あんなこと、こんなこと

近江こうへい

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【番外編】

14.【社会人四年目/秋】七瀬と七年後とその先と ③

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「七瀬。いっぱい気持ちよくなるとこ二人に見せてあげようか」
「ん」
「宇山、ゆっくり動いてやって」
「うん。……あー、きつい。七瀬、どう?」

 宇山が俺の腰を両手で支えて、ゆっくりと動き始める。

「ぁぁあ……っ、ぁぁー……」

 入ってくる時と出ていく時でまったく違う気持ちよさが、繰り返し繰り返し押し寄せてくる。抑えようとしても開いた口からよだれが止まらなくて、有川の胸元を濡らしてしまう。そんな俺の反応を見て、少し遠慮がちだった宇山がいつもの調子を取り戻した。単調な動きで、俺の中を──というより多分井田のちんこを──満遍なくこすり上げていく。

「うわすげ……っ、何これエッロ。宇山、これやばいって」
「あー、裏筋すごい。井田のちんこでゴリゴリするっ」
「七瀬。七瀬、尻の穴気持ちいい?」
「……っん、うん」
「かわいい、七瀬。いっぱい俺のちんことおもちゃで練習したもんな?」
「ん、んっ、したっ。……ぁあ、どうしよ気持ちい」
「俺のじゃないのに、ちんこ二本もくわえ込んで気持ちいいんだ?」
「ぁ、ぁあ、ああ……っ、気持ちいい」

 今までじっとしてた井田も、腹を俺の左ももに押さえ付けられたまま、下から少し腰を揺すり始めた。ちょっと角度が付くだけなのに、二人のちんこが俺の中をいっぱいにして、違う方向に拡げて、こすり合う。

「あ、駄目これ、すぐイく、んっぁっぁっ」

 やばいやばいやばい!

「あっ、……っ! っ! っ!」
「すごい七瀬、今誰のでイったの?」
「……ぁぁ、わか、分かんないぃ」
「七瀬かわいい。俺のちんこじゃなくてもこんなんなっちゃうんだ?」

 有川は俺の身体を抱え直すと、熱い息でささやきながら俺の顔をのぞき込んでくる。なぜか興奮してるこの変態の肩につかまって、その胸に汗ばんだ額をぐりぐり押し付けてやると、バキバキの有川のちんこが目に入った。
 そうしてる間もお互いに夢中な井田と宇山は止まる気配もなくて、俺は想定できない二本のちんこの動きをただ受け入れるだけしかできない。中の二人を押し返すように尻の穴を開いたまま、一度イって敏感になった中をこすられ続ける。

「あっ、んん駄目また。どうしよ有川、有川っ気持ちいっ、……ぁあっ」
「かわいい、七瀬。二本挿しでまたイっちゃうの?」
「んっんぅ、気持ちいっ、駄目駄目イくっ、あ、またイっちゃう」
「ちゃんと見てるから、我慢しないで何回でもイきな?」

 だって、こんなの普通じゃないのに、有川のちんこじゃないのに、有川が見てるのに。でも、駄目だって思うと余計にやめられなくて、見られてると思うと余計に気持ちよくて。

「やっああっ、だめっ、でるっ、でちゃう、ありかわああっ」
「井田、あっやばいやばい、しぼり取られる……っ!」
「んん……あっ、んっんんっ、ん!」

 太ももがびくびく震えて、ちんこ汁とは違うサラサラの液体が勢いよく飛び出した。

「ちょっ、マジか! これ潮じゃね!? 宇山宇山っ、七瀬が潮吹いた!」
「え、嘘っ。わ、ああっ駄目、井田、もうイくイくイくっ!」

 宇山のラストスパートに揺さぶられて、吸水の追い付かない潮が、ベッドに敷いてある防水パッドの上でぱしゃぱしゃと音を立てた。
 宇山にゆっくりとちんこを引き抜かれると、その刺激でもまた何か出そうになって身体が震える。だけど、全然身体に力が入らなくてもう声も出ない。

「七瀬、こっちおいで」

 有川が大事そうに俺の腰を持ち上げて抱き寄せると、まだガチガチの井田のちんこも俺の中からずるりと出ていく。自由になった井田は手早くゴムを外して捨てると、足元に座り込んでる宇山に手を伸ばした。

「うあーっ、ちょっとこれ生殺し感がやばいって! 宇山宇山ぁー」
「ん……っ、いいよ」

 宇山は重みで外れそうになってるゴムを放置したままで、井田に向かって尻を突き出した。今日はディルドを使ってない宇山は、自分でローションを塗り付けながら穴に中指を挿れてほぐして見せる。大サービスである。
 ……いやこれ。宇山が最初の頃あんなに抵抗してたのは何だったんだ、マジで。
 脱力した身体を有川に完全に預けたまま、二人をぼんやり眺めながら思う。きっかけを作った責任を宇山には感じたこともあったけど、こういうのを見せられると、あれはもう必然だった気もする。

「あっ、言っとくけど潮吹きとか絶対無理だからね!」

 自らフラグを立てた宇山が井田と何やらわちゃわちゃやってるけど、もう俺の知ったことではない。



「七瀬かわいい。こんなに漏らしちゃうくらい気持ちよかった?」
「ん……」

 中イキって全身運動だよな、マジで。体力がない自覚のある俺は、これでも有川をまねして隙間時間に自重じじゅうで鍛えようと思ったことも何度かある。でも、有川に聞いた効率よく鍛える方法とかは、なぜかいつもセックスの最中に説明されたせいでほとんど覚えてない。
 ぐったりしながらこのだるさを有川ひとのせいにしてたら、うつぶせにされて、なだめるように後頭部をぽんぽんと撫でられた。隣でやり始めた二人をよそに、有川は枕元に置いてあったタオルでそっと俺の身体を拭いてくれる。
 優しい。一回挿れはしたけど、有川はなのに。ていうか、最初からずっとこいつのちんこはガチガチなままなのに。俺からは見えないけど、その優しい手つきとは裏腹に、今もきっと隠せない熱をはらんだ目で俺を見てるくせに。
 有川のタオルが尻に近づくと、穴がぽっかり拡がったままになってないか気になって、じんじんするそこに恐る恐る手を伸ばした。

「大丈夫。赤くなってるけど、縦長にはなってないから」
「……有川ので確認したい」
「痛くない?」
「へーき」
「じゃあちょっとだけな。……ほら」

 新しいローションを塗り付けた有川の生ちんこが、うつぶせたままの俺の後ろから、いたわるようにゆっくりと中に入ってくる。カリも、バキバキの竿も、有川のちんこの形がいつもどおりはっきり分かる。よかった。緩くなってない。
 後ろから、耳や首筋、つむじにもキスされる。顔の横に置いてた右手には、上から大きな手を重ねられ、そのまま長い指を絡められた。有川は左手で俺の頭を撫でながら、反応を確認するように慎重に腰を動かして、ちんこでゆっくりと身体の中も撫で上げる。胸の奥からにじみ出るような快感が、じわじわと全身に広がっていく。
 有川のちんこだと思うと、敏感になってる身体はそれだけですぐイきそうだ。

「あ、あ、あ」
「……七瀬、中すごい。ひくひくして締めつける。またイきそう?」
「ん、んん、だって、有川のちんこ気持ちい」
「七瀬はほんとに俺のちんこ好きだね」
「うん好き。有川、大好きっ。……だから、もっとして?」

 何が引き金になるのか、時々抑えが効かなくなる有川が好きだ。少し激しく、でも丁寧に。いつもの優しくて甘ったるいのにちょっと意地悪な有川とは違う。どっちの有川も好きだけど、「俺を見ろ」って感じで情欲をたぎらせて、分かりやすく俺を欲しがる有川が好きだ。
 乳首に触れられるだけでもイける俺の身体は、もう何の液体も出ないくらい有川に搾り取られた。体位を変えながら、何度も何度も。つか、あんなに守ってた一人一回までのルールはどこ行った。俺に夢中で忘れてるんだとしたら嬉しいけど。
 有川が好きだ。絶対、絶対、誰にも渡さない。こんな変態満足させられるのなんて俺以外にいねえだろ。
 上も下も分からない浮遊感に包まれて、溺れないように、のがさないように、俺は全身で有川にすがりついた。

 ◇

 さて。それからも、俺の周りは相変わらずいろいろと騒がしい。
 井田がやたらと潮吹きのコツを聞いてきたり、それでなぜかまた俺が宇山に説教されたり。宇山と離れるのを嫌がった井田が転勤を蹴って転職したり。いろいろとバレた宇山が親の見合い攻勢から逃げて、井田と一緒にうちに転がり込んできたり。
 いやもう、こいつらマジでめんどくせえな。でもまあ、やっとなんとか落ち着きそうなのはよかったよかった。
 俺はといえば、転勤もなく出世もせず、浮気の気配すらなく。まあ大体は会社に行って有川の待つ部屋に帰るだけの、繰り返しの平穏な毎日だ。

「はー……、幸せ」
「何、急にどした」

 いつものように有川に布団をかけられながら思わず笑ってしまうと、有川も笑いながら俺の前髪を指でいた。

「俺さあ、生まれ変わったら猫になって有川に飼われたい。有川の猫とか、絶対世界一幸せだよな」

 くすぐったくて目を閉じると、有川の手が止まった。
 やば、本音が漏れた。さすがにこれは甘えすぎでドン引きなやつだ。

「あ、違う違う! 猫って言っても、ちゃんと自立した猫な。多分、ある程度は!」

 眠気が一気に吹き飛んで、焦って起き上がるとぎゅうぎゅうに抱きしめられた。頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でまわされて、慌ててタップする。

「ちょっ有川、苦しい!」
「……くくっ。何だよ自立した猫って。猫なら黙ってかわいがられとけ」
「いや、だってそれだと有川にメリットないじゃん」

 手ぐしで髪を直しながら、ちょっと緩んだ有川の腕の中で距離を取る。

「なんか、もうちょっとさあ、有川は自分の幸せも考えるべきなんじゃねえの?」
「……あのな、俺の幸せを七瀬が勝手に決めんなって。俺だって、生まれ変わっても七瀬と一緒にいたいって思ってるんだけど」
「え、マジか」

 まっすぐに俺を見る、ちょっと潤んだ有川の目に嘘はなくて。「生まれ変わったら」なんて、深く考えずに言った寝言みたいなもんなのに。
 でも、そっか。俺が有川じゃなきゃ駄目なように、こいつも俺じゃなきゃ駄目なのか。そっか。なんだ、……そっか。
 偶然で始まったような俺たちの関係は、いつか終わるのかもしれない、と頭のどこかで思ってた。
 有川とこんなふうになるなんて考えもしなかった、あの、始まりの夏の日。
 井田と宇山が言った半世紀先のことなんか今はまだ想像もできないけど、俺たちはいつかきっと、今日のことも懐かしく思い出したりするんだろう。これからもずっと、必然だか偶然だか、あんなことやこんなことを繰り返して。

「七瀬、大好きだよ。愛してる。ずっとずっと一緒にいような」
「ん、俺も。大好き有川。……あ、あ、あ、愛して、んぅ」

 一世一代の愛の告白は、あろうことかその相手の唇に飲み込まれて、俺は有川を抱きしめ返す腕にありったけの力を込めた。
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