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第42話(十夢目線)
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半年後。
高島柚希が主演のBLドラマは無事に収録され、次に発売される単行本の初回特典CDとして世に出回ることとなった。今まで「可愛い系キャラクター」を演じることが多かった彼だが、「一皮剥けた」とか「路線変更もアリかも」とか言われているようで、反応は概ねいいようだ。
(身体を張った役作りのおかげかな……柚希くん?)
パソコンのキーボードを叩きながら、十夢はあの時のことを思い出した。
男同士のセックスは一度ハマるとやめられなくなると言うが、まさにその通りだなと思った。あれ以来、自分も少々路線が変わってきて、BL作品の執筆が多くなってきている。多分、リアルで官能的なシーンの描写が好評だからだろう。ありがたいことだ。
十夢は少し手を止め、パソコン画面の右下に表示される時計を見た。20時56分。そろそろ午後九時になる。
(今日はこのくらいにしておくか)
パソコンをシャットダウンしつつ、くるりと椅子を回し、ラジオのリモコンを取った。そしてチューナーを合わせ、とあるラジオ番組にチャンネルを切り替えた。
午後九時になり、品のいい音楽がラジオから流れてきた。同時に、十夢が最も愛している声がスピーカーから聞こえてきた。
「皆さん、こんばんは。パーソナリティーの高島柚希です。今夜も『きみにVOICEを』の時間がやって参りました」
部屋のワインクーラーからスパークリングワインを取り出し、ソファーに腰掛けてグラスに注いだ。仕事用の作り声も、生の声とはまた違ったよさがある。
「それでは早速、お便りを紹介しましょう。東京都在住の『とみー』さんから……」
おや、と思った時、手元のスマートフォンが鳴り出した。お気に入りの時間を邪魔されて少しイラッとした。無視してやろうかとも思ったが、ディスプレイに表示されている名前を見て気が変わった。
高島柚希が主演のBLドラマは無事に収録され、次に発売される単行本の初回特典CDとして世に出回ることとなった。今まで「可愛い系キャラクター」を演じることが多かった彼だが、「一皮剥けた」とか「路線変更もアリかも」とか言われているようで、反応は概ねいいようだ。
(身体を張った役作りのおかげかな……柚希くん?)
パソコンのキーボードを叩きながら、十夢はあの時のことを思い出した。
男同士のセックスは一度ハマるとやめられなくなると言うが、まさにその通りだなと思った。あれ以来、自分も少々路線が変わってきて、BL作品の執筆が多くなってきている。多分、リアルで官能的なシーンの描写が好評だからだろう。ありがたいことだ。
十夢は少し手を止め、パソコン画面の右下に表示される時計を見た。20時56分。そろそろ午後九時になる。
(今日はこのくらいにしておくか)
パソコンをシャットダウンしつつ、くるりと椅子を回し、ラジオのリモコンを取った。そしてチューナーを合わせ、とあるラジオ番組にチャンネルを切り替えた。
午後九時になり、品のいい音楽がラジオから流れてきた。同時に、十夢が最も愛している声がスピーカーから聞こえてきた。
「皆さん、こんばんは。パーソナリティーの高島柚希です。今夜も『きみにVOICEを』の時間がやって参りました」
部屋のワインクーラーからスパークリングワインを取り出し、ソファーに腰掛けてグラスに注いだ。仕事用の作り声も、生の声とはまた違ったよさがある。
「それでは早速、お便りを紹介しましょう。東京都在住の『とみー』さんから……」
おや、と思った時、手元のスマートフォンが鳴り出した。お気に入りの時間を邪魔されて少しイラッとした。無視してやろうかとも思ったが、ディスプレイに表示されている名前を見て気が変わった。
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