赤頭巾ちゃん

mare

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初めてのけんか?4

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 久しぶりに笑った気がする。

 最近は、あの二人が気になってモヤモヤして疑心暗鬼になって。何をするにも楽しくなくて。悪いことしか考えてなかった。

 グレーテルが作ってくれた夕食を食べながら今まで行った国の話をしてくれた。自分の知らない世界。今まで自分は本当に何も知らずに生きてきたのだと思い知らされる。私の話は聞いてこない……気を使ってくれてるんだろう。

「色んな国に行ったのね。川や湖よりも広い……海だっけ?……見てみたいものね」

まだ、見たことのない海を想像してみる。湖をもっと広くしたのしか想像出来ない。ここからはかなり遠く簡単には行けそうにもない。

「うーん。想像してみてもやっぱり私の頭じゃ限界みたい」

クスクスと笑うグレーテル。嫌味ではなく純粋に笑う姿に釣られ笑っていた。

「赤頭巾が良いのなら、連れて行ってあげるよ?今回の仕事ももうすぐ終わるから。この仕事が終われば丁度、海の方の街に滞在する予定だったから」

「ほんと !? 嬉しい!! あ……、でも」

喜んだものの後ろ髪が引かれるようにオオカミさんの顔が浮かぶ。

「……何でもない……連れて行って」

引かれた想いを消すように首を振り、追い出そうとするが出ていかない。なら、押し込めて深く深く隠して忘れてしまおう。もう、会えない遠くに行ってしまえばいい。


「いいの?俺は一緒に赤頭巾が来てくれたら嬉しいよ。けど、ここにはいつ戻れるか分からないよ?」

「……もう、いいの。お願いがあるんだけど。グレーテルが良いのなら甘えついでに仕事手伝うから住む所が決まるまで一緒について行ってもいい?」

言い終わると同時に頭を下げグレーテルの反応を待つ。


「別に仕事を手伝わなくても赤頭巾を養う余裕はあるし。俺には気を使わなくていいよ。それに、俺って結構儲けてるよ」

 少しおどけて話す。その姿は成長したグレーテルと懐かしい子供の姿と重なる。

「あぁ、もう少ししたら仕事で出なきゃ行けないんだ。寝るなら俺のベッドがこの奥にあるから好きに使って」

「えっ、もう、こんなに暗くなって来たのに?」

「お得意様がこのぐらいじゃないと会えないんだよね。これも客商売の宿命…かな」

「客商売って大変なのね。行ってらっしゃい、頑張ってね」

「ありがとう。……こういうの良いね」

 そう言ってこちらを真っ直ぐに見つめてくるグレーテルにドキッとしてしまう。それに耐えきれずに口を開く。

「グレーテルに可愛い奥さんが出来たら毎日、言ってもらえるじゃない。」

「……可愛けりゃいいってもんじゃないけどね」

 どこか含みを持たせて笑う彼は何処か寂しそうだった。しばらくすると食事も終わり片付け終わると伸びをしながらグレーテルは椅子に掛けていたジャケットを羽織る。

「もう、そろそろ行かないと……。久しぶりに楽しかったよ。赤頭巾はゆっくり休むといいよ。行ってきます」

「ありがとう、グレーテル。気をつけて行ってきてね」

 ぽんぽんと優しく頭を撫でるとグレーテルは暗くなった街へと出ていった。
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