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子どもたちⅩ
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「では、1週間後にコーコナ領を出ることになります。向かう先は、アンバー公爵家よ」
「アンバー公爵家って、俺でも知ってる。この国でえらい貴族だって」
「えらいかどうかは、わからないけど……この国が出来たときに、当時の公の妹のために作られた公爵家よ。歴史は、長いわ!」
「……そんなえらい貴族様のところに、私たちも?」
不安そうにするシシリーに微笑んだ。ダンが手を繋いで会えると少しだけ落ち着いたのか、オロオロとしていた雰囲気が、多少消える。
「……そのえらい貴族様は、目の前にいるのだけどね?」
子どもたちに向かって言ったつもりが、その場にいたアデルとディルが笑ってしまった。
「お貴族様の奥さんっていうのじゃないの?」
「私は、この国の貴族代表をしているアンナリーゼよ!アンバー公爵は私のこと。まぁ、アンバー公爵は、本物がもう一人いるのだけど……」
「とってもえらい貴族だ!」
「そのえらい貴族が、私たちを人攫いから助けてくれたの?貴族って、たくさんの兵に守られているものだと思っていたけど……」
四人が顔を見合わせたあと、こちらを胡散臭そうに見てくる。そんな目で見られても本物には変わりがないので、微笑んでおくしかない。
「普通はそうだけど、私は、少し違うかな?アンバー公爵っていうのが抵抗ある人は、青紫薔薇の君とか言ってくれるわ」
「青紫?」
「ディル、見せてあげて!」
結婚指輪を子どもたちに見せる。そこには、銀に輝く指輪。真ん中にアメジストの薔薇が咲いていた。ティアが作ったもので、デリアの分と世界に2つしかないものだ。
「紫青薔薇?」
席をたち、ディルに集まっている子どもたちのもとへと向かう。じっくり覗き込んで見ているので近くにいたマリアとダンの頭を撫でる。
「この宝石はアメジスト。私が信頼している人に、こうして渡しているのよ。アンバー領へ戻れば、このアメジストをつけている人がいるわ。何かあれば、その人たちに聞いてみて、必要な話は答えてくれるわ!」
「……下賜品っていうんだろ?」
「カイルはよく知っているわね?下賜品は、えらい人から爵位や身分の低いものへ、褒美としてあげる人が多いわね?」
「たくさん、お金がもらえるとか」
「お金はもらえるけど、私が渡す下賜品は、忠誠の証だったり、信頼しているとかの意味で贈っているわ」
「……信頼の証?」
「そう。この人に任せられるって言う人に渡すのよ。アデルも耳にピアスがついているけど、わかる?私の護衛として、信頼していますと言う意味で贈っているのよ」
アデルを手招きすれば、苦笑いをしながらこちらに来て、ピアスを見せてくれていた。
「あなたたち四人に目指してもらいたい目標があるの」
「……目標?」
「そう。これから、それぞれの適正を見ていくわ!その適正に応じて、今後、してもらう仕事を決めるわ」
『仕事』と言う言葉に、目の色が変わる。真剣な目をしてこちらをしっかり見つめ返してくる。
「そんなに緊張した表情はしないで?あなたたちも、これから、証を目指して勉強してもらうんだから。色はアメジストじゃなく、青薔薇をもらえるように、頑張ってほしいの」
私の提案に、間髪いれずに、マリアが無理だと項垂れた。
「マリアなら、青薔薇を狙えるわよ!もちろん、それに似合った努力は必要だから、大変だけど、きっと、持ち前の明るさでなんとかなるわ!他の三人も自身をしっかり磨いてちょうだい」
四人がお互いを見合わせるのは、何回目だろう。こうやって、お互いを高め合い、励まし合いながら研鑽し、アンジェラを支える青薔薇になるのだろう。小さな子どもたちの成長がとても楽しみになった。
「今、みながいることですし、少し、適性を見ていきましょうか。まずは、カイルから」
「アンナはどんなふうに考えているので?」
「そうね、基本的には、アンジェラの護衛を考えているわ。リーダーとして育てたい……それが私の要望よ!」
「それは、領地の警備兵にということですか?」
「領地に囚われないわ。アンジェラという存在そのものが、もっと、守られるべきなのだもの」
「今までが、手薄過ぎましたね……」
「そうね。できれば、リリーのような存在になれば、私は嬉しい。領地と私たち貴族の架け橋になるような、そんなリーダーね!」
「それなら、ウィル様を目指しては?」
「それも、そうなんだけど……ウィルは、近衛。やはり、少し役目が違うのよ。この役目は、レオができるようになると思うわ!」
私は、カイルに向き直った。少し触るわよ?といい、体をペタペタとすると、くすぐったそうだ。子どもの体ということと、栄養状態を考えても、なかなかの体つきだ。レオと変わらない年ではあるが、大人になれば、カイルの方が大きくなるだろう。どちらかといえば、ノクトのような屈強な体を手に入れるだろう。目指して欲しいのは、将軍ではなく、アンジェラを守るために指示をする隊長。しっかりした兄貴分のカイルなら、問題ないだろうと頷いた。
「アンバー公爵家って、俺でも知ってる。この国でえらい貴族だって」
「えらいかどうかは、わからないけど……この国が出来たときに、当時の公の妹のために作られた公爵家よ。歴史は、長いわ!」
「……そんなえらい貴族様のところに、私たちも?」
不安そうにするシシリーに微笑んだ。ダンが手を繋いで会えると少しだけ落ち着いたのか、オロオロとしていた雰囲気が、多少消える。
「……そのえらい貴族様は、目の前にいるのだけどね?」
子どもたちに向かって言ったつもりが、その場にいたアデルとディルが笑ってしまった。
「お貴族様の奥さんっていうのじゃないの?」
「私は、この国の貴族代表をしているアンナリーゼよ!アンバー公爵は私のこと。まぁ、アンバー公爵は、本物がもう一人いるのだけど……」
「とってもえらい貴族だ!」
「そのえらい貴族が、私たちを人攫いから助けてくれたの?貴族って、たくさんの兵に守られているものだと思っていたけど……」
四人が顔を見合わせたあと、こちらを胡散臭そうに見てくる。そんな目で見られても本物には変わりがないので、微笑んでおくしかない。
「普通はそうだけど、私は、少し違うかな?アンバー公爵っていうのが抵抗ある人は、青紫薔薇の君とか言ってくれるわ」
「青紫?」
「ディル、見せてあげて!」
結婚指輪を子どもたちに見せる。そこには、銀に輝く指輪。真ん中にアメジストの薔薇が咲いていた。ティアが作ったもので、デリアの分と世界に2つしかないものだ。
「紫青薔薇?」
席をたち、ディルに集まっている子どもたちのもとへと向かう。じっくり覗き込んで見ているので近くにいたマリアとダンの頭を撫でる。
「この宝石はアメジスト。私が信頼している人に、こうして渡しているのよ。アンバー領へ戻れば、このアメジストをつけている人がいるわ。何かあれば、その人たちに聞いてみて、必要な話は答えてくれるわ!」
「……下賜品っていうんだろ?」
「カイルはよく知っているわね?下賜品は、えらい人から爵位や身分の低いものへ、褒美としてあげる人が多いわね?」
「たくさん、お金がもらえるとか」
「お金はもらえるけど、私が渡す下賜品は、忠誠の証だったり、信頼しているとかの意味で贈っているわ」
「……信頼の証?」
「そう。この人に任せられるって言う人に渡すのよ。アデルも耳にピアスがついているけど、わかる?私の護衛として、信頼していますと言う意味で贈っているのよ」
アデルを手招きすれば、苦笑いをしながらこちらに来て、ピアスを見せてくれていた。
「あなたたち四人に目指してもらいたい目標があるの」
「……目標?」
「そう。これから、それぞれの適正を見ていくわ!その適正に応じて、今後、してもらう仕事を決めるわ」
『仕事』と言う言葉に、目の色が変わる。真剣な目をしてこちらをしっかり見つめ返してくる。
「そんなに緊張した表情はしないで?あなたたちも、これから、証を目指して勉強してもらうんだから。色はアメジストじゃなく、青薔薇をもらえるように、頑張ってほしいの」
私の提案に、間髪いれずに、マリアが無理だと項垂れた。
「マリアなら、青薔薇を狙えるわよ!もちろん、それに似合った努力は必要だから、大変だけど、きっと、持ち前の明るさでなんとかなるわ!他の三人も自身をしっかり磨いてちょうだい」
四人がお互いを見合わせるのは、何回目だろう。こうやって、お互いを高め合い、励まし合いながら研鑽し、アンジェラを支える青薔薇になるのだろう。小さな子どもたちの成長がとても楽しみになった。
「今、みながいることですし、少し、適性を見ていきましょうか。まずは、カイルから」
「アンナはどんなふうに考えているので?」
「そうね、基本的には、アンジェラの護衛を考えているわ。リーダーとして育てたい……それが私の要望よ!」
「それは、領地の警備兵にということですか?」
「領地に囚われないわ。アンジェラという存在そのものが、もっと、守られるべきなのだもの」
「今までが、手薄過ぎましたね……」
「そうね。できれば、リリーのような存在になれば、私は嬉しい。領地と私たち貴族の架け橋になるような、そんなリーダーね!」
「それなら、ウィル様を目指しては?」
「それも、そうなんだけど……ウィルは、近衛。やはり、少し役目が違うのよ。この役目は、レオができるようになると思うわ!」
私は、カイルに向き直った。少し触るわよ?といい、体をペタペタとすると、くすぐったそうだ。子どもの体ということと、栄養状態を考えても、なかなかの体つきだ。レオと変わらない年ではあるが、大人になれば、カイルの方が大きくなるだろう。どちらかといえば、ノクトのような屈強な体を手に入れるだろう。目指して欲しいのは、将軍ではなく、アンジェラを守るために指示をする隊長。しっかりした兄貴分のカイルなら、問題ないだろうと頷いた。
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