Love Me Detar

マシュー

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第16話

メグミ

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数日後、マーブルバイオ科学研究所に、ひとりの女性が訪ねてきた。

その女性は政府から依頼されて来たという。

政府からの依頼というのは、そう、マーブル博士が政府の役人に頼んでいた「助手ロボットが欲しい」という要望を受け、政府側が早急な対応を取ったものだ。

マーブル博士のいる部屋の前に立つその女性は、ドアを2回コンコンとノックした。

するとドアが開きマーブル博士が出迎えた。

「おぉ!君が例のロボット博士だね?どうぞどうぞ、中へお入りなさい。」

「失礼致します。」
女性は黒髪を後ろで1つに束ねて、丸いメガネをかけている。

「はじめまして、わたくしロボット工学研究所から参りました、メグミと申します。マーブル博士、この様な形でお会い出来て大変光栄です。どうぞ宜しくお願いします。」


「メデオくん、彼女が例の天才ロボット工学博士じゃ。色々と教えて差し上げて。」

「はい!メグミさん、はじめまして!お会いできて光栄です!僕は植物バイオ研究をしているメデオと言います、宜しくお願いします。」

「こちらこそ宜しくお願いしますね。」
メデオとメグミは笑顔で握手を交わした。

「おっ、丁度昼時だね。一緒にランチでもするかね?メグミちゃん。」

「えっ?よろしいんですか?」

「もちろんだよ。食事は1人でも多い方が楽しいからねぇ。」

「それじゃ、わたし何か美味しいもの作りましょうか?」

「本当かい?いやいや、それは助かるよ。いつもカレーばかりでそろそろ飽きてきたところだったんじゃ。」

「それじゃメデオさん、キッチンに案内して下さる?」

「はい!こちらです。」

メデオはメグミを給仕室へと案内した。
給仕室に入るとシンクの中には食後の食器やら実験で使用したであろうビーカーやらがガチャガチャと散らかっている。
冷蔵庫は業務用でとても大きなタイプのもので、食材をかなり収納出来るようだ。

メデオは冷蔵庫の横に4つ並べられているダンボール箱の中身を1箱ずつ確認している。
「メグミさん、この箱の中に、玉ねぎ、にんじん、キュウリ、じゃがいもなど、採れたての野菜が入ってますので、お好きに使ってください。」

[わぁ!すごーい!もしかして自家栽培されてるんですかぁ?」

「はい、この研究所の裏にちょっとした畑があるんですよ。この研究所はかなり山奥にあるでしょ?だからなかなか買い出しにも行けないので、マーブル博士が自家栽培用の畑を作ったんですよ。」

「自給自足ですね。わたしそういうの憧れます!」

「そうなんですか?」

「ええ、だって今の時代って、欲しいものは何でも自分のタイミングで手に入るし、便利な環境で生活できて、食べ物も好きなものを好きなだけ好きな時に食べれるでしょ?でも逆に自給自足を知ったらきっとありがたみを感じるんじゃないかな?」

「確かにそうですね。僕もここへ来た時は何もかも不便に感じてました。でも仰る通り、今までの便利な環境がありがたく感じています。」

「でしょでしょ~!やっぱり素敵だわぁ。そうだ!わたし決めたわ!わたしもここに住み込みで働くわ!助手ロボットを作るための情報を集めないといけないし、毎回ここまで通うの大変でしょう?良いかな?」

「多分大丈夫だと思いますよ。僕も住んでいる研究員専用宿舎に空き部屋があったと思うので。後でマーブル博士に話しますね。」

「本当に!?ありがとうメデオくん!一緒に頑張りましょうね!」

「あっ。は、はい!」

メグミは嬉しそうにニコッと笑った。

「さてさて、お昼ご飯の調理を始めるとしますか!メデオくんは何が食べたい?」

「卵焼きが食べたいです。僕、卵焼き大好きなんです。」

「よし!分かったわ。任せて!」

メグミは冷蔵庫の中を物色しながら献立を考えている。

「カレーの残りがあるから、これを使わせてもらうわね。カレードリアなんてどうかしら。」

「あぁ!最高ですそれ!めっちゃ楽しみです!」

「メデオくん良いリアクションするわね。テンション上がっちゃうじゃん。」

「僕も何かお手伝いさせて下さい。」

「それじゃ、じゃがいもとニンジンの皮むきをお願いできるかしら。」

「はい、お任せください!」
2人は息の合った調子で料理を作りはじめた。この後マーブル博士がメグミの料理のあまりの美味しさに感動して泣いてしまった事は内緒である。

こうしてメグミはメデオと同じく研究員専用宿舎で、助手ロボットが出来るまでの間住むことになった。


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