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少年期~前編~
聖痕とは
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さて、俺は今日から学校に通う。
そこは、貴族と平民が共に学ぶ学校だ。
そこでは、初代皇帝が定めた校則が1つだけある。
校内では、貴族も平民も平等だということだ。
だが、今ではすっかり形骸化してしまった。
貴族は派閥を作り、平民は貴族に逆らえずにいる。
俺は気合いを入れつつも、どこか憂鬱な気持ちだった。
貴族の連中も、平民に生かされているという自覚がないしな。
むしろ、平民が暮らせるのは、貴族のおかげとか思っている始末。
「まあ、でもやるしかないな。僕だけでもキチンとしよう」
「アレス様~!準備出来ましたか~?」
「ああ!今行く!」
俺は部屋を出て、玄関に向かう。
そこには、母上とカエラが待っていた。
「アレス……しっかりやるのよ?」
「ええ、母上。任せてください」
「アレス様。私は何があろうとも、貴方の味方です!」
「ああ、ありがとう。カエラ」
「アレス様、行きましょう」
「ああ、カイゼル。御者は任せた」
「御意」
俺は、カイゼルが御者する馬車に乗り込む。
そして、馬車は動き出す。
そして半分ほど進んだところで、誰かが乗り込んできた。
曲者か!?と思ったが、カイゼルが見逃すはずかない。
なので、知り合いかと思ったのだが……。
「あのー、父上?何をしているのですか?」
「可愛い息子に会いに来た!」
「はい、お帰りください。貴方は皇帝陛下でしょうに」
「息子が冷たい……そうだよな……ろくに会いにも来ない父上なんて嫌いだよな」
「面倒な父上ですね。僕は、ちゃんと父上のこと好きですからね?」
「ほ、本当か!?そうか!そうかぁ……!お父さんは嬉しい!」
「はいはい。で、まさかそれだけのために来たんじゃないでしょう?」
「うむ、相変わらず賢い子だ。ああ、それだけであったらなんと幸せなことか……」
「あのー、学校に着いてしまいますよ?」
「いかん、いかん。おそらく学校では、聖痕がないことで色々言われるだろう。だが、気にすることはない。俺はお前を愛している。そしてお前に非がない限り、お前の味方をすると約束しよう」
「……父上、いいのですか?他の王妃や、大臣達がうるさいのでは?」
「まあ、そうだろうな。だが、知ったことか。俺は本来なら、継ぐはずもない皇位を継いだんだ。多少のワガママは言っても、バチは当たらないだろう」
「皇帝としては、どうかと思いますが……息子としては、嬉しいです。ありがとう、父上」
「……本当なら、お前とエリナともっと一緒にいたいのだがな……すまんな、アレス」
「いえ、そのお気持ちだけで嬉しいです。まあ、なんで会いに来ないんだ!と思うこともありますが……我慢します。母上のことは、お任せください。ただ、寂しがっているので会いにいってくださいね?」
「アレスは、立派になって……まだ、8歳なのに。はぁ、他の息子供とはえらい違いだ。ああ、妹か弟を作ってやるからな!では、またな!」
そう言い残し、父上は馬車から飛び降りた。
おいおい……子作り宣言ですか。
まあ、出来たら嬉しいけどね。
そうか……父上は俺のことを愛しているのか。
ふっ、仕方ない。
今度来たら、構ってあげよう。
とても温かい気持ちに包まれつつ、再び馬車は走り出す。
俺は前世でいうところの、イタリアに近い街並みを眺めながら、聖痕について考えていた。
聖痕とは、ガーナ大陸の守護者を冠する我が国の皇族に現れるものである。
胸のところに、痣のような模様が現れる。
ちなみに、女神の加護とも呼ばれる。
その恩恵は様々だ。
人によっては、生まれつき剛力になったり。
生まれつき魔力が高かったり。
生まれつき戦いの才能があったり。
生まれつき頭が良かったり。
とまあ、色々な恩恵がある。
何よりも、女神より与えられし神器の槍、アスカロンを扱えることだ。
この大陸の西端に、邪神が封印されていると言われる魔界ドラゴニールがある。
そこからの侵略から守るために、女神マリアが与えたものらしい。
その威力は絶大だ。
そのなぎ払いは魔物の大群を殲滅し、その突きは海をわり、斬れば山をも両断するという。
さて、どうして俺が出来損ないかわかっただろう。
俺には、この聖痕がないからだ。
だから剣の腕が良くとも、魔法使いとして一流になれる才能を持っていても、皇族としては出来損ないということだ。
だから、他の皇族や御偉いさん方に見下されるわけだ。
それは、まあいい……まだ我慢は出来る。
俺が我慢ならないのは、母上が不貞を疑われることだ。
つまり、奴らは聖痕がない俺を、父上の子供ではないのでは?と疑ってるわけだ。
そのせいで、母上は不当な扱いを受けている……。
もちろん、必ずしも聖痕が現れるわけではない。
割合的には、七割で聖痕を持って生まれるらしい。
なら持っていなくても、そこまで不当な扱いを受けることはなくないかと、俺は思った。
だが、父上は本来王位を継ぐ人ではなかったようだ。
父上の父親、つまり前国王が急死したのだ。
その結果、上2人の兄が継承権争いをし、両方共亡くなったそうだ。
そして、末っ子ということで大陸を放浪していた父上は、母と出逢い恋に落ちた。
意気揚々と帰国したら、自分が王位を継承することになり、父上は渋々承諾したそうだ。
もちろん、母上のことは大反対された。
大陸の東端にある、迷い人が作った州郡国家ノスタルジア出身だったからだ。
今は迷い人のことはおいておくとして……。
母上は有名ではあったが、高貴な家の出ではないので大反対されたわけだ。
父上は、国が用意した女性と結婚することを条件に、母上のことを認めさせたそうだ。
だが、当たり前だが父上は母上を愛している。
第1王妃や第2王妃からしたら、面白くないだろう……。
そして聖痕を持つ者を産まなかったのも相まって、不当な扱いを受けているということだ。
そして俺はそんな母上の元に生まれ、不幸だと周りの奴らから思われているわけだ。
……クソ!胸糞悪い……!勝手に決めるな!幸せか不幸かどうかは、俺が決める!
少なくとも、俺は母上の子に生まれ幸せだと思っている。
そんなことを考えているうちに、学校に到着したようだ。
「アレス様、到着しました」
「カイゼル、ありがとう。では、行ってくる」
「アレス様……」
「ん?珍しいね。どうかした?」
カイゼルは普段から、あまり話しかけてくるタイプではないから驚いた。
「……貴方は、ご立派です。亡き主君によく似ておられる……。このカイゼルは、亡き主君に忠誠を誓っております。ですが、貴方の味方でいたいと思います」
「カイゼル……ありがとう。とても、嬉しく思う……」
「……貴方の剣技は、私が責任持って鍛えましょう。では、いってらっしゃいませ」
「ああ、これからも頼むよ。では、行ってくる」
俺は母上とカエラ、そして父上とカイゼルの温かい言葉に包まれながら、校門へ向かう。
いいだろう……!もう、誰になんと言われようが構わない……!
俺は、俺を認めてくれる大切な人達のために……最強を目指す……!
そこは、貴族と平民が共に学ぶ学校だ。
そこでは、初代皇帝が定めた校則が1つだけある。
校内では、貴族も平民も平等だということだ。
だが、今ではすっかり形骸化してしまった。
貴族は派閥を作り、平民は貴族に逆らえずにいる。
俺は気合いを入れつつも、どこか憂鬱な気持ちだった。
貴族の連中も、平民に生かされているという自覚がないしな。
むしろ、平民が暮らせるのは、貴族のおかげとか思っている始末。
「まあ、でもやるしかないな。僕だけでもキチンとしよう」
「アレス様~!準備出来ましたか~?」
「ああ!今行く!」
俺は部屋を出て、玄関に向かう。
そこには、母上とカエラが待っていた。
「アレス……しっかりやるのよ?」
「ええ、母上。任せてください」
「アレス様。私は何があろうとも、貴方の味方です!」
「ああ、ありがとう。カエラ」
「アレス様、行きましょう」
「ああ、カイゼル。御者は任せた」
「御意」
俺は、カイゼルが御者する馬車に乗り込む。
そして、馬車は動き出す。
そして半分ほど進んだところで、誰かが乗り込んできた。
曲者か!?と思ったが、カイゼルが見逃すはずかない。
なので、知り合いかと思ったのだが……。
「あのー、父上?何をしているのですか?」
「可愛い息子に会いに来た!」
「はい、お帰りください。貴方は皇帝陛下でしょうに」
「息子が冷たい……そうだよな……ろくに会いにも来ない父上なんて嫌いだよな」
「面倒な父上ですね。僕は、ちゃんと父上のこと好きですからね?」
「ほ、本当か!?そうか!そうかぁ……!お父さんは嬉しい!」
「はいはい。で、まさかそれだけのために来たんじゃないでしょう?」
「うむ、相変わらず賢い子だ。ああ、それだけであったらなんと幸せなことか……」
「あのー、学校に着いてしまいますよ?」
「いかん、いかん。おそらく学校では、聖痕がないことで色々言われるだろう。だが、気にすることはない。俺はお前を愛している。そしてお前に非がない限り、お前の味方をすると約束しよう」
「……父上、いいのですか?他の王妃や、大臣達がうるさいのでは?」
「まあ、そうだろうな。だが、知ったことか。俺は本来なら、継ぐはずもない皇位を継いだんだ。多少のワガママは言っても、バチは当たらないだろう」
「皇帝としては、どうかと思いますが……息子としては、嬉しいです。ありがとう、父上」
「……本当なら、お前とエリナともっと一緒にいたいのだがな……すまんな、アレス」
「いえ、そのお気持ちだけで嬉しいです。まあ、なんで会いに来ないんだ!と思うこともありますが……我慢します。母上のことは、お任せください。ただ、寂しがっているので会いにいってくださいね?」
「アレスは、立派になって……まだ、8歳なのに。はぁ、他の息子供とはえらい違いだ。ああ、妹か弟を作ってやるからな!では、またな!」
そう言い残し、父上は馬車から飛び降りた。
おいおい……子作り宣言ですか。
まあ、出来たら嬉しいけどね。
そうか……父上は俺のことを愛しているのか。
ふっ、仕方ない。
今度来たら、構ってあげよう。
とても温かい気持ちに包まれつつ、再び馬車は走り出す。
俺は前世でいうところの、イタリアに近い街並みを眺めながら、聖痕について考えていた。
聖痕とは、ガーナ大陸の守護者を冠する我が国の皇族に現れるものである。
胸のところに、痣のような模様が現れる。
ちなみに、女神の加護とも呼ばれる。
その恩恵は様々だ。
人によっては、生まれつき剛力になったり。
生まれつき魔力が高かったり。
生まれつき戦いの才能があったり。
生まれつき頭が良かったり。
とまあ、色々な恩恵がある。
何よりも、女神より与えられし神器の槍、アスカロンを扱えることだ。
この大陸の西端に、邪神が封印されていると言われる魔界ドラゴニールがある。
そこからの侵略から守るために、女神マリアが与えたものらしい。
その威力は絶大だ。
そのなぎ払いは魔物の大群を殲滅し、その突きは海をわり、斬れば山をも両断するという。
さて、どうして俺が出来損ないかわかっただろう。
俺には、この聖痕がないからだ。
だから剣の腕が良くとも、魔法使いとして一流になれる才能を持っていても、皇族としては出来損ないということだ。
だから、他の皇族や御偉いさん方に見下されるわけだ。
それは、まあいい……まだ我慢は出来る。
俺が我慢ならないのは、母上が不貞を疑われることだ。
つまり、奴らは聖痕がない俺を、父上の子供ではないのでは?と疑ってるわけだ。
そのせいで、母上は不当な扱いを受けている……。
もちろん、必ずしも聖痕が現れるわけではない。
割合的には、七割で聖痕を持って生まれるらしい。
なら持っていなくても、そこまで不当な扱いを受けることはなくないかと、俺は思った。
だが、父上は本来王位を継ぐ人ではなかったようだ。
父上の父親、つまり前国王が急死したのだ。
その結果、上2人の兄が継承権争いをし、両方共亡くなったそうだ。
そして、末っ子ということで大陸を放浪していた父上は、母と出逢い恋に落ちた。
意気揚々と帰国したら、自分が王位を継承することになり、父上は渋々承諾したそうだ。
もちろん、母上のことは大反対された。
大陸の東端にある、迷い人が作った州郡国家ノスタルジア出身だったからだ。
今は迷い人のことはおいておくとして……。
母上は有名ではあったが、高貴な家の出ではないので大反対されたわけだ。
父上は、国が用意した女性と結婚することを条件に、母上のことを認めさせたそうだ。
だが、当たり前だが父上は母上を愛している。
第1王妃や第2王妃からしたら、面白くないだろう……。
そして聖痕を持つ者を産まなかったのも相まって、不当な扱いを受けているということだ。
そして俺はそんな母上の元に生まれ、不幸だと周りの奴らから思われているわけだ。
……クソ!胸糞悪い……!勝手に決めるな!幸せか不幸かどうかは、俺が決める!
少なくとも、俺は母上の子に生まれ幸せだと思っている。
そんなことを考えているうちに、学校に到着したようだ。
「アレス様、到着しました」
「カイゼル、ありがとう。では、行ってくる」
「アレス様……」
「ん?珍しいね。どうかした?」
カイゼルは普段から、あまり話しかけてくるタイプではないから驚いた。
「……貴方は、ご立派です。亡き主君によく似ておられる……。このカイゼルは、亡き主君に忠誠を誓っております。ですが、貴方の味方でいたいと思います」
「カイゼル……ありがとう。とても、嬉しく思う……」
「……貴方の剣技は、私が責任持って鍛えましょう。では、いってらっしゃいませ」
「ああ、これからも頼むよ。では、行ってくる」
俺は母上とカエラ、そして父上とカイゼルの温かい言葉に包まれながら、校門へ向かう。
いいだろう……!もう、誰になんと言われようが構わない……!
俺は、俺を認めてくれる大切な人達のために……最強を目指す……!
応援ありがとうございます!
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