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探索開始

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 そして、俺たちの番がやってくる。

 入り口もバラバラで、ルートは特には決まっていない。

 貰った地図を元に、印があるところを目指していけばいい。

 ちなみに護衛の騎士や巡回の兵士がいるが、それらを頼ったり助けに入られた時点で失格となる。

 ただ罠があったり、この先入ってはいけないなどの警告はされるらしい。

 そんな説明を受けた後、最後に十分だけ時間を与えられる。

「決まりはそれくらいよ。つまり、ある程度の安全が確保された行軍みたいなものだわ」

「いずれやるであろう予行練習ってことだね」

「ふむふむ、我々の国でも似たようなことはある。獲物を生かして森に放ち、それを捕まえるという訓練がな」

「わ、わたしも足手纏いにならないように頑張りますっ」

 カレンが、両手の拳を握りしめて気合を入れている。
 本人には悪いが、とても可愛くて和んでしまう。
 そして、それは二人も同じ気持ちらしい。

「「………」」

「ど、どうして三人して見てくるんです?」

「「「なんでもない」」」

「はわっ!? うぅー……わたし、何かしたかな?」

「平気よ、カレン。むしろ、緊張がほぐれて助かったわ」

 その後、隊列を決める。
 隊長であり、土魔法と剣を持ったセリスが前衛。
 魔法剣士である俺が、中衛として遊撃に回る。
 魔法特化にして回復役であるカレンが三番手になり、しんがりをレオンが務める。

「我が最後でいいのか? 正直言って、前衛に回されるかと思ったが。個人的には、女性の後ろに隠れるのも……いや、女性も強いのだった」

「そういうことよ。私達だって、守られるばかりじゃないわ。ただ、カレンは戦闘能力は高くないから、いざって時は守って欲しいけど」

「俺もとレオンでカレンを守る形だね。後、気配や音に敏感だから後ろから声をかけてくれると助かるよね」

「なるほど……わかった。カレン殿、安心するがいい」

「お、お願いしますっ。でも、わたしも戦えますから」

「ええ、わかってるわ。とりあえず決まりね……それじゃ、行くわよ」

 すると、森の入り口にいる教師に時間だと告げられた。
 俺達は隊列を組んで、森の中へと入っていく。



 ◇

 うん、懐かしいや。

 森の中を歩きながら、師匠達に森の中に放置されたことを思い出す。

 あの時は位置もわからず、次々と襲ってくる魔物や魔獣を倒していたっけ。

 すると、ガサガサと音がする。

「きゃっ!?」

「わわっ!?」

「はい、二人共落ち着いて」

 ……落ち着くのは俺!
 びっくりした二人が、腕にくっついてきて大変!
 弾力の違うモノが当たってます!

「ご、ごめんなさい」

「す、すみません」

「カレンはともかく、セリスは前衛なのに腰が引けちゃだめだよ。大丈夫、俺達がいるから。それに、レオンのことを信用しよう」

 何かあっても俺はセリスを守るつもりだ。
 それに、獣人の気配察知能力はライカさんでよく知ってる。
 俺はそれを信用して、風の結界を張っていないほどに。

「そ、そうね、彼に失礼よね。ごめんなさい、レオン」

「いや、気にしないでいい。ユウマ、感謝する」

「はい? どういうこと?」

「くく、わかってないなら良いのだ」

「そう? まあ、良いや。とにかく、せっかくパーティーを組んでるだから俺達を信頼して」

「ええ、わかったわ」

 セリスから恐れが消え、キビキビした動きで前を進む。
 慣れている俺やレオンと違い、彼女は初めてのことだ。
 できる限り、サポートできれば良いね。





 そして、進むこと二十分が経過した。

 すると、後ろにいるレオンの気配が変わる。

「セリス殿! 何かが来る!」

「わかったわ! みんな、その場で停止! カレンを真ん中に、三人で囲うようにして! 敵が見えたらすぐに報告!」

 セリスの指示に従い、俺とレオンが動く。

 俺も刀に手をかけ、辺りを警戒する。

 ちなみに、今回は自分に魔法を使わないという縛りをつけた。

 何かあっても、そこらにいる兵士や冒険者がいるからだ。

 俺は魔法に頼りすぎる癖があるので、ちょうど良い機会だ。





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