<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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究極の選択

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 重く、長い沈黙がこの空間を支配する。

 時計が秒針を刻む音、エアコンの室内機の音、自分の呼吸の音……普段意識することのない僅かな音ですら、鼓膜を震わせ、やけに大きく響いて聞こえる。

「だめだ。許すことは、できん……」

 大きな溜息と共に吐かれる、誠一郎の言葉。

 美姫は、禁忌の関係がどれ程重いものなのか、今以上に感じたことはなかった。

「そう、ですか……では」

 そう言った秀一に、美姫が顔を上げる。

「待って下さい!」

 秀一は、もし父が自分たちの仲を認めないのなら、祖父母を『殺人幇助』したと公表すると言っていた。

 お父様が、犯罪者に……!!

 そう思った途端、美姫はモラルも何もかも投げ捨て、秀一の腕を掴んで激しく訴えた。

「秀一さん! お願い! お願いです! お父様を訴えないで。どうか、罪を公表しないで……
 お父様を……犯罪者に、しないで下さい……おね、がい……」

 自分が先程まで言ったこと、考えていたことと矛盾していることは分かっている。

 けれど、いくら父が祖父母の殺人に協力し、それを美姫が許せないと感じていても、それを公表することはまた別の話だった。

 秀一は、長く美しい人差し指を眼鏡の蝶番ちょうつがいに当て、軽く持ち上げた。

「兄様を刑罰的に訴えることは、不可能に近いです。『殺人幇助さつじんほうじょ』による幇助犯は刑法的に罪とされていますし、行為者を励まし、犯意を強化するなど心理的に実行行使を促進する精神的幇助も処罰の対象になります。だが、精神的幇助を立証するのは困難で、しかもその範囲についても判断基準は非常に難しい。
 実際、幇助犯として処罰される場合は極めて少ないです」

 それを聞き、美姫は安堵した……次の秀一の言葉を聞くまでは。

「ですが……それを世間に公表すれば、どうなるでしょうね。

 マスコミにとっては、真実かどうかは大事ではありません。世間が興味を示すかどうか……それが、彼らの判断基準です。ましてや来栖財閥のトップのスキャンダルともなれば、ハイエナのように食いつくでしょうね」

 美姫は思わず身震いした。

「お、願い! そんなこと、しないでくださいっ! や、めて……秀一さん」
「兄様次第、ですよ」

 誠一郎が震える声で言葉を繋ぐ。

「分かっているのか。そうなれば、私だけじゃない。美姫も、お前自身をも巻き込むことになるのだぞ!
 家族、だけじゃない。来栖財閥のグループそのものの存亡の危機になるのだと、お前にも分かるだろう!」

 家族だけでなく、来栖財閥の存亡の危機に……

 来栖財閥は、直接経営しているグループ企業や傘下企業だけを数えても相当な数になる。そこに下請け会社や提携企業や取引先となる企業を合わせて考えればそれは膨大な数となり、その下には何百万、いや、それ以上もの従業員がいるのだ。
 来栖財閥トップのスキャンダルが露わになれば、来栖財閥グループ企業、関連企業だけでなく、社会や国の経済さえも揺るがす大事件に発展してしまう。
 
 美姫は、想像しただけで卒倒しそうになった。

 だが、秀一は微笑すら浮かべていた。

「えぇ。よく兄様も理解してらっしゃる。では、美姫とのことを認めてくださるのですね」
「ッッお前!!!」

 誠一郎が、秀一の胸倉を掴む。美姫は、父の手を必死に掴んだ。
 
「やめて下さい! お父様! 秀一さん!
 わた、し……わたし、は……ウゥッどうしていいか……ッグわか……らない……ッグ」

 お祖父様とお祖母様の死を犠牲にして生まれてきた私は、お父様の腹違いである弟の秀一さんと恋に落ちてしまった。

 これは、カルマなの?
 神様が、お父様を裁こうと、苦しめようとして与えた運命なの?

 私はそれに、踊らされているだけなの?

 ……いいえ。そんなことはない。
 この気持ちに、決して偽りなどない。

 私は、秀一さんを愛してる。

 けれど……こんな形で一緒になってもいいの?
 お父様が私を愛してくださる、その気持ちに背いて。

 家族間の問題、だけではない。
 社会全体をも巻き込むスキャンダルへと発展するかもしれないのに。

 わからない。
 わからない。
 わからないわからないわからないわからないわからない......

ーーワカラナイ。

 どうしたら、いいの?

 美姫は、スクッと立ち上がった。

『美姫……』

 秀一と誠一郎が同時に声をかける。だが、美姫は振り向くことなく呟いた。

「お願いです。ひとりに、してください……」

 弱々しくありながらも、決して寄せ付けることのない言葉に、二人とも息を呑んだ。

 美姫は頼りない足つきでリビングを出て、扉のノブに手を掛けると出て行った。
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