泉界のアリア

佐宗

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第三部 天 獄

41淫劇①※

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 後ろ手に縛られ自由を奪われたナシェルの上体はアドリスに背後から支えられ、下半身はレストルに愛撫されていた。
 アドリスの熱い舌がナシェルの耳をくすぐり、耳朶を甘噛みし、中に侵入する。
 ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めあげられ、聴覚までが官能に支配される。

 アドリスはナシェルの耳を責めながら体を支える手を片方前に回し、先ほど散々レストルに虐められた胸の蕾を弄り始めた。そこはもう既にピンと張りつめるほどに上向いている。

「乳首すごいコトになってるよ? 赤く膨れちゃって……、兄貴の指でそんなに感じたの? 俺もシてあげるね……」

 耳元で囁きながらアドリスは、つまんだ乳首を指の腹で丹念に撫で上げ、捏ねて転がす。親指と中指に挟んで、人差し指を小刻みに揺らして刺激を与えられると、ナシェルの躰は過敏に反応してしまう。

「ふ……っあ、ぁああっ……!」
 ナシェルは体をくねらせ、なけなしの抵抗を見せる。
 
「すごく体が敏感なんだ……、反応がいいね。イキたくなっちゃうでしょ?」
「こいつ、こんな体してるくせに気位だけは高いようだ。さっきから反抗的な目つきで俺を睨んでる……」
「まだ理性が残ってるんじゃない? 後ろも蕩かしてやれば観念して恥ずかしいお願いするようになるって」
「ここか?」

 レストルの指が滑り降り、割り開かれた下肢の奥の蕾を触った。ナシェルの膝が震えるのを見て、その顔に陰湿な笑みが浮かぶ。
「そうだな、ここに直接教えるしかないか……アドリス、こいつの膝を抱えてろ」

 アドリスがナシェルの背後から両膝の下に手をくぐらせて股を大きく割り開かせた。
「乳首もアソコもこれだけトロトロになってるんだから下の口ももう咥えたくてヒクついてるんだろ? 今から兄貴が確かめてくれるってさ……おとなしくしてな」

 手に香油を掬ったレストルが、中指をナシェルの秘蕾の中に埋め込んでくる。

「う……あ、……ッ」

  秘部をさらす淫らな姿勢をとらされ、それだけで躯の中心はビクビクと疼く。
 だが伸縮性の乏しい革紐によってきっちりと戒められているために、どれだけ昂ぶろうとも、達することは許されない。
 膨張しきったその部分は、鬱血し赤黒く変色している。

「我慢しないで、もっと啼いてもいいんだよ?」
 アドリスが宥めるような言葉を耳元で囁く。

「兄貴、どう? 中は」
「柔らかいのによく締まる。俺の指を咥え込んでくるみたいだ。誰に開発された?」

 唇を噛み答えようとしないナシェルに、レストルはふんと笑い、秘蕾の奥を再び強く抉った。

「ひ…………ッ」

 色を失ったナシェルの唇から、何度目かの、悲鳴に似た喘ぎが漏れる。
 呑みこまされた中指が、荒々しく躯の中を弄っていた。内側の襞が、レストルの指で蕩かされてゆく。

「っふ、ぁ、あ、あ……!」
 ナシェルはアドリスの肩に頬を押し付け、身も世もなく啼き悶える。

「奥が気持ちイイんだね……。イけなくてかわいそう」
「いい顔してるな………コレが嬉しいのか?」

 兄弟にかわるがわる言葉を浴びせられる。気持ちいいはずも、嬉しいはずもないのに、ナシェルの躯が肯定するように激しく反応してしまう。
 指を咥えこんだ綺麗な尻が快感に揺れ、足の間の根茎が戒められてなお蜜を溜め充血する様を見て、レストルは満足げににやりと笑む。

「嬉しいか? お前はそうやって少しづつ俺に服従していくんだ……」

 指を最奥まで入れる。
(本当に淫らな蝶だ……俺を、こんなに、夢中にさせるとはな)

  早くこの美麗な虜囚が我を忘れて許しを請い、自分のものを深々と受け入れる様が見たい、と思う。いや、それだけでは足りない。技巧に善がり狂わせ、気絶するまで犯し続け、躯だけでなく心も手に入れて、永遠に自分だけの愛玩物にしてやりたい……。

 その間にも、手持ち無沙汰なアドリスが耳たぶを甘噛みする。
 レストルは中指を引き抜き薬指を添えてもう一度、挿し入れた。

「あ、あ……あああぁッ!」

 びくびくと、アドリスに預けた膝を震わせて、二本の指を受け入れた。
 圧迫感が二倍になると同時に、肉襞をかき回す指の速度も増してゆく。
 卑猥な音が部屋中に広がった。

「伸びもいいな。よほど念入りに育てなければここまで柔らかくならん」

 ひくつく秘蕾に指を締めあげられながら、レストルは思わず嘆息する。
 感動すら覚えていた。いったい、どんな調教を受けたらこんな猥らな躯になるのだ、と。

(こいつをこんな躯に仕立て上げた者とは、一体誰なんだ……? これほどの感度、これほどの表情。そして淫乱な性質であることを完璧に覆い隠していた、あの凄絶なまでの気位の高さ……)

「ひ、あ、あ……ッあ――…………!」

 ナシェルの下肢が、さらに大きくしなった。
 秘蕾の奥の一部分、射精に導くための壺を、レストルの長い指が捉えたのだ。

「うあああッ……あぁ………!!」

 そこを穿たれれば達さずにはおれない、快感の壺であった。
 強く愛撫されるうちに思考が弾け、視界が白濁する。

 ナシェルは絶頂した。
 レストルの指を後ろに咥えたまま、戒められた陰茎とその下の双玉をびくんびくんと震わせて、射精せずに達したのだ。
 
「わ、もしかして、イッちゃったのかな」
 優美な容貌を切なげに潤ませ吐息をつくナシェルを、アドリスが背後から覗き込む。
 レストルが舌打ち交じりに指を抜いた。

「……こいつ勝手に雌イキしやがった。本物だな……」
「すごい……、おれ、男が空イキするとこ初めてみた……」

 アドリスは感動を覚えた様子でナシェルの肩を抱き、汗みずくの頬に口づけた。

 
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