チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

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第十章 同じ空の下

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 いったい、何が始まるんだろうと見守っていると、みんなの手には、さっき由美子と真紀がやろうとして止められていた太い手筒花火が握られていた。『チェストー!ズ』の6人の男子たちが横一列に並び、勇気くんはチャッカマンを取りに行く。私たち5人の女子は少し離れたところに座り、それを見つめていた。勇気くんがチャッカマンを手に、順々に点火していく。そして最後に、自分も列に加わった。

『うわーっっ!!』

 私たちは歓声を上げた。

「伊佐のナイアガラの滝がよーーっっ!!」

 勇気くんの言う通り、私たちの目の前に花火の滝が流れていた。ひとつひとつから勢い良く吹き出しながら美しい曲線を描き、豪快に流れ落ちていくナイアガラの滝。白い煙が一斉に空に吸い上げられて、たなびいていく。目を開けていられないぐらい眩しいのに、目を逸らしたくない。煙が目にしみて、痛くなる。ボロボロと涙が溢れてくる。

 郁美も由美子も真紀も涼子も……声を上げることなく、一心に花火を見つめていた。

 最高の、サプライズプレゼントだった。

 一番初めに火をつけた花火から順々に収束していくナイアガラの滝。最後の勇気くんの花火が終わると、私は立ち上がり、みんなに顔を向けた。



「ねぇ、昨日と同じ草そり場に行きたいんだけど、いいかな?」



「みんなにお願いがあるんだけど……」

 草そり場に着いて私が頼んだのは、みんなで横一列になって手を繋いで斜面を上がることだった。松元先生と赤井先生にもお願いして、一緒に来てもらった。

 右から松元先生、海くん、私、郁美、勇気くん、吉元くん、涼子、田中くん、前田くん、真紀、本田くん、由美子、中村くん、赤井先生の順に並ぶ。

「ほいじゃ、上がるがよ!」

 威勢はいいものの、かなりお酒が入ってる松元先生の足元がふらふらとおぼつかない。海くんが松元先生の手をギュッと握って支えると、私の手を握っている側にまで力が込められ、その熱と力強さに鼓動が速まった。あちこちで声が上がり、ふらふらと揺れたり、誰かが転んで列が曲がったりしながら斜面を登って行く。

 14人で一列になって暗闇の中斜面を歩くなんて、不思議な光景……

 そう思っていると、隣の海くんの肩が小刻みに揺れている。どうやら、ツボにハマったらしい。

「やぁーっと着いたがよ!」
 
 勇気くんが声を上げる。1人で登るよりかなり時間をかけて、私たちは斜面の頂上に辿り着いた。

「じゃあ、ここで手を繋いだまま寝転がります」

 私の説明に、みんながくるりと向きを変えて一斉に腰を下ろし、寝転がる。あまりにも素直すぎる反応が、可愛く思えてならない。

 ほんとに伊佐の人たちって純朴で素直で、素敵な人ばっかり……

 澄んだ空気に広がる紺碧の空から、たくさんの星が私たちに降り注ぐ。澄みきった空気が肺を満たしていく。虫や生き物たちの鳴き声が、耳を揺らす。草と土の匂いを感じ、大地に抱かれ、地球の鼓動を、宇宙の神秘を感じる。

「こん空は、カナダぁにも繋がっとるんね」

 昨日私が考えていたのと同じことを郁美が呟き、小さく「うん……」と返した。

「美和子ぉがどこにおっても、美和子は『チェストー!ズ』の仲間じゃけぇ」

 勇気くんの言葉に、胸が塞がれる。

「ほぉがよ!」
「あったりまえじゃ!」

 みんなが口々に同調してくれる。

「おんなじ空の下におるもん……またいつか、会えるがよ」
「うん……会えるっ」

 由美子と真紀の掠れた声が届く。

「みんな、待ってるから」

 力強い海くんの低い囁きに、繋いだ手に力を込めた。繋がってる。みんなと心で、ずっと繋がってる。

 この先……どこにいようと、何をしようと、忘れない。
 また私は、ここに来る。

 ーー伊佐の街に、みんなに会いに。
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