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第一章・はじまりの物語
第一章の登場人物紹介
しおりを挟む主人公とその周囲の人物
虎藤 燈
本作の主人公。高校二年生の十六歳。
学校内外で不良生徒と認知されている男子高校生であるが、実際のところは死別した両親が与えてくれた自分の名前を馬鹿にした者や筋の通らない物事に対して怒りを露わにするだけであり、弱い者への暴行やいじめ等は行っていない。
大和国が用意した試し刀では測定出来なかったが、千年に一人レベルの膨大な気力を持つ逸材である。
死にかけた自分を救ってくれた宗正の掲げる『最強の武士団を作る』という計画に参加することになり、彼の指導の下、眠らせていた才能を開花させたことで、元々の喧嘩慣れと相まって相当の実力を持つ剣士へと成長を遂げた。
気力の属性は火。火力や一撃の攻撃に優れた属性の気力であり、それを持ち味とした戦い方を宗正からは伝授された模様。
口調は荒く、顔も怖いが、面倒見の良い性格であるようで、後輩の正弘や危機に瀕していたこころを助けるなど、困っている人間を見捨てることが出来ない性格をしている。
なお、元の世界では親しい友人も恋人もいなかった。当然、童貞。
所持武神刀
『紅龍』
製作者は宗正。燈の気力属性である火に適合しつつ、彼の莫大な量の気力を注がれても壊れない丈夫さと切れ味を兼ね備えた逸品。
能力はシンプルな気力変換だが、上記の通り燈の化物じみた気力をそのまま炎に変換するため、その気になれば山一つを薙ぎ払うだけの巨大な炎柱を作り出すことも可能。
使用する技
『火柱斬り』
正式な名称は無い、単純に『紅龍』に大量の気力を注ぐことで出来た火柱で敵を斬る技。
狒々たちとの戦で使われた際には、初撃で敵陣を壊滅させると共に、燈に一番槍の栄誉を齎した。
『焔』
火属性の初歩剣技。斬り下ろしの際に武神刀に注いだ気力を爆発させ、敵の防御ごと焼き尽くす技。
ただ闇雲に気力を注ぐのではなく、適切なタイミングで適切な量の気力を送り込まなくては完成しない。
完璧に気力の扱いを習熟した者が放つ繰り出されるこの技は、速度、威力共に基本の技とは思えない域に達している。
蒼
崖から突き落とされた燈を救った命の恩人。
燈が宗正の弟子となってからは、兄弟子として彼の面倒を見つつ、良き相棒として活躍する。
詳しい年齢は不明。誕生日もわかっていない。
苗字に関しても不明であり、そもそも蒼という名前自体も本名であるか定かではない。
性格に関しては、燈同様に面倒見が良く、物腰も柔らかい。
穏やかで優しい性格をしており、若干問題がある師匠を反面教師にしたお陰か、しっかり者になっている。
気力の属性は水。燈と同等の気力量を有しており、宗正の下で長年の修行を行ったため、剣技も気力の扱いも彼の方が上。
戦闘においては水属性の変幻自在の剣技に加え、冷静な状況判断能力を活かして戦う。力の燈に対して、技の蒼といった感じ。
異世界の住人である燈に大和国の情報を教える役目も担っており、色んな意味で彼は燈にとって頭の上がらない存在である。
実は女性に対する免疫がなく、遊郭でも余裕がなかった。当然のごとく、童貞。
所持武神刀
『時雨』
製作者は宗正。燈の『紅龍』の水属性バージョン。
ただし、単純な火力特化の火属性と違い、水の形状や勢いを緻密に操作する必要がある水属性の武神刀であるが故、繊細な気力操作と扱いが必要。
敵を押し流す荒波を作ることも、薄く研ぎ澄ました水の刃を作ることも出来る万能武神刀であり、蒼の技術と合わさればどんな場面にも対応出来ることは間違いないだろう。
使用する技
『漣』
限界まで圧縮した水の刃を斬撃として放つ水属性剣技の基礎。
極めれば多くの敵を一斉に断つことも、確実に相手の首を取ることも出来る。
宗正
燈と蒼の師である老人。かつては大和国の幕府からもその実力を認められた剣士であり、十傑刀匠と呼ばれる高名な刀鍛冶師でもあったが、天才であるが故の発想や思想を理解されなかったがためにその名を剥奪され、山奥に引きこもるようになった。
しかし、自分たちの考えが間違っているとは思っておらず、必ずや妖との戦いに自分たちの打った刀やそれを使う武士が必要になると予想していたようであり、他の二名の刀鍛冶師たちと「それぞれ弟子を育て、彼らに最強の武士団を結成させる」という約束を交わしてから別れた。
武芸百般に通ずる武士であり、幾つもの名刀を作り上げた超一流の刀匠……と聞くと厳格な人物を思い浮かべがちだが、実際は割とお茶目な好々爺である。
若い頃は結構な遊び人だったようで、その経験から蒼や燈に(あてにならない)助言を送ることもしばしば。
しかして、彼の人を見る目は確かであり、燈や蒼が力だけでなく心の中に優しさと正しさを持つ人間であることを見抜いてから教えを授けるなど、師としての適性もまた間違いなく超一流の人物である。
椿 こころ
燈の同級生であり、元下働き組の生徒。十六歳。
大人しい性格をしており、目立たない女子生徒ではあるが、一年生三人組が目を付けるくらいには可愛らしい容姿をしている。
下級生たちに脅され、暴行されそうになっていたところを燈に救われてから彼を意識しており、燈が妖に殺されたと聞かされた時には少なからずショックを受けた。
その後、竹元たちの話を聞き、燈抹殺の真実を知ってしまったために彼らの手で奴隷商へと売り飛ばされ、そこから更に輝夜の町に在る『黒揚羽』へと売られたことで遊女となる。
たまたまそこを訪れた燈と再会し、彼の尽力もあって無事に身請けされ、燈たちと共に宗正の下で暮らすことになった。
性格は年相応の乙女。引っ込み思案なところがあり、きゃぴきゃぴした女友達との付き合いは苦手。
恋人もおらず、初恋もまだであったが、二度に渡って自分を救ってくれた燈に想いを寄せるようになった。
なお、プロポーションはなかなかに良い。CかDくらいはありそう。
学校の人間たち
神賀 王毅
燈のクラスメイトで、2-Aの中心的人物。
サッカー部のエースであり、学校内外からも高い評価を受けるイケメン。性格も良いが、若干流されやすい部分がある。
試し刀での計測において七色の気力とそれに見合った気力量を発現させたため、英雄扱いされる一同の中でも特に優秀という評価を大和国側からも受けている。
クラスメイトたちも彼を盛り立て、英雄の長として振舞わせようとしているが、本人はその扱いに困惑気味。
燈が死んだと聞かされたことを契機に、これ以上の犠牲を出さぬよう尽力しようとするが、実際は全ての計画を立てた順平の掌の上で踊らされていただけであり、お人好しな性格を彼に利用され、その真意に気が付くこともなかった。
狒々との戦で評価を地に堕とした順平のことを今現在も信用しており、それが彼に再起の芽を与えていることになっている。
信用してはいけない人物を信用してしまう、優秀で尊敬出来るがあまり上司にはしたくないタイプの人間。
気力属性は火や水といった全ての属性を併せ持つ複合属性。
気力の量も相当に多いため、大和国側が英雄として期待を寄せるのも当然のことであろう。
田中 正弘
燈たちの一つ下の後輩。ひょろひょろのもやし系男子。
下働き組で生活する中で燈と親交を深め、面倒見の良い彼を慕うようになる。
燈が死んだと聞かされた際には一番ショックを受け、暫くは食事も喉が通らなかった。
竹元軍として再編された下働き組の中でも戦力としてはカウントされておらず、専ら雑用をこなす日々を送っていたが、狒々との戦の最中、正体を隠した燈と再会したことで気を持ち直し、再び彼と顔を合わせた際に胸を張れる自分であろうと努力を始める。
元々気が弱く、愚痴っぽいオタク男子であったが、いい意味での諦めの悪さと我を通そうとする意志の強さを持ち合わせており、燈の影響を受けてその部分が目立つようになっている。
なお、燈が正体を隠して戦に参加していることから、今は自分が生きていることを知らせたくないという意思を読み取っており、彼の生存を黙秘し続けている。
なので学校に在籍する生徒の中で燈が生きていることを知っているのは正弘だけ。
しっかり童貞。
竹元 順平
燈のクラスメイト。軽薄でプライドの高い嫌な奴だが、ノリが良いため同じような人間とつるむことが多い。
転移後に燈の名前を馬鹿にしたことが彼の逆鱗に触れ、クラスメイトたちの前で謝罪させられるという自業自得な報いを受ける。
以降、その件で燈を逆恨みし、気力の無い彼を抹殺すべく同じく燈に恨みを持つ一年生三人組と辛い生活を送っていた下働き組を傘下に引き入れ、燈を嵌めて崖から突き落とす。
その後は上手く立ち回り、武神刀を得て戦力として数えられるようになった下働き組を指揮する軍団長として成り上がる傍ら、自身の秘密を知ったこころを学校から排除しつつ彼女を売って手に入れた金で軍の武装を整えるなど、立場を利用して着々と力を蓄え続けた。
が、しかし、狒々との戦で期待していた手柄を立てられず、その全てを奪った包帯男=燈に詰め寄ったことで仲間内の評価ががた落ちになり、戦力の一柱として数えていた日村が討ち死にしたことで、軍団としての力も低下してしまい、落ち目に遭っている。
軽薄な性格が災いして親友と呼べる存在もおらず、信頼出来る仲間も作らないままでいるため、彼自身が思っているほど周囲からの評価はよろしくない。
だが、同じく軽薄な女子と付き合うことが多々あるため、それなりに女性経験は豊富である。
石動 慎吾
燈のクラスメイトで王毅の親友。サッカー部ではゴールキーパーを担当している。
熱血漢でありながらも広い視野を持ち合わせており、異世界で英雄として祭り上げられる王毅を盛り立てようとしている一番の人間。
頼りになり、尊敬されるリーダーとして王毅を演出し、自分が憎まれ役を買って出るなど、彼をリーダーとして据えようとしているその意思は本物である。
しかし、彼自身がそのポジションに酔っている部分も否定しきれず、土方歳三のような副長になれているかもまた微妙。
少なくとも、王毅同様に順平の目論見や思惑を察することが出来ないくらいにはずぼらである。
気力属性は火と光の複合属性。詳細は不明だが、脳筋な戦い方をする模様。
黒岩 タクト
燈のクラスメイト。元はおどおどした性格のやや太めのオタク男子であり、順平たちのグループから虐められていたが、大和国にて自分が相当な気力を持っていると知らされてからは打って変わって傲慢な性格の人間へと変貌した。
燈が死んだと聞かされてもその死を嘆くどころか「役立たずなら死んでも構わない」と発言してしまう程に調子に乗っており、それを諫める人間が数少ないこともまた、彼の増長を促している模様。
今はかつて彼を虐めていた順平たちのように振る舞い、自分の力に酔っている。王毅は彼の変化が取り返しのつかないところにいってから悪いものであったことに気が付いたことを後悔しており、どうにか元の気の優しい彼に戻って欲しいと願っている。
気力の属性はかなり希少で強力である雷。
七瀬 冬美
燈のクラスメイト。陸上部所属のクールビューティー。
ストイックに競技と向かい合う姿勢は男女問わず人気があり、陸上部でも期待のホープとして注目されているため、認知度は高い。
気力の属性は水と風の複合属性である嵐。詳細は不明だが、狒々との戦の際には広範囲を一気に攻撃する技で王毅たちの道を切り開いた。
だが、その戦い方は気力を大量に消費する模様で、大和国の人間よりも圧倒的に多い気力を持つ彼女でもかなり消耗してしまい、その後の猿鬼との戦いではほぼほぼ何も出来ない状態に陥っている。
その後、燈たちに救われて命を拾った彼女は、弱いくせに猿鬼に立ち向かった正弘に興味を抱いた様子。
竹元軍の面々に雑用を言いつけられ、思うように鍛錬の時間が取れない彼のために、何か動いているようである。
なお、美人だが胸は薄い。大事なことなのでもう一度いうが、胸は薄い。
大和国の人間
花織
大和国の巫女であり、転移した燈たちに説明を行った人物。
年齢は燈たちと同年代でありながら、幕府直属の巫女として仕える優秀な人物である。
気力測定の際、並外れた才覚を見せた王毅を英雄として慕い、その想いは恋慕にまで至った。
今も大和国幕府の意向で王毅専属の御子として彼をサポートしており、出番こそ無いが縁の下の力持ちとして活動している。
大和国としては、優秀な巫女である彼女と英雄である王毅の間に子が出来れば未来も安泰という思いがあり、二人がそういった関係になることを目論んでいる部分もある。
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