてねぇな!!」
「しっかりねー!」
「ハハッ! 少しは役に立てよ~!」
「う、うるせぇ! 分かってらい!」
高波くんは、友達と楽しそうに話している。
高波 流星くんは、少しガラの悪い様な風貌をしている。まぁ、ガラの悪いと言っても少し制服を着崩してきてるぐらいだけど、男女問わず仲がいい、所謂陽キャの人だ。
そして親しみやすい性格で、皆に愛されている。顔もイケメンの部類で、ガラの悪さが少しあるが、それが女子には良いらしい。
まぁ、私は何とも思わないけど。
「よーし、じゃあ皆んなやりたい事言えー」
高波くんがそう言うと、クラスの皆んなからドンドンと意見が出てくる。
「お化け屋敷やろう!」
「メイド喫茶でしょ!」
「焼きそばやりたい!」
「焼き鳥!!」
etc…
うわー…凄い。
「マジか…こんな出るんかい…神原さん、板書してくれない?」
「あ、うん」
高波くんもこれは予想してなかった様で、驚きの表情を浮かべ、私は高波くんの指示通り、板書を始めた。
「ん…あ、もうこんな時間ね~。皆んな終了~。また時間はとるからね~」
そう言うと、教室にいる人達は各々昼休憩に入る。
「はぁ…疲れた」
私は小さく呟き、首を回す。ずっと板書をしていた所為か、腕も疲れた気がする。これから部活もあると言うのに、もう1日分の力を使い切った…特に精神が。
実行委員になっただけで、これ…。
本当に最悪。
葵は眉間に皺を寄せて、自分の席へと戻る。
「あ、神原さん。ちょっと良い?」
その途中で、さっきまで聞いていた声が私を呼び止める。
「…何?」
「少し時間、さ…良いか?」
高波くんは少し俯きながら言った。
教壇に立っている小さな先生。大山《おおやま》先生が、のんびりとした声で言う。
文化祭…うちの文化祭ってどういう風のなんだろ? 興味なかったからどんなのか分からないや…
私がこの学校へと進学を決めた理由は、此処が1番近く、学費を1番安く済ませれる学校であったからだ。それ以上もそれ以下もない。
葵は頬杖を着きながらつまらなそうに聞いていると、
「出し物って例えば何やるんですか?」
1人の男子生徒が手を挙げて質問する。
「うちの学校の文化祭はここら辺でも大きな文化祭だからね~、まず1クラスに1つ神輿を担いで商店街を歩いてもらうよ~」
「え! 凄っ!!」
「逆に知らなかったのかよ」
「これがあるから頑張って此処に入学した様なもんだぜ!」
男子達は大盛り上がりで騒いでいる。
それに対して女子はそこまで盛り上がっていない。
神輿するってなると、汗かくだろうし、メイクとか崩れそうだもんね。私もぶっちゃけ神輿はそこまで嬉しくない。暑いし、疲れるし。それだったら中で本読んでる方がマシだ。
「あと、学校の敷地内の何処かで屋台とか出し物をするからね~」
大山先生からそう告げられると、今度は女子が少し盛り上がる。
「出し物…メイド喫茶とか?」
「ちょっと~嫌だよ~!」
「えー! じゃあお化け屋敷とかは?」
うーん、どちらも大変そうだ。
私は極力こういうイベント事は、静かに過ごしたい派だ。なるべく大人しくしていよう…。
「じゃあ、その何か出し物をやるに当たって、文化祭実行委員を2人決めるよ~。誰かやりたい人とかいる~?」
大山先生からの言葉で、一瞬にして教室が静まり返る。
それもそうだ。好き好んで大変そうな役割をしたがる人はいないでしょ。
「だよね~…だから今回私が頑張ってクジを作ってきました~」
大山先生が教壇の上に取り出したのは、上に穴が空いた小さな箱。そこからは何本か割り箸の様なものが飛び出している。
「これから当たりを引いた人は委員って事で~」
皆んなが顔を顰めながら、ぞろぞろと立ち上がり、列を成す。
…絶対なりたくない。
そう思いながら葵は、ゆっくりと列の最後尾に並んだ。
「は~い。じゃあ決まったみたいだね~文化祭実行委員は、高波《たかなみ》くんと神原さんね~。頑張って~」
「げぇ~! ついてねぇ!!」
「…」
大山先生は窓際に机と椅子を置くと、疲れたとも言いたげに突っ伏し、私と高波くんは、黒板の前に立つ。
…はぁ。最近私、運使い果たしてるかも。
葵は少し息を吐き、前を向く。皆んなの視線は私達が2人に集まっている。
「流星! ついてねぇな!!」
「しっかりねー!」
「ハハッ! 少しは役に立てよ~!」
「う、うるせぇ! 分かってらい!」
高波くんは、友達と楽しそうに話している。
高波 流星くんは、少しガラの悪い様な風貌をしている。まぁ、ガラの悪いと言っても少し制服を着崩してきてるぐらいだけど、男女問わず仲がいい、所謂陽キャの人だ。
そして親しみやすい性格で、皆に愛されている。顔もイケメンの部類で、ガラの悪さが少しあるが、それが女子には良いらしい。
まぁ、私は何とも思わないけど。
「よーし、じゃあ皆んなやりたい事言えー」
高波くんがそう言うと、クラスの皆んなからドンドンと意見が出てくる。
「お化け屋敷やろう!」
「メイド喫茶でしょ!」
「焼きそばやりたい!」
「焼き鳥!!」
etc…
うわー…凄い。
「マジか…こんな出るんかい…神原さん、板書してくれない?」
「あ、うん」
高波くんもこれは予想してなかった様で、驚きの表情を浮かべ、私は高波くんの指示通り、板書を始めた。
「ん…あ、もうこんな時間ね~。皆んな終了~。また時間はとるからね~」
そう言うと、教室にいる人達は各々昼休憩に入る。
「はぁ…疲れた」
私は小さく呟き、首を回す。ずっと板書をしていた所為か、腕も疲れた気がする。これから部活もあると言うのに、もう1日分の力を使い切った…特に精神が。
実行委員になっただけで、これ…。
本当に最悪。
葵は眉間に皺を寄せて、自分の席へと戻る。
「あ、神原さん。ちょっと良い?」
その途中で、さっきまで聞いていた声が私を呼び止める。
「…何?」
「少し時間、さ…良いか?」
高波くんは少し俯きながら言った。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる