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1転生少女
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大きな門が目の前に見える。
ゆっくりと開くその門の先には、ずっと続くのではないかと思うほどの色鮮やかな花々や植木。
「お父様、お母様、凄いお屋敷!ストック国の家とは違うのね。ここは植物園なの?」
と聞けば、二人とも笑っていた。
「着いたわアーシャ」
と母様に手を引かれながら馬車から降りる。ふと、後ろを向けば馬車。
誰かに髪の毛を一本だけ摘まれたような一瞬だけピンと張ったような。
何か変?いや、普通よね。普通?
「ほら、アーシャ挨拶は!」
「えっ、」
大きな玄関ホールには、たくさんの人がいた。服を突かれながら、
「アーシャ・ドミルトンです」
と挨拶すれば、笑い声が聞こえた。
「この子が、私の従姉妹なんですの?パッとしないわね。ストック国で暮らしていて、さすがに田舎くさいわ、品格とかないのね、嫌だわ~」
何だ、ストック国を馬鹿にしているのかとそちらを見れば、大きなリボンを頭に付けた吊り目の女の子がいた。とても大人ぽい。
頭にズキッとした痛みが走った。そしてその隣には冷ややかな目をした美少年が私を睨んでいる。
「エリオン・ドミルトンだ」
ズキズキする。痛みがまるで鼓動のように頭の中を響かせる。
「ルイーゼ・ドミルトンよ。もう少しちゃんとしなさいよ、私の周りに入れてあげないわよ」
重い一撃のように、ズキッとする頭を押さえながら、子供なのになんて意地悪な口調なのかしら。まるで悪役令嬢みたい。
「あくや…くれ…い」
だって。何だって。
「今、何か言ったのかしら?」
大きなリボンの子が目の前に来て、突然、私の足は踏まれた。
「痛い」
と言う前に
「仲良くしましょうね」
と言って、すぐに私は、足の痛みよりも耐え切れなくなった頭の痛みに、意識を失った。
「アーシャ大丈夫かい?」
「アーシャ、アーシャしっかりして」
「お父様、お母様…」
思わず母様にしがみついてしまった。信じたくなくて、とても冷静ではいらなかった。
「あらあら、こんな事初めてね、アーシャ。あなたってば、怖がったりしないし、しっかりしていると思っていたわ。ルイーゼちゃんに驚いたの?」
そこだけじゃないけど、ゆっくり頷く。
「そう、ね。貴女にとっては初めてになる貴族世界ね。そういうの関係なく過ごしていた貴女にとって驚いても仕方ないわ。大丈夫。これからゆっくり覚えていきましょうね。きっと仲良くなれるわ、従姉妹だもの。今日は、旅の疲れが出たのよ、明日になれば元気になるわ。安心して寝なさい」
と母様が言い、父様も微笑んでいる。違う、そこじゃない!足踏まれたのよと言いたいのに、しがみついた手を解かれる。見えてなかったのか?変わらない両親の優しい空気、まるで決まった言葉を言わなければいけないかのように、
「はい、お母様、お父様」
そう言って、ベッドに入り、目を閉じた。扉が閉まる音を聞き、ゆっくり目を開け天井を見る。
「何じゃこれ」
まるで言わされた気がした。足の事も言えなかったし、今こんな風に思っている私自身も何か変。こんな言葉知らない。
違和感だらけの今の私が寝れるわけない。
「とんでもない、あの子!足踏むって、口だけじゃないのかあの悪役令嬢!いや、まさか…最近は見なくなった夢。でも名前が同じ。漫画というもの、絵物語、見たことない絵なのに、頭に残って…いや、忘れてて、でも最後に夢見た記憶がある登場人物の名前…私…」
頭を押さえながら、そのまま目を瞑り記憶を辿る。
「急いで、時間ない!」
「はい」
ペンを走らせる。
「アヤさん、背景みたいなものだからモブ達に時間かけないで、サッでいいから!」
「すいません、先生」
ハァー。
先生は、異世界少女漫画の波に乗って、あれよあれよとまさかのアニメ化。そして今日漫画としては最終回の仕上げでピリピリモードだ。
こんな風に連載が終わるまで参加出来るとついついお気に入りのモブが出来てしまうものだ。まぁ私はメインキャラを描いたこともないから、その他大勢の中に必ずお気に入りモブを描いていた。ある時は買い物中だったり、教室の中やお茶会、そして今日は舞踏会。誰にも気づかれないだろう。端だったり奥だったりのポジション。
何となく自分に重ねてしまうのは、私もその他大勢の一人だから。
先生に色々言われてしまうけど、せっかくの舞踏会だから皿を持たしてあげたいし、小さく男性とダンスしてたり、なんて付け加える。
「また、同じ絵ね、このエキストラさんはベテランね。バイト代払わなきゃ」
ともう一人のアシさんから言われる。
「ドラマとかでも、同じエキストラ見ますよね」
「見つけると何か嬉しいやつね!」
とはしゃいでいれば、
「早く、早く、担当さんが来ちゃうわ」
と先生の金切り声と共にラストスパート…の果ては魂が抜けていく。
ハァ~。
フラッシュバックのように鈍い痛みと共に思い出す。だけど顔がわからない。
「何だろう。このちぐはぐな切り取られているような思い出は」
ズキズキする頭を押さえながら、ベッドから出て、備えつけの机に向かい、引き出しの中から紙を取り、ペンを走らせる。ミミズのような文字を書きながら、思い出す。
オルビア第一王子、通称氷の王子は、心の中では優しくて純粋なのに態度や言動が不器用で、無表情が決め手となって冷酷さを出していた。それをヒロインは鳥や仕草、表情を読み解きながら、今本当はこう思ったでしょうを決め台詞のように毎回言って、最後にはお前とは以心伝心だなぁと言葉を超えた愛を伝え舞踏会で婚約、ハッピーエンド。
フゥー。痛みに耐えながら、必死で書き続ける。汚い字に再び読めるのか、不安だけど、今書かないといけないと私の奥底が急かす。
マリー、明るい、動物好き(話せる)、優しく優等生、失敗してでも必ず幸運が訪れる。とにかくラッキーな子。天然、正義感が強いが空回る。
フランツ王子、本来は明るく人懐こいはずだったけど氷の王子の異名を取るほど冷酷な言動。剣も喧嘩も強い、頭もいい。
ゼノン、明るく元気な騎士。
ルイーゼ、意地悪、悪役令嬢、王子の婚約者。いつも悪巧みしている。失敗を周りの人間へ責任転嫁して、いつも消える。最後は?
エリオン、ルイーゼの兄、フランツ王子に妹の悪巧みを告げ口する。
「後、誰がいたかしら?そういえば、最後の舞踏会ルイーゼはいなかった。えっと、どこでいなくなった?最後は、隣国の王女様が悪役令嬢ポジションだったから、真ん中ぐらいで消える?」
イベント、10歳の婚約者候補を選ぶガーデンパーティー
14歳からの学園編
入学式の出会い、庭園、鳥とマリー話している、テスト勉強
教室の意地悪、遠足の迷子、体育祭王子と二人三脚
「あと少しちゃんと思い出せ」
カイル、
「カイル、あの漫画で唯一死ぬシーンが描かれたのがカイルだ、王子の身代わりにそれで氷の王子になるんだ」
8歳、フランツ王子と異母弟カイル王子が誘拐される、フランツがお忍びで町に誘って行商風な盗賊団に連れ拐われたのが原因
「自暴自棄の頃に婚約者も選ぶからルイーゼになったのかしら?」
ハァー今、思い出せるのはここまでかな。やっぱり私は、出てこない、何か忘れている?自分の事全くだわ。
「明るくなってきた、これからどうしよう」
まず、王子の名前を調べよう。
もし仮に漫画の世界だとしても日が昇るし暮れる。普通に生きているわけだから、覚えている事も少ないし、私には関係ない。
書いた紙をストック国で拾ったどんぐりの缶に一緒に入れて、バッグに戻した。オルビア帝国に来てお友達にあげようと母様と拾ったどんぐり。ルイーゼにはあげない。
「友達なんてならないもの」
と頭の痛みと共に再びベッドに入った。
「起きれますか?アーシャ様。朝ですよ。今日は体調いかがですか?」
「大丈夫です」
と目を開けると知らないメイドさんがいた。あ~、ここは、お祖父様の屋敷だわ。夢でもない、当たり前のような朝で、
「おはようございます。アーシャ・ドミルトンです。よろしくお願いします」
と挨拶すれば、目をパチパチした後、目を細くした笑顔で、
「マリアです。こちらに滞在中お世話させていただきます」
と母様より年配のメイドさんは言った。
「さぁ、皆さん朝食を食べに行かれますよ。お着替えしましょう」
「はい」
と立ち上がり、窓から見える空が青かった。昨日、懸命に記憶を出し終えたからか頭がスッキリしている。新しく思い出すものはないけど。
「はい、アーシャ様終わりました。食堂に向かいましょう」
今日はお腹がぺこぺこだ。気を抜けば走って食堂に向かってしまいたい、そんな衝動を抑えながら、すれ違う皆さんに朝の挨拶をした。使用人の数が多い。ストック国では、我が家の隣に料理人とメイドの夫婦が住んでいてほとんど家族同然だったから同じように挨拶をすれば、みんな一瞬驚き、そしてマリアさんのような目を細めて笑顔で挨拶を返してくれた。
「アーシャ、体調はどう?」
お母様とお父様が側に寄り添ってくれる。私は、小声で
「お腹ぺこぺこ」
と言えば、二人とも笑いながら、私を席に連れて行ってくれる。
ルイーゼとその母は来なかったが、食事が始まり、美味しく食べれる。昨日、漫画の世界だと思ったけど、味も食感もある。やっぱり、普通の世界だと納得しながら食べた。
「たまたまね」
その後一家団欒、お茶を飲みながら、
「お父様、このオルビア帝国には、王子様っているの?」
と聞けば、母様は、
「あらあら、王子様とか興味あるの?」
と揶揄う。
「はは、それは、妬けるな。いるよ、フランツ王子とカイル王子にレイリー姫様」
あ、やっぱり。
これ確定ですね。最後に思い出すペンの動きの感触を思い出した。最後のレイリー姫がわからないけど、『ヒロインやります』の世界だわ。
「あらあら、今度は、遠い目をしてどうしたの?」
と母様は不思議そうに聞く。確かに不思議でしょうとも。だって少しばかり先の話が確定した瞬間だもの。遠くを見るわ。
夢は、前の人生の染み付いた記憶なのかもしれない。その世界に生まれ変わったのかしら?まぁ、私自身は覚えてもいない存在だから、関係ないような気もするけど、何故私がここに来たのかという謎もある。心がムズムズする。先の確定はフランツ王子とマリーさんが婚約するって事。ルイーゼが婚約者として悪役令嬢になるって事。カイル王子が死んでフランツ王子が氷の王子になるって事。
最後変えなきゃハッピーエンドじゃない?
例えばカイル王子が死ななかったら、氷の王子フランツにはならない、ルイーゼは婚約者にならず悪役令嬢にはならない。
…
いや、駄目だわ。そしたら、マリーの決め台詞は要らない、だって氷の王子じゃないんだもん。
ただ問題は、この第一王子の婚約者が、ルイーゼ・ドミルトン。この悪役令嬢ポジションだ。いろんな意地悪をしていた気がする。そして毎回毎回周りの取り巻きやら侍女や侍従が責任を取らされ消えていた。
「あの子最後何て言ってたかしら?周りに入れてあげないとかなんとか。…」
アーシャ・ドミルトンなんて知らない、出てこないわ。私、従姉妹だから巻き込まれるってこと?物語が始まる前に消えているのかしら?私って?
記憶が死滅しすぎて、まずい。何てこと!頭が痛くなってきた。
それよりも何よりも、あの子の取り巻きには絶対にならない。
回避する、絶対に。
わかった上の良い事は、きっとあるはずだ。きっとあの子関係なく、いや巻き込まれたとして、自分を守れるようにすべきだ。もしかして、そのための夢のお告げかもしれない…
私の脳みその痛みは、再び限界に達して、煙が上がってくるかの如く、また意識を手放した。
ゆっくりと開くその門の先には、ずっと続くのではないかと思うほどの色鮮やかな花々や植木。
「お父様、お母様、凄いお屋敷!ストック国の家とは違うのね。ここは植物園なの?」
と聞けば、二人とも笑っていた。
「着いたわアーシャ」
と母様に手を引かれながら馬車から降りる。ふと、後ろを向けば馬車。
誰かに髪の毛を一本だけ摘まれたような一瞬だけピンと張ったような。
何か変?いや、普通よね。普通?
「ほら、アーシャ挨拶は!」
「えっ、」
大きな玄関ホールには、たくさんの人がいた。服を突かれながら、
「アーシャ・ドミルトンです」
と挨拶すれば、笑い声が聞こえた。
「この子が、私の従姉妹なんですの?パッとしないわね。ストック国で暮らしていて、さすがに田舎くさいわ、品格とかないのね、嫌だわ~」
何だ、ストック国を馬鹿にしているのかとそちらを見れば、大きなリボンを頭に付けた吊り目の女の子がいた。とても大人ぽい。
頭にズキッとした痛みが走った。そしてその隣には冷ややかな目をした美少年が私を睨んでいる。
「エリオン・ドミルトンだ」
ズキズキする。痛みがまるで鼓動のように頭の中を響かせる。
「ルイーゼ・ドミルトンよ。もう少しちゃんとしなさいよ、私の周りに入れてあげないわよ」
重い一撃のように、ズキッとする頭を押さえながら、子供なのになんて意地悪な口調なのかしら。まるで悪役令嬢みたい。
「あくや…くれ…い」
だって。何だって。
「今、何か言ったのかしら?」
大きなリボンの子が目の前に来て、突然、私の足は踏まれた。
「痛い」
と言う前に
「仲良くしましょうね」
と言って、すぐに私は、足の痛みよりも耐え切れなくなった頭の痛みに、意識を失った。
「アーシャ大丈夫かい?」
「アーシャ、アーシャしっかりして」
「お父様、お母様…」
思わず母様にしがみついてしまった。信じたくなくて、とても冷静ではいらなかった。
「あらあら、こんな事初めてね、アーシャ。あなたってば、怖がったりしないし、しっかりしていると思っていたわ。ルイーゼちゃんに驚いたの?」
そこだけじゃないけど、ゆっくり頷く。
「そう、ね。貴女にとっては初めてになる貴族世界ね。そういうの関係なく過ごしていた貴女にとって驚いても仕方ないわ。大丈夫。これからゆっくり覚えていきましょうね。きっと仲良くなれるわ、従姉妹だもの。今日は、旅の疲れが出たのよ、明日になれば元気になるわ。安心して寝なさい」
と母様が言い、父様も微笑んでいる。違う、そこじゃない!足踏まれたのよと言いたいのに、しがみついた手を解かれる。見えてなかったのか?変わらない両親の優しい空気、まるで決まった言葉を言わなければいけないかのように、
「はい、お母様、お父様」
そう言って、ベッドに入り、目を閉じた。扉が閉まる音を聞き、ゆっくり目を開け天井を見る。
「何じゃこれ」
まるで言わされた気がした。足の事も言えなかったし、今こんな風に思っている私自身も何か変。こんな言葉知らない。
違和感だらけの今の私が寝れるわけない。
「とんでもない、あの子!足踏むって、口だけじゃないのかあの悪役令嬢!いや、まさか…最近は見なくなった夢。でも名前が同じ。漫画というもの、絵物語、見たことない絵なのに、頭に残って…いや、忘れてて、でも最後に夢見た記憶がある登場人物の名前…私…」
頭を押さえながら、そのまま目を瞑り記憶を辿る。
「急いで、時間ない!」
「はい」
ペンを走らせる。
「アヤさん、背景みたいなものだからモブ達に時間かけないで、サッでいいから!」
「すいません、先生」
ハァー。
先生は、異世界少女漫画の波に乗って、あれよあれよとまさかのアニメ化。そして今日漫画としては最終回の仕上げでピリピリモードだ。
こんな風に連載が終わるまで参加出来るとついついお気に入りのモブが出来てしまうものだ。まぁ私はメインキャラを描いたこともないから、その他大勢の中に必ずお気に入りモブを描いていた。ある時は買い物中だったり、教室の中やお茶会、そして今日は舞踏会。誰にも気づかれないだろう。端だったり奥だったりのポジション。
何となく自分に重ねてしまうのは、私もその他大勢の一人だから。
先生に色々言われてしまうけど、せっかくの舞踏会だから皿を持たしてあげたいし、小さく男性とダンスしてたり、なんて付け加える。
「また、同じ絵ね、このエキストラさんはベテランね。バイト代払わなきゃ」
ともう一人のアシさんから言われる。
「ドラマとかでも、同じエキストラ見ますよね」
「見つけると何か嬉しいやつね!」
とはしゃいでいれば、
「早く、早く、担当さんが来ちゃうわ」
と先生の金切り声と共にラストスパート…の果ては魂が抜けていく。
ハァ~。
フラッシュバックのように鈍い痛みと共に思い出す。だけど顔がわからない。
「何だろう。このちぐはぐな切り取られているような思い出は」
ズキズキする頭を押さえながら、ベッドから出て、備えつけの机に向かい、引き出しの中から紙を取り、ペンを走らせる。ミミズのような文字を書きながら、思い出す。
オルビア第一王子、通称氷の王子は、心の中では優しくて純粋なのに態度や言動が不器用で、無表情が決め手となって冷酷さを出していた。それをヒロインは鳥や仕草、表情を読み解きながら、今本当はこう思ったでしょうを決め台詞のように毎回言って、最後にはお前とは以心伝心だなぁと言葉を超えた愛を伝え舞踏会で婚約、ハッピーエンド。
フゥー。痛みに耐えながら、必死で書き続ける。汚い字に再び読めるのか、不安だけど、今書かないといけないと私の奥底が急かす。
マリー、明るい、動物好き(話せる)、優しく優等生、失敗してでも必ず幸運が訪れる。とにかくラッキーな子。天然、正義感が強いが空回る。
フランツ王子、本来は明るく人懐こいはずだったけど氷の王子の異名を取るほど冷酷な言動。剣も喧嘩も強い、頭もいい。
ゼノン、明るく元気な騎士。
ルイーゼ、意地悪、悪役令嬢、王子の婚約者。いつも悪巧みしている。失敗を周りの人間へ責任転嫁して、いつも消える。最後は?
エリオン、ルイーゼの兄、フランツ王子に妹の悪巧みを告げ口する。
「後、誰がいたかしら?そういえば、最後の舞踏会ルイーゼはいなかった。えっと、どこでいなくなった?最後は、隣国の王女様が悪役令嬢ポジションだったから、真ん中ぐらいで消える?」
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14歳からの学園編
入学式の出会い、庭園、鳥とマリー話している、テスト勉強
教室の意地悪、遠足の迷子、体育祭王子と二人三脚
「あと少しちゃんと思い出せ」
カイル、
「カイル、あの漫画で唯一死ぬシーンが描かれたのがカイルだ、王子の身代わりにそれで氷の王子になるんだ」
8歳、フランツ王子と異母弟カイル王子が誘拐される、フランツがお忍びで町に誘って行商風な盗賊団に連れ拐われたのが原因
「自暴自棄の頃に婚約者も選ぶからルイーゼになったのかしら?」
ハァー今、思い出せるのはここまでかな。やっぱり私は、出てこない、何か忘れている?自分の事全くだわ。
「明るくなってきた、これからどうしよう」
まず、王子の名前を調べよう。
もし仮に漫画の世界だとしても日が昇るし暮れる。普通に生きているわけだから、覚えている事も少ないし、私には関係ない。
書いた紙をストック国で拾ったどんぐりの缶に一緒に入れて、バッグに戻した。オルビア帝国に来てお友達にあげようと母様と拾ったどんぐり。ルイーゼにはあげない。
「友達なんてならないもの」
と頭の痛みと共に再びベッドに入った。
「起きれますか?アーシャ様。朝ですよ。今日は体調いかがですか?」
「大丈夫です」
と目を開けると知らないメイドさんがいた。あ~、ここは、お祖父様の屋敷だわ。夢でもない、当たり前のような朝で、
「おはようございます。アーシャ・ドミルトンです。よろしくお願いします」
と挨拶すれば、目をパチパチした後、目を細くした笑顔で、
「マリアです。こちらに滞在中お世話させていただきます」
と母様より年配のメイドさんは言った。
「さぁ、皆さん朝食を食べに行かれますよ。お着替えしましょう」
「はい」
と立ち上がり、窓から見える空が青かった。昨日、懸命に記憶を出し終えたからか頭がスッキリしている。新しく思い出すものはないけど。
「はい、アーシャ様終わりました。食堂に向かいましょう」
今日はお腹がぺこぺこだ。気を抜けば走って食堂に向かってしまいたい、そんな衝動を抑えながら、すれ違う皆さんに朝の挨拶をした。使用人の数が多い。ストック国では、我が家の隣に料理人とメイドの夫婦が住んでいてほとんど家族同然だったから同じように挨拶をすれば、みんな一瞬驚き、そしてマリアさんのような目を細めて笑顔で挨拶を返してくれた。
「アーシャ、体調はどう?」
お母様とお父様が側に寄り添ってくれる。私は、小声で
「お腹ぺこぺこ」
と言えば、二人とも笑いながら、私を席に連れて行ってくれる。
ルイーゼとその母は来なかったが、食事が始まり、美味しく食べれる。昨日、漫画の世界だと思ったけど、味も食感もある。やっぱり、普通の世界だと納得しながら食べた。
「たまたまね」
その後一家団欒、お茶を飲みながら、
「お父様、このオルビア帝国には、王子様っているの?」
と聞けば、母様は、
「あらあら、王子様とか興味あるの?」
と揶揄う。
「はは、それは、妬けるな。いるよ、フランツ王子とカイル王子にレイリー姫様」
あ、やっぱり。
これ確定ですね。最後に思い出すペンの動きの感触を思い出した。最後のレイリー姫がわからないけど、『ヒロインやります』の世界だわ。
「あらあら、今度は、遠い目をしてどうしたの?」
と母様は不思議そうに聞く。確かに不思議でしょうとも。だって少しばかり先の話が確定した瞬間だもの。遠くを見るわ。
夢は、前の人生の染み付いた記憶なのかもしれない。その世界に生まれ変わったのかしら?まぁ、私自身は覚えてもいない存在だから、関係ないような気もするけど、何故私がここに来たのかという謎もある。心がムズムズする。先の確定はフランツ王子とマリーさんが婚約するって事。ルイーゼが婚約者として悪役令嬢になるって事。カイル王子が死んでフランツ王子が氷の王子になるって事。
最後変えなきゃハッピーエンドじゃない?
例えばカイル王子が死ななかったら、氷の王子フランツにはならない、ルイーゼは婚約者にならず悪役令嬢にはならない。
…
いや、駄目だわ。そしたら、マリーの決め台詞は要らない、だって氷の王子じゃないんだもん。
ただ問題は、この第一王子の婚約者が、ルイーゼ・ドミルトン。この悪役令嬢ポジションだ。いろんな意地悪をしていた気がする。そして毎回毎回周りの取り巻きやら侍女や侍従が責任を取らされ消えていた。
「あの子最後何て言ってたかしら?周りに入れてあげないとかなんとか。…」
アーシャ・ドミルトンなんて知らない、出てこないわ。私、従姉妹だから巻き込まれるってこと?物語が始まる前に消えているのかしら?私って?
記憶が死滅しすぎて、まずい。何てこと!頭が痛くなってきた。
それよりも何よりも、あの子の取り巻きには絶対にならない。
回避する、絶対に。
わかった上の良い事は、きっとあるはずだ。きっとあの子関係なく、いや巻き込まれたとして、自分を守れるようにすべきだ。もしかして、そのための夢のお告げかもしれない…
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