田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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セリス視点

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 ……もう、ユウマったら。

 そういえば、再会した時にも下着姿を見られたんだったわ。

 ……思い出したら恥ずかしくなってきた。

「セリスさん」

「ひゃ!? な、なに?」

「どうしたんです? 耳が真っ赤ですけど」

「な、何でもないわ……意外とカレンは落ち着いているわね」

 水にずぶ濡れした時も動揺はしてたけど、その後は割とけろっとしていた。
 も、もしかして殿方との経験があるとか!?

「ああいう遊びはよくやってましたから。もちろん、相手がユウマさんっていうのもありますよ? むしろ、ユウマさんの方が恥ずかしがっていた気がします」

「ふふ、そういえばそうだったわね。必死にこちらを見ないようにしてたし」

「えへへ、ちょっと可愛いなって思っちゃいました」

「少しわかる気がするわ……なにかしら?」

「なんだか、外が騒がしい気がしますね」

 すると扉が開き、ノルン先生が入ってくる。
 その顔はいつもと違って真面目で、すぐに何かが起きたのだと察した。

「ここにいたのね!」

「先生! なにがあったのですか?」

「ごめんね、とりあえず付いてきてくれる?」

 私とカレンは頷き、先生と共に部屋を出て行く。
 すると、砦の中で兵士たちが忙しなく動き回っていた。
 そして移動しながら、何か起こっているのか説明を受けた。

「魔物の大群?」

「それはどうしてなのです?」

「原因はわからない。スタンピードの兆候はなかったのに……まるで、急に現れたみたい」

「そうなると理由は後ですわね」

「そういうこと。本当は生徒に頼むのなんて教師として失格なんだけど……手伝ってくれる?」

「「もちろんです!」」

 そして私達は先生について行き、砦の外に出る。
 そこでは、怒号が飛び交っていた。

「そっち行ったぞ!」

「こっちに人を!」

「こっちだって限界だ!」

 忙しなく動く兵士、担架で運ばれる者もいた。
 生徒達は中央付近で震えていて、その場に留まっている。

「あの子達は……」

「流石に無理には戦わせられないから。それに、悪いけど足手まといになっちゃうしね」

「わ、わたし達は良いのですか? その、ユウマさんなら話は別ですけど」

「そもそも、ユウマはどこに?」

 ユウマなら、こういう時に真っ先に動きそうだけど。

「あぁーそれが……外に走りに行っちゃって」

「「はい??」」

「ふふ、彼も若いってことよ。とにかく、彼のことは平気。貴方達は試験をクリアしたし、自分の力も知ってる。だから、頼んだのですよ」

「……微力ながらお手伝いしますわ」

「わ、わたしもですっ」

「ありがとう。ちなみに、レオン君にはもう戦ってもらってるから」

 そしてカレンは後方で癒しの支援、私は西側にある柵へ派遣される。
 そこでは兵士たちと……なんと、カイル王子までもが戦っていた。

「カイル様!? 貴方までなにを……」

「ふっ、それはこちらの台詞だ。侯爵令嬢である其方が戦場に来るなど……」

「むっ……女だって戦えますわ」

「そうであったな……では、共に戦うとしよう」

 ……この短期間でなにかあったのかしら?
 なんだか、憑き物が取れたような顔してる。
 ううん、今は戦いに集中しないと。

「ギャギャ!」

「ブルァ!」

「なんのっ!」

「行きますわ!」

 カイル様は見事な槍捌きで敵を一突きし、私は盾でガードしつつカウンターで仕留める。
 思ったほど相性は悪くなく戦いやすかった。

「ふっ、やるではないか」

「カイル様こそ見事ですわ」

「……最初から、このように接していれば良かったのかもしれんな」

「カイル様?」

「いや、なんでもない」

「そうなのですか? ……とりあえず、引き続きよろしくお願いしますわ」

「ああ、こちらこそよろしく」

 私達は協力しつつ、迫りくる魔物達を倒し続けるのでした。







 ……こ、これで終わったの?

 私たちに来る魔物は清々、数十体だった。

 それでも少ない方だったけど……疲労感が違いすぎる。

「こ、これが実戦……」

「いつも兵士の方々が感じてること……私達は平和な檻の中でぬくぬくとしてたいうことですの」

「俺は何もわかってなかった……このような様で何を勘違いしていたのか」

「カイル様……」

「其方にも迷惑……なんだ?」

 振り返ると、そこには魔法陣が浮かんでいた。
 そして……突如、そこから魔物が溢れ出す!
 その中には、上位種であるジェネラルが数体もいる。

「ギャギャ!」

「ブルァ!!」

「な、なぜだ!?」

「カイル様! 逃げてください!」

 王族であるこの方を死なせるわけにはいかない!
 それに後ろには他の生徒達が!
 みんなを守れる騎士になる、それが私が決めたこと。  

「すぅ……土の壁よ、我らをまもりたまえ——アースウォール!」

 迫りくる魔物達の前に十メートルほどの土壁を展開し、何とか押しとどめる!

「くぅ……! 今のうちに!」

「そ、そんなことできるものか!」

「は、早く……! そんなには持ちませんわ!」

 魔力がどんどん減っていく!
 それに、このままではすぐに回り込んでしまう!
 私に、もっと力があれば……守れる力が。
 その時、私の肩に手が置かれた。

「——良くやったね、セリス」

「……ユウマ」

 そこには、全身血まみれ泥まみれのユウマがいた。

 こんな状況だというのに、私の胸はときめいてしまうのでした。

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