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第三章 文化祭
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「この後、午後の部の舞台鑑賞やど! あんたたちゃ、制服着替えてこんと!」
松元先生の声を聞き、慌てた。
「あ、じゃあその前に、せっかくだからみんなで写真撮ろっ!! 先生も一緒にお願いします!」
「ほぉけ? んなら、赤井先生呼んでくるから、待っちょれ」
松元先生は隣のクラスの赤井先生を呼んできて、写真を撮るよう頼んだ。すると、
「先生ぇ、俺んも!」
「あたしのもお願い!!」
「はい、ここ押すだけでええで!!」
たちまち、赤井先生の元はスマホの山になった。
「あんたたちゃ、何回赤井先生に写真撮らすね!」
松元先生は呆れながらも、「はい、チーズ!」の度に素敵な笑顔を見せてくれた。
舞台発表がもうすぐ始まるという放送がかかり、慌てて残りの写真を撮り終え、着替えの為に隣の教室へと急ぐ。
郁美が手早く調理用のエプロンを脱ぎ、私が外したヘッドドレスやエプロンを畳んで仕舞っていってくれる。
「あーっ、楽しかったね、メイド&執事カフェ! 美和子と海くんの宣伝のおかげよ」
「ううん、みんなで力あわせてイベント成功出来て、ほんとに良かった!」
着替え終わって講堂へ向かう途中、スマホの写真を確認すると、勇気くんが笑顔の郁美の頭の上にそっと指を立てて角のようにしてて、思わず吹き出した。
「美和子ぉ、なに笑っとるね? 急がんと、舞台始まるがよ!」
「な、何でもない……行こっ!!」
午前の部と同じように講堂へと集合し、クラスごとに座る。午後の部では、3年生が舞台発表をした。1組はテレビ番組のパロディでVTRを作成し、2組は大喜利、3組はテレビゲームのパロディでダンスと、それぞれに趣向を凝らしていて、大いに湧き上がった。また、有志団体によるバンドやダンスの演奏なんかもあった。
カナダの現地校には文化祭というイベントそのものがないし、補習校では一応文化祭はあるものの伊佐高と比べ物にならないぐらいの小規模なので、圧倒された。
閉会式となり、無事に文化祭を終えると胸の中が充実感で満たされた。
「おーし、打ち上げ行くがー! 打ち上げ!!」
勇気くんが声を上げると、歓声が上がる。
「カラオケ行くね!」
「パール! パール!」
「ハハッ……あっこしか、ないが!!」
遠目に話を聞いていると、突然みんなの顔がくるりと私に向けられた。
「もちろん、美和子も行くね?」
「う、うん……もちろん!!」
伊佐高の一員として迎え入れられてることが嬉しくて、自然に口元が綻んだ。
松元先生の声を聞き、慌てた。
「あ、じゃあその前に、せっかくだからみんなで写真撮ろっ!! 先生も一緒にお願いします!」
「ほぉけ? んなら、赤井先生呼んでくるから、待っちょれ」
松元先生は隣のクラスの赤井先生を呼んできて、写真を撮るよう頼んだ。すると、
「先生ぇ、俺んも!」
「あたしのもお願い!!」
「はい、ここ押すだけでええで!!」
たちまち、赤井先生の元はスマホの山になった。
「あんたたちゃ、何回赤井先生に写真撮らすね!」
松元先生は呆れながらも、「はい、チーズ!」の度に素敵な笑顔を見せてくれた。
舞台発表がもうすぐ始まるという放送がかかり、慌てて残りの写真を撮り終え、着替えの為に隣の教室へと急ぐ。
郁美が手早く調理用のエプロンを脱ぎ、私が外したヘッドドレスやエプロンを畳んで仕舞っていってくれる。
「あーっ、楽しかったね、メイド&執事カフェ! 美和子と海くんの宣伝のおかげよ」
「ううん、みんなで力あわせてイベント成功出来て、ほんとに良かった!」
着替え終わって講堂へ向かう途中、スマホの写真を確認すると、勇気くんが笑顔の郁美の頭の上にそっと指を立てて角のようにしてて、思わず吹き出した。
「美和子ぉ、なに笑っとるね? 急がんと、舞台始まるがよ!」
「な、何でもない……行こっ!!」
午前の部と同じように講堂へと集合し、クラスごとに座る。午後の部では、3年生が舞台発表をした。1組はテレビ番組のパロディでVTRを作成し、2組は大喜利、3組はテレビゲームのパロディでダンスと、それぞれに趣向を凝らしていて、大いに湧き上がった。また、有志団体によるバンドやダンスの演奏なんかもあった。
カナダの現地校には文化祭というイベントそのものがないし、補習校では一応文化祭はあるものの伊佐高と比べ物にならないぐらいの小規模なので、圧倒された。
閉会式となり、無事に文化祭を終えると胸の中が充実感で満たされた。
「おーし、打ち上げ行くがー! 打ち上げ!!」
勇気くんが声を上げると、歓声が上がる。
「カラオケ行くね!」
「パール! パール!」
「ハハッ……あっこしか、ないが!!」
遠目に話を聞いていると、突然みんなの顔がくるりと私に向けられた。
「もちろん、美和子も行くね?」
「う、うん……もちろん!!」
伊佐高の一員として迎え入れられてることが嬉しくて、自然に口元が綻んだ。
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