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交差する思い

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 その後、元いた場所に戻ると……そこにはセリスとカイル王子がいた。

 どうやら、一緒に戦いを眺めていたらしい。

「ユウマ、お疲れ様。怪我とかない? 平気なの?」

「うん、平気だよ。こう見えても頑丈ですから」

「ほんとにね、見た目は細いに……どういう仕組みなの?」

「仕組みも何もないよ。要は内側の筋肉を鍛えて、限界まで絞ってるだけだから。あとは、細い道で片足立ちしたりして体幹を鍛えたりね」

 これらはエリスが教えてくれたことだ。
 まだ魔法もなかった時代にあった鍛錬方法らしい。
 それに魔力強化をするにしても、それは元となる身体が丈夫でないと意味がないとか。
 そう言えば、最近の人達は疎かにしてるって嘆いてたっけ。

「そ、そんなことやってたのね」

「セリスもやってみる?」

「えっ? う、うーん、少し考えるわ」

「わかった。気が向いたら言ってね」

 どちらにしろ、このままだと身体が鈍るかもしれないなぁ。
 ちょっと頼んで、設備とか作ってもらえないか頼んでみようっと。
 すると、タイミングを見てカイル様が俺に話しかけてくる。

「……凄い戦いだったな」

「ありがとうございます。いやいや、良い訓練になりました」

「俺は剣と魔法を使って、やっと互角だったというのに……これが父上の言っていた男か」

「父上……国王陛下が何か言ってましたか? 俺、その辺のことはわかってなくて」

「いや、知らないのなら良い。それでは、俺はこれで……セリス殿、返事を待っている。急ぎはしないので、ゆっくり考えてくれ」

「は、はい……わかりました」

 そして、カイル王子が去っていく。

「えっと、なんの話?」

「……ううん、何でもないの。それより、来週末は校外学習があるらしいわ。ちらっと聞いたけど、今週末にはみんなに説明されるみたい」

「校外学習……どういったことやるの?」

 そして、セリスが軽く説明をする。
 なんでも、生徒達を連れて郊外にて野営をするとか。
 今年から導入されたことで、生徒達の危機感や実際の経験を学ばせるらしい。
 個人的には、とってもいいことだとは思う。

「それでクラスの中で、四人一組になってパーティーを組むとか。あと、それは自由に決めていいって」

「四人かぁ……まあ、バランスは悪くないね。戦場でも、四人から六人が良いって言われたし」

「役割分担ってことよね?」

「そうだね。前衛、後衛、中衛とあるし。それぞれの特性に合わせてパーティーを組まないと」

 俺はオールラウンダーではあるから、一つに特化した人がいるといいかな。
 攻撃だったり、回復だったり。

「ユ、ユウマは誰かと組むとかある?」

「ん? いや、今のところは全然。それに組んでくれる人も限られてるし。そういうセリスは? 結構、クラスの人達と話したりしてるもんね」

「私の場合は元々の知り合いが多いから。王都のパーティーやら舞踏会とか出てたし。まあ、確かに組む人には困らないわ」

「うんうん、セリスは人気者だもんね」

 休み時間になると、次々と人が寄ってくるし。
 カイル王子だけでなく、他の男子とかも。
 もちろん、性格もいいから女の子にも人気あるし。
 えっ? 俺? いまだに、誰かが寄ってきたことないです……ぐすん。

「で、でも私は……」

「あっ、でも俺はセリスと組みたいけどね」

「えっ? ……そうなの?」

「だって、放課後も一緒にいないし。休み時間になると、いっぱい人が来るし。俺だって、セリスと一緒に何かしたいかな」

 せっかく、再会したのに中々時間が取れないし。
 あと、セリスのお母さんにも頼まれたしね。

「……それじゃ、私がパーティーを組んであげる!」

「ほんと? でも、いいのかな?」

「なによ、どっちなのよ?」

 その瞬間、俺の防衛本能が働いた……これはまずいと。

「いえ! 是非ともパーティーを組んでください!」

「もう……仕方ないわね!」

 すると、弾けるように笑うのだった。

 これで、一緒にいる時間ができそうだね。






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