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セリスとおはなし

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 昼休みを終えて教室に戻ると、そこには不機嫌な顔をしたセリスがいた。

 すると、カレンが俺に耳打ちをしてくる。

「ユウマさん、セリスさんに話しかけてくださいね」

「ん? 別にいいけど。ただ、機嫌が悪そうなんだけど……」

「これを治せるのは、ユウマさんしかいません。きっと、お話を聞くだけでいいと思います」

「……わかった、行ってくるよ。もともと、そのつもりではあったしね。今朝から、少し浮かない顔をしてたし」

「えへへ、さすがはユウマさんですっ」

 ある程度覚悟をして、俺は自分の席に戻る。
 そして、恐る恐る話しかけてみることに。

「どうしたの? 何かあった?」

「べ、別になんでもないわ」

「いや、なんでもないって顔じゃないけど?」

「むぅ……だって、私だけ除け者にして……いつの間か女の子に囲まれてるし」

「ごめん、除け者の後が聞こえないや」

「き、聞こえなくていいの」

 除け者……あぁ、俺がカレンと遊んじゃってるからか。
 ふんふん、そりゃ寂しくもなるわな。

「そうだ、この後は実習見学だったね。よかったら、そのあとで剣の打ち合いでもしようか?」

「えっ? 何というか、色気のない会話ね……でも、そっちの方が楽だわ」

「よくわからないけど良いってこと?」

「ふふ、もちろん。さあ、午後の授業も頑張るわよ!」

 先ほどまでの不機嫌は何処へやら、急に元気になった。
 ふと、カレンの方を見ると……ウインクをされる。
 どうやら、これで合っていたみたいだ。




 そして、食後の休憩を挟んで……クラス全員で整備された校庭に出る。
 そこには既に、教官らしき人達が立っていた。
 俺たちが並ぶと、右から順に名前と得意科目を話していく。
 一通り説明したあと、少し自由時間となる。

「ユウマ、何か気になるのあったかしら?」

「うーん、気になったのは、やっぱり剣と風と水かなぁ。武器の扱いは繊細だから、下手に他のを覚えるとクセがついちゃうし。それに他の武器の戦い方はある程度知ってるしね」

「それじゃあ、剣を二個入れるとか?」

「うーん、それだとおもしくないから……火属性でも学ぶかな」

 ミレーユさんの魔法の腕は確かだった。
 あの人が生徒でいるってことは、それより強い人がいるってことだ。

「ふーん、そうなんだ」

「セリスは何を取るの? 魔法を多め? それとも剣一本とか?」

「私は剣と短剣かしら。あとは土魔法ね。もう一つはどうしようかなって」

「そういえば、セリスは一属性なの?」

「あのね……そもそも、魔法を二属性使えるのが珍しいわ」

「……そうなの?」

「そ、そこからなの? あまりに常識すぎて、誰も説明しないわよ。生まれつき使える属性は決まっていて、必ず一個は持っているわ。例えば私なら土とか、カレンなら光とかね。ダブルとかは、千人に一人とか言われてる」

 ……そうだったのか。
 エリスは三つ使えたし、前線にいる強者には二属性使える人もいた。
 だから特には疑問に思ってなかったけど。
 全体で見たら、珍しいってくらいかな。

「まあ、それなら別に驚くほど珍しいわけじゃないね」

「い、いや、十分に珍しいんだけど……大体が宮廷魔導師とか、賢者って呼ばれる人になるくらいだし」

「……そんな人がいるんだ」

 賢者か……きっと賢くて大人で落ち着いた人なんだろう。
 いつか、そんな人に会ってみたいね。

「はぁ……ほんと、常識知らずね」

「いや、面目無い」

「ふふ、仕方ないから私が色々と教えてあげるわ」

「いやー、助かるよ。ほんと、セリスがいてくれてよかった」

「べ、別にこれくらい……これでユウマとの時間とれるかな?」

 家を出てから、セリスには世話になってばかりだ。
 俺にできることで、何かお礼をしたいところだね。

「セリス、何か俺にできることがあったら言ってね。何処にいようと、きっと助けに行くから」

「きゅ、急にどうしたのよ?」

「いや、言ってみただけ。セリスって、昔から意地っ張りなところあったから」

「もう! 悪かったわね!」

「あひゃ……ほっぺを引っ張らないでぇ」

「ふふ、変な顔……でも、ありがとう。その時は、頼りにさせてもらうわ」

 そう言い、すっきりした笑顔を見せる。

 浮かない顔をしてたから、こっちも嬉しくなる。

 やっぱり、女の子には笑顔が一番似合うよね。




 

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