9 / 35
2-4 水蛇討伐作戦
しおりを挟む
エルフたちが斥候へ出向き、砦からの増援が合流するまでの間、俺たちは作戦会議を行っていた。
「セスはんは、水蛇についてどれくらい知ってるんや?」
「そうですね。文献で見たことしか知りませんが……頭に鶏のような青いトサカがあり、全長は2~3m。分厚い鱗とぬめりの多い体で刃を滑らせる。水属性であるため、土属性の魔法に弱い、ということくらいです」
「概ね知ってるやん!」
「そうですかね。えへへ」
自分でも分かっているのだが、あまり褒められない人生を送って来たせいで、褒められると簡単に嬉しくなってしまう。つけ入られないように気を付けねばならない。
しかし、本を読んでいる時間が多かったので、子供時代は絵のついているものを好んだ結果なのだが、それが役に立つことは、俺の人生が無駄では無かったことの証明に感じられ、素直に嬉しい。
「まぁこっちはエルフや。ほぼ全員が四属性の初級魔法くらいなら使える。中級は半数。上級は10人おらんくらいやな」
「10人もいれば十分ですよ」
初級魔法は一体。
中級魔法は五体。
上級魔法は十体。
その上に位置する魔法もあるが、世界で数人しか使えない最上位魔法なので、主にこの三区分となっている。
現在、上級魔法を使えるエルフは10人。戦争であれば、初動で100人を殺せるということだ。
戦力を理解し、なるべく安全確実にと、自分の考えた策を述べることにした。
「では、作戦を――」
大した策では無い。少し考えれば、誰かは思いつくようなものだ。
しかし、だからこそだろう。特に反対する者はおらず、いくつかの点を修正はしたが、俺の作戦は可決された。
集落の畑地帯。その中央に、水蛇の好物である食料品を置き、後は現れるのを待っていた。
畑の上で戦うのは気が進まないが、ここを通った形跡がある以上、もっとも誘き出しやすい場所で備えるのは当然のことだろう。
オリアス砦から兵50を引き連れて現れたシヤは、頼んでおいたことの報告を始める。
「セス司令に申し付けられた通りに調べましたが、この辺りで水蛇の発見報告はありません」
「この十年以上の間、まともに調査は行っていない。水蛇以外にも魔物が増えているのか、もしくは誰かが意図的に放ったのか……」
前者の場合、頭が痛い。後者の場合、頭が痛い。
どちらにしろ頭が痛い結果でしかなく落ち込んでいると、妙な音が聞こえ始めた。
「来ましたな」
エルペルトの言葉に頷く。土砂崩れにも似た音に思えるのは、木々や柵などを崩しながら進んでいるからだろう。
僅かに身を乗り出し、水蛇の姿を確認する。……大きな縄が動いているようなものを想像していたが、とんでもない。巨大な水蛇は、低く分厚い壁がうねりながら向かって来ているような、そんな恐ろしいものに見えた。
身を戻し、両手で口を押さえる。心臓がバクバクと音を立て、今すぐにでも叫び出しいのを耐えるのに必死だった。
水蛇は食料の前で止まるかと思われたが、食料を取り囲むようにグルグルと回り出す。そして食料を守るようにとぐろを巻いた後、ようやく動きを止めた。
今だ、と誰もが思ったであろう瞬間、作戦通りにリックが叫んだ。
「今や!」
隠れていたエルフたちが姿を現し、五人が上級魔法を放つ。
土をボコボコと隆起させながら水蛇へ向かい……接触する直前で消える。
異変に気付いた水蛇が顔を上げるのと同時に、突如として現れた巨大な穴に水蛇の体が落下した。
「かかれ!」
シヤの合図で兵たちも穴へ向かって行く。
人を殺せる程度の威力しか無い穴だ。数mほどの深さしかない。
しかし、それを五人で行うことによって、穴の広さは大きくなっている。人間五十人を落として殺せる広さと深さだ。
戦闘は上が有利で、下が不利。そんな基本通りの戦況を作るために、俺は上級魔法を使用する作戦を立てた。
穴の縁からはエルフたちが土の初級魔法を降り注がせて頭を叩き、シヤたちは木々と火矢を打ち込む。
穴の中は恐らく地獄の窯さながらの光景だろう。見えないから予想だけど、たぶんそのはずだ。
最初から最大の火力で勝負を着ける。
俺たちの考えは間違っていなかったらしく、余剰とも思える火力での圧殺は成功しそうだった。
「勝った……?」
「いいえ、セス殿下。まだ戦闘中です。その言葉を紡いでも良いのは、勝利した後と決まっております」
軽口を叩いたことをエルペルトに窘められる。まだ戦闘中だ、気を抜くなと、その目は強く告げていた。
自分の胸を強く叩き、迂闊なことを口にしたと反省する。
俺には実力も無く、経験も無い。だからこそ、常に先を想像しなければならない。勝利の妄想をするなど、何が起きても対応できる歴戦の強者がすることだ。
気を入れ直し、必死に考える。
「周囲の警戒も忘れないでくれ。仲間がいたら厄介だ」
「はっ」
「口元には気を付けろ。水を放ってくるぞ」
「はっ」
思いつく限りのことを口にしながら、ひたすらに頭を回す。
考えろ、考えろ。
目を見開き、脳を焼き付かせ、記載されていた内容を何度も思い出せ。
薄っすらと姿が見えている水蛇は、とぐろを巻いていない。こう、うねうねと波打っており、串を刺して焼く前のような……ふと、水蛇ではなく蛇の記述について思い出す。
確か、蛇があぁいった体勢をとるときは――。
「エルペルト、走れ! あいつは飛ぶぞ!」
普通に考えれば、こいつなに言っているんだ? 蛇が飛ぶわけないだろ。と思われてもおかしくない言動だ。
しかし、エルペルトは笑うようなことも無く、真っ直ぐに走り出した。その信頼に胸が熱くなる。
視線を穴へと戻す。何事も起きなければ、俺が笑われるだけで終わる。それならそれでいい。……だが、そうはならなかった。
なにかが破裂したような音が聞こえ、砂埃が巻き起こる。思わず目を覆いかけたが、どうにか上を見た。
巨大な影だ。砂埃の上に、水蛇の頭が見えている。飛び上がった勢いで、穴の中にあった火も消えてしまっていた。
しかし、なにかが妙だ。影は真っ直ぐに伸びている。……そうか、地面に尾を突き刺しているのか、と気付いた。飛んだのではなく、体を伸ばしたのだ、と。
地上に上がるのか、逃げるための行動だと思っていたが、なにかが違う。
水蛇は尾を地面へ突き刺し、柱のような状態のまま、カパッと口を開いた。
使わせずに終わらせる予定だったのだが、残念ながら失敗だ。放たれた水が、線のように伸びていく。
「土壁や!」
リックの声で、上級魔法の使い手である五人のエルフが、仲間たちの前に巨大な土壁を出現させる。水蛇は尻尾を軸にぐるりと一回転し、周囲を薙ぎ払おうとした。
もっと深く、広い穴に落とすべきではとも話し合ったが、備えておいて良かったとしか言えない。そんなことをしていれば、俺たちは全滅していた。
水蛇は口を閉じ、体を震わせる。二発目の準備を始めているようだ。
しかし、それは間に合わないだろう。なんせ、俺たちの最強戦力は、すでに水蛇の元へ辿り着いている。
作戦は第二段階へ移行された。エルペルトを主軸に戦い、他が援護へ回るというものだ。
「いけえええええええええええええええ!」
自分をか、仲間をか。もしくは、その両方を鼓舞したいと思ったのかもしれない。
頑張れ、という想いを籠めて叫んだのだが……水蛇の体は、ボトリボトリといくつかの大きな塊になって落下していった。
「……ほわぁん?」
なにが起きたのか分からず、変な声を出す。穴の周囲も騒ぎとなっており、トボトボ向かうと、こちらに気付いたエルペルトが深く頭を下げた。
「皆さまが隙を作ってくださったこともあり、楽に討ち取ることに成功いたしました。さすがにあれだけ体が伸びきっていれば、斬ることも容易いというものです。しかし、これも全てセス殿下の作戦あってのことでしょう。さすがはセス殿下です」
前半は分かるのだが、後半はどうなんだろう。俺を褒める必要はあったのだろうか? 正直、エルペルトの力が五割で、残り四割はエルフ、一割がシヤたちだと思っている。
しかし、エルペルトが俺を立てようとしていることは分かっており、笑顔で答えた。
「俺は大したことをしていない。全て、ここにいる皆の力が合わさってこその結果だ! 勝鬨を上げろぉ!」
「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」
釈然とはしないが、これも俺の仕事なのだろうと理解する日になった。
「セスはんは、水蛇についてどれくらい知ってるんや?」
「そうですね。文献で見たことしか知りませんが……頭に鶏のような青いトサカがあり、全長は2~3m。分厚い鱗とぬめりの多い体で刃を滑らせる。水属性であるため、土属性の魔法に弱い、ということくらいです」
「概ね知ってるやん!」
「そうですかね。えへへ」
自分でも分かっているのだが、あまり褒められない人生を送って来たせいで、褒められると簡単に嬉しくなってしまう。つけ入られないように気を付けねばならない。
しかし、本を読んでいる時間が多かったので、子供時代は絵のついているものを好んだ結果なのだが、それが役に立つことは、俺の人生が無駄では無かったことの証明に感じられ、素直に嬉しい。
「まぁこっちはエルフや。ほぼ全員が四属性の初級魔法くらいなら使える。中級は半数。上級は10人おらんくらいやな」
「10人もいれば十分ですよ」
初級魔法は一体。
中級魔法は五体。
上級魔法は十体。
その上に位置する魔法もあるが、世界で数人しか使えない最上位魔法なので、主にこの三区分となっている。
現在、上級魔法を使えるエルフは10人。戦争であれば、初動で100人を殺せるということだ。
戦力を理解し、なるべく安全確実にと、自分の考えた策を述べることにした。
「では、作戦を――」
大した策では無い。少し考えれば、誰かは思いつくようなものだ。
しかし、だからこそだろう。特に反対する者はおらず、いくつかの点を修正はしたが、俺の作戦は可決された。
集落の畑地帯。その中央に、水蛇の好物である食料品を置き、後は現れるのを待っていた。
畑の上で戦うのは気が進まないが、ここを通った形跡がある以上、もっとも誘き出しやすい場所で備えるのは当然のことだろう。
オリアス砦から兵50を引き連れて現れたシヤは、頼んでおいたことの報告を始める。
「セス司令に申し付けられた通りに調べましたが、この辺りで水蛇の発見報告はありません」
「この十年以上の間、まともに調査は行っていない。水蛇以外にも魔物が増えているのか、もしくは誰かが意図的に放ったのか……」
前者の場合、頭が痛い。後者の場合、頭が痛い。
どちらにしろ頭が痛い結果でしかなく落ち込んでいると、妙な音が聞こえ始めた。
「来ましたな」
エルペルトの言葉に頷く。土砂崩れにも似た音に思えるのは、木々や柵などを崩しながら進んでいるからだろう。
僅かに身を乗り出し、水蛇の姿を確認する。……大きな縄が動いているようなものを想像していたが、とんでもない。巨大な水蛇は、低く分厚い壁がうねりながら向かって来ているような、そんな恐ろしいものに見えた。
身を戻し、両手で口を押さえる。心臓がバクバクと音を立て、今すぐにでも叫び出しいのを耐えるのに必死だった。
水蛇は食料の前で止まるかと思われたが、食料を取り囲むようにグルグルと回り出す。そして食料を守るようにとぐろを巻いた後、ようやく動きを止めた。
今だ、と誰もが思ったであろう瞬間、作戦通りにリックが叫んだ。
「今や!」
隠れていたエルフたちが姿を現し、五人が上級魔法を放つ。
土をボコボコと隆起させながら水蛇へ向かい……接触する直前で消える。
異変に気付いた水蛇が顔を上げるのと同時に、突如として現れた巨大な穴に水蛇の体が落下した。
「かかれ!」
シヤの合図で兵たちも穴へ向かって行く。
人を殺せる程度の威力しか無い穴だ。数mほどの深さしかない。
しかし、それを五人で行うことによって、穴の広さは大きくなっている。人間五十人を落として殺せる広さと深さだ。
戦闘は上が有利で、下が不利。そんな基本通りの戦況を作るために、俺は上級魔法を使用する作戦を立てた。
穴の縁からはエルフたちが土の初級魔法を降り注がせて頭を叩き、シヤたちは木々と火矢を打ち込む。
穴の中は恐らく地獄の窯さながらの光景だろう。見えないから予想だけど、たぶんそのはずだ。
最初から最大の火力で勝負を着ける。
俺たちの考えは間違っていなかったらしく、余剰とも思える火力での圧殺は成功しそうだった。
「勝った……?」
「いいえ、セス殿下。まだ戦闘中です。その言葉を紡いでも良いのは、勝利した後と決まっております」
軽口を叩いたことをエルペルトに窘められる。まだ戦闘中だ、気を抜くなと、その目は強く告げていた。
自分の胸を強く叩き、迂闊なことを口にしたと反省する。
俺には実力も無く、経験も無い。だからこそ、常に先を想像しなければならない。勝利の妄想をするなど、何が起きても対応できる歴戦の強者がすることだ。
気を入れ直し、必死に考える。
「周囲の警戒も忘れないでくれ。仲間がいたら厄介だ」
「はっ」
「口元には気を付けろ。水を放ってくるぞ」
「はっ」
思いつく限りのことを口にしながら、ひたすらに頭を回す。
考えろ、考えろ。
目を見開き、脳を焼き付かせ、記載されていた内容を何度も思い出せ。
薄っすらと姿が見えている水蛇は、とぐろを巻いていない。こう、うねうねと波打っており、串を刺して焼く前のような……ふと、水蛇ではなく蛇の記述について思い出す。
確か、蛇があぁいった体勢をとるときは――。
「エルペルト、走れ! あいつは飛ぶぞ!」
普通に考えれば、こいつなに言っているんだ? 蛇が飛ぶわけないだろ。と思われてもおかしくない言動だ。
しかし、エルペルトは笑うようなことも無く、真っ直ぐに走り出した。その信頼に胸が熱くなる。
視線を穴へと戻す。何事も起きなければ、俺が笑われるだけで終わる。それならそれでいい。……だが、そうはならなかった。
なにかが破裂したような音が聞こえ、砂埃が巻き起こる。思わず目を覆いかけたが、どうにか上を見た。
巨大な影だ。砂埃の上に、水蛇の頭が見えている。飛び上がった勢いで、穴の中にあった火も消えてしまっていた。
しかし、なにかが妙だ。影は真っ直ぐに伸びている。……そうか、地面に尾を突き刺しているのか、と気付いた。飛んだのではなく、体を伸ばしたのだ、と。
地上に上がるのか、逃げるための行動だと思っていたが、なにかが違う。
水蛇は尾を地面へ突き刺し、柱のような状態のまま、カパッと口を開いた。
使わせずに終わらせる予定だったのだが、残念ながら失敗だ。放たれた水が、線のように伸びていく。
「土壁や!」
リックの声で、上級魔法の使い手である五人のエルフが、仲間たちの前に巨大な土壁を出現させる。水蛇は尻尾を軸にぐるりと一回転し、周囲を薙ぎ払おうとした。
もっと深く、広い穴に落とすべきではとも話し合ったが、備えておいて良かったとしか言えない。そんなことをしていれば、俺たちは全滅していた。
水蛇は口を閉じ、体を震わせる。二発目の準備を始めているようだ。
しかし、それは間に合わないだろう。なんせ、俺たちの最強戦力は、すでに水蛇の元へ辿り着いている。
作戦は第二段階へ移行された。エルペルトを主軸に戦い、他が援護へ回るというものだ。
「いけえええええええええええええええ!」
自分をか、仲間をか。もしくは、その両方を鼓舞したいと思ったのかもしれない。
頑張れ、という想いを籠めて叫んだのだが……水蛇の体は、ボトリボトリといくつかの大きな塊になって落下していった。
「……ほわぁん?」
なにが起きたのか分からず、変な声を出す。穴の周囲も騒ぎとなっており、トボトボ向かうと、こちらに気付いたエルペルトが深く頭を下げた。
「皆さまが隙を作ってくださったこともあり、楽に討ち取ることに成功いたしました。さすがにあれだけ体が伸びきっていれば、斬ることも容易いというものです。しかし、これも全てセス殿下の作戦あってのことでしょう。さすがはセス殿下です」
前半は分かるのだが、後半はどうなんだろう。俺を褒める必要はあったのだろうか? 正直、エルペルトの力が五割で、残り四割はエルフ、一割がシヤたちだと思っている。
しかし、エルペルトが俺を立てようとしていることは分かっており、笑顔で答えた。
「俺は大したことをしていない。全て、ここにいる皆の力が合わさってこその結果だ! 勝鬨を上げろぉ!」
「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」
釈然とはしないが、これも俺の仕事なのだろうと理解する日になった。
0
お気に入りに追加
580
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。


エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です
カタナヅキ
ファンタジー
※弟子「究極魔法とかいいので収納魔法だけ教えて」師匠「Σ(゚Д゚)エー」
数十年前に異世界から召喚された人間が存在した。その人間は世界中のあらゆる魔法を習得し、伝説の魔術師と謳われた。だが、彼は全ての魔法を覚えた途端に人々の前から姿を消す。
ある日に一人の少年が山奥に暮らす老人の元に尋ねた。この老人こそが伝説の魔術師その人であり、少年は彼に弟子入りを志願する。老人は寿命を終える前に自分が覚えた魔法を少年に託し、伝説の魔術師の称号を彼に受け継いでほしいと思った。
「よし、収納魔法はちゃんと覚えたな?では、次の魔法を……」
「あ、そういうのいいんで」
「えっ!?」
異空間に物体を取り込む「収納魔法」を覚えると、魔術師の弟子は師の元から離れて旅立つ――
――後にこの少年は「収納魔導士」なる渾名を付けられることになる。

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる