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第67話 楽しい一日
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俺だけじゃない。璃緒やネフィリムだっている、みんなで力を合わせて加奈がまた戦えるようにしていこう。
食事を終えて──それから立ち上がった。
「せっかく来たんだし、昔みたいに色々と遊ぼう」
「そ、それもいいね」
加奈の表情が明るくなって、コクリとうなづいた。
俺たちは弁当を片付けて、公園を歩く。流石にいい年だから今までにはいかないけど──。
公園で手をつないで歩いたり、大きな丘の滑り台。
公園の目玉遊具ともいえる、なだらかな丘を100メートルはある距離をかけて下っていく代物。
「久しぶりに、滑ってみようよ」
「この年齢で滑り台?? 恥ずかしいよ」
「そんなことないって。大人の人も、一部だけでやってるよ」
「あれ、親でしょ??」
滑り台を見てみると、親らしき人が子供の後に楽しく滑り台を滑っている。大丈夫、加奈の腕をつかんでコクリとうなづく。
「一緒にやっちゃえばバレないよ。行こう」
「わ、わかったよ」
という事で、2人で久しぶりに滑り台を滑る。加奈が前、俺が後ろ。
緩やかな坂を、軽快に下っていく。風がとっても気持ちいい──。
「子供のころ以来だね。すっごい気持ちよかった」
「うん。風が爽快だったね」
それから、公園の中のお花畑を一緒に歩いたり。公園を出てからは、街を歩いた。
昔懐かしのおもちゃ屋さんに、アーケード街。
子供のころ、よく遊んだり、ここに来るまでにふざけあったり。無邪気にいろいろ楽しんでいたな。
「懐かしいね」
「うん」
売店でソフトクリームを買いながら、また話す。
「澄人君さ、ダンジョン怖いって思ったりしない?」
「なんで?」
「い、いや……考えたんだよ。私、今まで当たり前にダンジョンで戦っていたけどさ、現実世界と違って、強い敵と当たると大けがしたり──中には命にかかわることだってあるわけじゃん? そう考えると、すごい危険なことしてるんだなって思ってさ……。現に、私だって初めてボロボロになって、すっごい怖いなって思った」
加奈の表情が暗くなって、うつむき始める。確かにそうだ。よくよく考えれば、命がけなんだよなぁ、ダンジョン攻略って。
どう返せばいいのか、しばし迷って考える。確かに、つらいことはあった。それでも戦う意味──それを考えて、答えを出す。
「確かに、よく考えたら怖いものがあるよね」
「うん」
そう言って、加奈は自然と拳を握る。やはり恐怖が心に残っているんだ。無意識に、軽快してしまっているのがわかる。
「でも、俺なぜかダンジョン攻略の才能あったみたいで──加奈だけじゃなくて、ネフィリムや璃緒の力を借りて、みんなが見てくれるようになった」
「わかる」
「その中で、思ったんだよね。俺のダンジョンを見て、楽しんでくれている人がいるって思うと、頑張ろうって気になるって」
「加奈、困っている人を見ていると放っておけない性格だからね。そこが、加奈のいい所だと思うんだけど」
「迷惑系配信者とか、弱いやつをいじめたり。高ランクなのを鼻にかけて、配信者仲間を故意に怪我させたり。そういうやつを倒したり。最初は、友達を怪我した高ランクの奴を倒したら、みんなから人気が出た。他にもそういう奴に傷つけられた人はいっぱいいてさ、その人たちのために戦ってたんだ」
「なるほどね」
そして、加奈が立ち上がる。優しい笑みで俺の方を見ながら、右手を自分の胸に当てながら言った。
「もう一度、頑張ってみようとは思う。最初っから強い敵とかは厳しいかもしれないけど、少しずつ戦えるようにしていくよ」
「そうなんだ、応援してるね」
「ありがとう」
加奈が、自分の意思でもう一度戦うと宣言した。それ──その気持ちが欲しかった。
実際、一番大切なのは加奈自身が立ち上がるという意志。それがないと、俺がどれだけいったところで加奈には届かない。
一番聞けたい言葉が聞けて、とても何より。
俺も、ソフトクリームを食べ終えて立ち上がった。
「そうと決まれば、今日は最後まで楽しもうか」
「うん」
それから、昔よく言ってた場所をいくつか回る。ゲームセンターでクレーンゲームをしたり──。
「あっ、欲しかった『星名亜美』のぬいぐるみ、ありがとー」
人気歌手がOPを歌うアニメでやっていた「完璧で究極のウェイター」こと星名亜美のぬいぐるみ。1000円くらい使っちゃったけど、取った甲斐があった。
クレーンゲーム、いつもはどうせ取れないようにできているぼったくりだと思っていたが、こうして遊んでいると、どきどきして楽しい。
特に、アームでぬいぐるみを掴んで、ぬいぐるみを持ち上げるとき。出来るかなって思うと、何度も落ちてしまう。加奈は──興奮したのか俺の腕をぎゅっとつかんで身を寄せてきたほどだ。
そんな興奮の中、10回でようやく取ることができた。高かったけど、いい時間になった気がする。そしてぬいぐるみを笑顔の加奈に渡した。
「それはよかった」
「ありがとう。澄人君からもらったぬいぐるみ、一生大切にするね」
それからも、別のゲームに挑戦したり、駄菓子を狩ったり。
今日一日楽しんで、いろいろな事を思い出せた。気が付けば夕方になる。
あっという間だったな。
家の近くの分かれ道。加奈の姿が夕焼けに染まって、柔らかい笑顔がとても素敵に見える。
今の加奈の表情は、今までのどんな表情よりも美しく見えた。加奈──こんなに美人だったんだ。
思わずドキッとしてしまう。
「じゃあ、ここでお別れだね」
食事を終えて──それから立ち上がった。
「せっかく来たんだし、昔みたいに色々と遊ぼう」
「そ、それもいいね」
加奈の表情が明るくなって、コクリとうなづいた。
俺たちは弁当を片付けて、公園を歩く。流石にいい年だから今までにはいかないけど──。
公園で手をつないで歩いたり、大きな丘の滑り台。
公園の目玉遊具ともいえる、なだらかな丘を100メートルはある距離をかけて下っていく代物。
「久しぶりに、滑ってみようよ」
「この年齢で滑り台?? 恥ずかしいよ」
「そんなことないって。大人の人も、一部だけでやってるよ」
「あれ、親でしょ??」
滑り台を見てみると、親らしき人が子供の後に楽しく滑り台を滑っている。大丈夫、加奈の腕をつかんでコクリとうなづく。
「一緒にやっちゃえばバレないよ。行こう」
「わ、わかったよ」
という事で、2人で久しぶりに滑り台を滑る。加奈が前、俺が後ろ。
緩やかな坂を、軽快に下っていく。風がとっても気持ちいい──。
「子供のころ以来だね。すっごい気持ちよかった」
「うん。風が爽快だったね」
それから、公園の中のお花畑を一緒に歩いたり。公園を出てからは、街を歩いた。
昔懐かしのおもちゃ屋さんに、アーケード街。
子供のころ、よく遊んだり、ここに来るまでにふざけあったり。無邪気にいろいろ楽しんでいたな。
「懐かしいね」
「うん」
売店でソフトクリームを買いながら、また話す。
「澄人君さ、ダンジョン怖いって思ったりしない?」
「なんで?」
「い、いや……考えたんだよ。私、今まで当たり前にダンジョンで戦っていたけどさ、現実世界と違って、強い敵と当たると大けがしたり──中には命にかかわることだってあるわけじゃん? そう考えると、すごい危険なことしてるんだなって思ってさ……。現に、私だって初めてボロボロになって、すっごい怖いなって思った」
加奈の表情が暗くなって、うつむき始める。確かにそうだ。よくよく考えれば、命がけなんだよなぁ、ダンジョン攻略って。
どう返せばいいのか、しばし迷って考える。確かに、つらいことはあった。それでも戦う意味──それを考えて、答えを出す。
「確かに、よく考えたら怖いものがあるよね」
「うん」
そう言って、加奈は自然と拳を握る。やはり恐怖が心に残っているんだ。無意識に、軽快してしまっているのがわかる。
「でも、俺なぜかダンジョン攻略の才能あったみたいで──加奈だけじゃなくて、ネフィリムや璃緒の力を借りて、みんなが見てくれるようになった」
「わかる」
「その中で、思ったんだよね。俺のダンジョンを見て、楽しんでくれている人がいるって思うと、頑張ろうって気になるって」
「加奈、困っている人を見ていると放っておけない性格だからね。そこが、加奈のいい所だと思うんだけど」
「迷惑系配信者とか、弱いやつをいじめたり。高ランクなのを鼻にかけて、配信者仲間を故意に怪我させたり。そういうやつを倒したり。最初は、友達を怪我した高ランクの奴を倒したら、みんなから人気が出た。他にもそういう奴に傷つけられた人はいっぱいいてさ、その人たちのために戦ってたんだ」
「なるほどね」
そして、加奈が立ち上がる。優しい笑みで俺の方を見ながら、右手を自分の胸に当てながら言った。
「もう一度、頑張ってみようとは思う。最初っから強い敵とかは厳しいかもしれないけど、少しずつ戦えるようにしていくよ」
「そうなんだ、応援してるね」
「ありがとう」
加奈が、自分の意思でもう一度戦うと宣言した。それ──その気持ちが欲しかった。
実際、一番大切なのは加奈自身が立ち上がるという意志。それがないと、俺がどれだけいったところで加奈には届かない。
一番聞けたい言葉が聞けて、とても何より。
俺も、ソフトクリームを食べ終えて立ち上がった。
「そうと決まれば、今日は最後まで楽しもうか」
「うん」
それから、昔よく言ってた場所をいくつか回る。ゲームセンターでクレーンゲームをしたり──。
「あっ、欲しかった『星名亜美』のぬいぐるみ、ありがとー」
人気歌手がOPを歌うアニメでやっていた「完璧で究極のウェイター」こと星名亜美のぬいぐるみ。1000円くらい使っちゃったけど、取った甲斐があった。
クレーンゲーム、いつもはどうせ取れないようにできているぼったくりだと思っていたが、こうして遊んでいると、どきどきして楽しい。
特に、アームでぬいぐるみを掴んで、ぬいぐるみを持ち上げるとき。出来るかなって思うと、何度も落ちてしまう。加奈は──興奮したのか俺の腕をぎゅっとつかんで身を寄せてきたほどだ。
そんな興奮の中、10回でようやく取ることができた。高かったけど、いい時間になった気がする。そしてぬいぐるみを笑顔の加奈に渡した。
「それはよかった」
「ありがとう。澄人君からもらったぬいぐるみ、一生大切にするね」
それからも、別のゲームに挑戦したり、駄菓子を狩ったり。
今日一日楽しんで、いろいろな事を思い出せた。気が付けば夕方になる。
あっという間だったな。
家の近くの分かれ道。加奈の姿が夕焼けに染まって、柔らかい笑顔がとても素敵に見える。
今の加奈の表情は、今までのどんな表情よりも美しく見えた。加奈──こんなに美人だったんだ。
思わずドキッとしてしまう。
「じゃあ、ここでお別れだね」
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