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「問」を土から見て
38.
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予想。
全ては予想。
あとは、西耒路署の刑事さん方が明らかにするでしょう。
と数登珊牙。
歯朶尾灯。
入海暁一。
替え玉。
ルート。
薬物。
攪乱。
入海暁一をはじめから、刺すつもりでいた。
とすればどうなる。
一連の流れ。
安紫会で起きた抗争から攪乱に至る。
歯朶尾は入海を刺すために。
それに則るためだったか。
刺したことに関して。
歯朶尾が利用したものはなんだったか。
利用出来るものとして。
上がるのはまず替え玉のことだ。
入海暁一は替え玉だった。
伊豆蔵蒼士。
若頭の替え玉ということ。
そこをまず利用する。
次。
替え玉の件についての情報。
知る者と知らない者が居たということ。
情報として更にもある。
薬物のルートに関すること。
情報については隠すことが大前提。
その情報を知る者と知らない者が居た。
情報を上へ上げる部分と隠す部分。
その分かたれた状態を保ちつつ。
自身として必要な情報を、分かたれたままに。
入海の自ら隠す情報を外部へ洩らさず。
更に自分の持っている情報を入海に洩らさず。
入海のルート要員として、自身が組み込まれていたとしても。
歯朶尾はそこを利用して行動をした。
あくまで数登の予想を含むこと。
入海暁一の場合。
自身が替え玉であることを隠す行動を取るだろう。
特に組の外では気を付けるだろう。
そこもまた利用することが出来る。
先に把握して予測して機会を伺う。
そして鑑識という立場の出来ることもある。
警備の合間を縫った。
そして刺す。
五味田茅斗。
記者。
その五味田のデスク。
日刊「ルクオ」。
なんだかんだ日にちが経つ。
刑事たちが明らかにした情報が、徐々に公になりつつ。
警察発表だけを記事にするのか?
概ね記者が叩かれるのは。
警察発表だけを記事にするからだ。
とかいう意見がある。
例えば犯罪者側の素直な声がない。とか。
現場の大変さを全く把握していないだろう。とか。
そういう点での野次文句。
少なくとも、野次文句では個人的な部分までは見えない。
少なくとも、五味田自身は今回の件に関わりがある。
抗争に巻き込まれたという点である。
だから、警察発表だけを記事にしても。
そう言われてもなあ。
事情はこっちにだってあるしなあ。
出来るだけ叩かれたくはない、か。
日刊ルクオとして。
しかしまあ載せるにあたる内容の点で。
ちょっと待ったが掛かる場合だってある。
載せたくても載せないこともある。
そうすると。
ただただ簡素に載せるしかない枠とかも出てくる。
「簡素になり得ない情報ってのは?」
と菊壽作至は言った。
五味田のいる辺りに三人溜まる構図。
大体いつものパターン。
いま一人は釆原凰介。
日刊「ルクオ」の日中風景。
ニュースが飛び交う合間。
三人が丸く囲む部分だけは。
少し暇な空気が流れている。
時間は仕事に向かって飛んでいく。
てんやわんや。
それ自体に変わりはなく。
今は情報交換という体である。
菊壽。
「何か数登さんからは」
釆原。
「今は刑事の方がメインなんじゃない? 表に出ている情報はさ。うちでも大分扱っているからね」
「まあね。ただ九十九社さんってのは。個々人を中心に見ていく。というのが今回は特にそうだったようだし。立場立場で行かなかっただろう。立場立場で行くと見えない部分があったんだろうよ」
「あいつら警察じゃないから」
「そう。ただの葬儀屋だし」
菊壽はフンと鼻を鳴らして言った。
五味田。
「簡素とか。そういうのとかは、ですね。それとはまた話が別問題になるかもしれませんがね」
菊壽。
「何かあるのか」
「流れてくる細かい情報ですね」
五味田。
「そもそも俺ら抗争に巻き込まれてもいます」
「確かに。それはそう。大怪我はこいつだけだった。よかったな」
と菊壽。
釆原へ。
「そりゃどうも」
「うん」
「で。歯朶尾の件なんですけれど」
と五味田。
菊壽。
「刺したってのは認めたんだろう? 入海暁一を」
「そうですね。だからもう犯人扱いで大盛り上がりな」
「だからさ。分かり切った事実なんだから。歯朶尾はもういいから。歯朶尾周辺の詳しい、細かい情報については今回置いておこう」
「で」
と五味田。
「歯朶尾は。力江とかいう遺体が遺棄されていた場所を前もって。知っていたんじゃないかっていうことらしいですが」
「歯朶尾はもういい」
「でもこれ。公になっていない情報ですよ。公になっていない情報だからこそ、この場に合うでしょう。菊壽さんはそう思いません」
「確かにな」
「そうでしょ」
「で?」
「で」
「力江航靖を殺ったのって歯朶尾じゃないんだろう」
「そうですね」
「洋見仁重? 安紫会の。奴も幹部候補だって云われたけれど。今回の件でどうなんだろうね」
「薬物事案の方が色濃いんじゃないか。今」
と釆原。
「それと入海と歯朶尾に関する見方。そっちの方が重大事案だろう」
「そうかもしれない。まあ洋見は組員だし。力江航靖は阿麻橘組だ。のっけから殺されていた組員ね」
と菊壽。
「力江の遺体は河川敷で、頭部だけ山中にあった。だっけ」
五味田。
「そうです。大体そうですね」
「その頭部を遺棄したのも。洋見なの」
と菊壽。
五味田。
「恐らくは。そう。ただその辺よく聞いていないので」
「遺棄された場所は。入海暁一の遺体が発見された場所と同じ」
「そう。力江の頭部は山中にて。そんで身体の方は河川敷でした」
釆原は口を押えた。
「あ」
と五味田。
釆原。
五味田。
「ええと。それで、たぶん河川敷で見つかった身体の方ですけれど。そっちはすぐに阿麻橘組に見つかったんでしょうから」
「だが頭部は山中で、大分あとに見つかった」
と菊壽。
「そう。頭部は身体が見つかった後よりも更に後ですね」
「うん。珊牙が現場へ行った」
と釆原。
気を取り直したか。
「九十九社と西耒路署の刑事でね」
「たぶん九十九社の方が非公式でもついて行ったんでしょう。それで、力江の頭部は入海暁一が殺されて、遺棄されていた場所。というか同時に見つかったわけでしょう。ただね」
と五味田は一呼吸。
「なに」
と菊壽。
「ただですね。洋見仁重が安紫会の伊豆蔵蒼士。替え玉じゃない方ですよ」
「伊豆蔵蒼士の方ね」
「そう。で、その替え玉でない本当の伊豆蔵蒼士を殺ったのかっていうと。そうではないらしくて」
「らしいって言うけれど」
菊壽は椅子の背凭れへ反り返った。
「お前さ。情報が流れて来たんじゃなくて。情報を取りに行っている感じじゃないの?」
「今回そういう伝手が出来ましたからね。いろいろ」
五味田。
「刑事から直接でなくとも、組員に近しい人からの情報とか。いろいろあるわけで」
菊壽。
「でも力江と入海の発見場所が同じって云うならさ。洋見はあらかじめ歯朶尾のこととか。歯朶尾がやったであろう何かの一つでも。予め知っていたんだろうか? あるいは、歯朶尾の方から洋見へ伝えていたか」
「歯朶尾が入海を本当に遺棄したんなら。そうかもしれない」
と釆原。
五味田。
「あのですね。刑事からは何も訊いていませんからね」
「分かった」
と菊壽。
五味田は姿勢を直す。
「それで。協力関係というか」
と言って。
釆原。
「情報として隠す部分が多かったんだろう」
「ええ。そう」
「歯朶尾は。安紫会と関わりがあったってことになるが。そこはまず歯朶尾自身で隠す必要があった。洋見は洋見で安紫会の幹部候補だろう。洋見の意思かは分からないが、とにかく洋見が力江を殺ったということは。安紫会側としては伏せていたわけだし」
「自供はしたがな」
と菊壽。
釆原。
「洋見が力江を殺ったっていう動機は何なの」
「薬物のルートに関すること。主には」
「洋見なりにさ。組の薬物ご法度を護りたいとかそんなだった。だが奴は組員だからさ。その方法がな」
と菊壽。
「歯朶尾が入海を刺した。歯朶尾も安紫会の薬物の件と、入海に対して思うところがあった。それが洋見と歯朶尾に似通った点だった? のかもね」
「それで協力関係か」
と釆原。
「そう。あるとすればの話だ」
と菊壽。
「力江は結局。その《クロコダイル》の薬物ルートに関わって。その薬物で洋見に殺られたっていう展開だな」
「うん」
「しかも。その《クロコダイル》特殊ルートに歯朶尾と入海が噛んでいた。伊豆蔵蒼士と入海が合意の元にあったにせよないにせよ。西耒路署と劒物大学病院の間に出来ちまった薬物ルートってことになる。かなり大問題だよな」
「西耒路署からみても病院からみても。そうだろうな」
「そうすね」
と五味田。
「でも結局そのルートの存在を今調べているのも。西耒路署なわけで」
「うん」
と菊壽。
「で。今はご法度の話になる。安紫会で薬物はご法度だった。クロコダイルは例に漏れないな。薬物の資金源ルートが出来ていたということ自体。安紫会としてもそれは問題だった。更にそれが表に出ていなかった。情報としてね」
「そこを利用したんでしょう」
と五味田。
「表に出るはずの問題。それを双方が双方であっち隠しこっち隠しを繰り返して見えなくなっていた。ならばです。その隠しているという状態を逆に利用して。薬物ルートを食い止める側に使用する。とね。その方法としては殺人になったわけですけれども。幹部候補及び鑑識が殺人に手を染めちまった。でも」
と五味田。
「簡単に考えればですよ。行けばよかったんですよ歯医者に」
「なんで」
と釆原。
五味田。
「歯科あるでしょう。釆原さんの行っている劒物大学病院にも科くらいあるんじゃないです」
「歯科医がどうとかじゃなくて」
「あの」
と五味田。
姿勢を正して言い始める。
「数登さんが頭蓋骨を掘り起こしたっていう段階で。なんかおかしいぞって思っておけばよかったんです。だって、何かサファイアとか嵌っていたんでしょう?」
「ああ。奥歯のところに嵌っていたって」
と菊壽。
「サファイアだろう。通常だったら嵌めるような代物じゃあ」
「そう。そうです。通常そんなもの嵌めるのなんていません」
と五味田。
「そんなの嵌めるのは。ほら。同じ」
「同じ?」
「刺青入れたりする感覚とか。要するに組関係とかじゃないとやらないと思います」
「それだってやる奴は限られるだろうがね。鮫淵は入っていたな。刺青」
と菊壽。
五味田。
「そうです。だからルートとかなんとかより。頭蓋骨から辿れたんじゃないですか?」
「なんで」
「その頭蓋骨は伊豆蔵だったんでしょう。サファイア手術の記録とかです」
「そんな記録あるのかなあ」
「何処で伊豆蔵がサファイアを嵌めたかって真っ先に調べていたら。とすれば歯科医が適当じゃありませんかね」
「そういうのはもっと大工事になるんじゃないか。歯科医より。外科手術か大工とか。俺はよく分からないが」
菊壽。
「でもま。入海は歯朶尾に殺られずに、自分から替え玉を辞めていたかもしれない。替え玉だってばれるからな。入海の奥歯を調べれば一発だったかもね」
しばらく間。
「で」
と五味田。
「改めて時系列に行きます」
釆原と菊壽は肯いた。
「洋見仁重が阿麻橘組の力江航靖を殺害。そのあと。伊豆蔵の若頭が殺されたってことになります。ただ、いろんな奴らが膜を張っていた。それはさっきも言いました」
「うん」
と釆原。
五味田。
「続けます。今言った時系列から言ったらです。洋見は入海が。伊豆蔵の替え玉やっていたってことを知らない時から。歯朶尾と協力関係にあったのかもしれない」
「知っていたらさ。抗争が起きる前に。入海は真っ先に洋見に殺られていた可能性もある」
と菊壽が補足。
五味田。
「ええ。で」
「うん」
「伊豆蔵が殺されたあと。入海の失踪兼安紫会と阿麻橘組の抗争ですね」
「気になったんだけれど。伊豆蔵を殺ったのは歯朶尾なのか」
「いえ。阿麻橘組へ疑いが掛かっているようです。現時点ではね」
「ふむ」
「薬物ルートだけは食い止めたってことになる。今のところはね」
と釆原。
五味田。
「そうなるでしょうね。鮫淵柊翠って親分継続なんですか?」
「直接行って訊いた方が早いんじゃないか」
と菊壽。
五味田。
「なんで」
「一回安紫会の事務所にも出向いているわけだし。俺ら」
「実際敷地内に入りましたね」
と五味田。
「監視カメラとかに俺たち映っていましたかね」
「抗争の時に壊れてなければな。可能性はあると思う」
「なら。映像に映っていた戦闘シーンで一応。歓迎されたりするのかな」
五味田は言った。
菊壽。
「それはないだろ」
「そうすか」
「だがまあね。だんだん元に戻りつつあると思うよ。抗争の起きる前にな。週刊誌の方はまた親分の方へ熱くなっているから」
と菊壽。
釆原と五味田。
皿は出て来ただろうか。
上野焼の皿の五点。
今はまだ調査中という。
皿というのは。
歯朶尾が分析して釉薬から。
上野焼と決めた皿のこと。
安紫会の事務所からは、いまだに見つからない。
安紫会にあるのかすらも分からない状態。
それに見つからないとすれば。
そもそも調査する場所が違うのかもしれない。
鮫淵は鮫淵で。
趣味の焼物なのだからと。
いろいろ話を訊かれているという。
そしてあれよあれよと時間が飛んでいき。
一時間、三時間。あるいは翌日。
正式に歯朶尾からの証言が取れていく。
日刊ルクオにも情報が来て。
その発表を載せていく。
ルクオはウェブでの情報発行なんかもやっている。
だがこちらは会員制だ。
ので。
歯朶尾の証言の発表に関しては無料版ではほぼ分からない。
新聞、雑誌、週刊誌。
西耒路署内でも処分について。
上野焼の皿。
「何かそっちに情報行っているか?」
と釆原。
今日は空いている。
午後の時間。
ソファの待合で人はまばら。
隣に数登珊牙。
「いいえ」
と言った。
「歯朶尾さんの証言に関しては。入海を刺したことについてですね」
今は整形外科である。
「薬物ルートに関しても。いずれは記事にしていくつもり。入海本人も亡くなっているし」
「ええ」
「よく診てくれたと思う。ここの病院ではな」
劒物大学病院。
先日来ていた整形外科。
「なるほど」
と数登。
釆原。
「どう思う」
「何がです」
「今またこうして劒物大学病院には来られているがね」
「忙しくなるのでしょう。西耒路署、そしてこの病院も」
「処分とかその他か」
「僕の予想が当たっているとすれば」
「薬物ルートのことで本当に。確証になるものが出たらだ。軸丸さんにも影響は出るだろうか」
「少なくとも非があるのは入海暁一」
と数登。
「薬物ルートとなれば。多少影響は出るでしょう。ですが軸丸さんは予想のことも含めて。刑事さんとお話出来る材料をお持ちです」
「菊壽の軸丸への評価は酷かったが。チャットだがね。何でも文面で判断出来る訳じゃないな」
と釆原。
数登は苦笑した。
「オウスケが云うんですね」
「言うよ。今言った」
整形外科の待合。
入海暁一の名前はない。
今回は代わりの先生が担当するというが。
誰が来るのかはランダムなのだそうで。
数人から話を訊いた。
それは訊いたが、入海本人からではないのだ。
死んだ入海から「替え玉」に関することは何も聞いていない。
亡くなっている以上。何も証言を取ることは出来ない。
相手方。
今回診察するであろう医師だ。
俺の診察をするときにどんな表情をするだろう。
そもそも。安紫会の動きを追ったのが始まりだった。
と釆原は思ったりする。
扉が開いた。
出て来たのは清水颯斗。
数登は眼をぱちくりした。
「おや奇遇ですね」
と清水。
数登と釆原。
二人で隣り合っていたが。
その真ん中を開けた。
清水はそこへ腰掛けた。
「その後、どうです」
と釆原。
「いや、署もてんやわんやですよ。歯朶尾のこともありますから」
と清水は苦笑。
「忙しいですがね。今日は私も診てもらう日だったもんで」
「奇遇です」
と数登。
「良いでしょうか一つ」
と清水。
数登と釆原は眼をぱちくり。
「歯朶尾が盗ったと証言した品物はね。四つではなく三つだということでしてね」
「そんなこと仰ってしまって大丈夫なんでしょうかね」
と釆原。
清水。
「世間話だと思ってくださいな。あまり盗みに関しては。今回は重要ではなくなりましたから」
「重要でないというか」
と釆原。
「陰に隠れちまっただけでしょう」
「そうなりますね。ただ盗みに関して言うなら。世間話程度で出来るということです」
清水は微笑んだ。
「残り一つは扇子だったそうですがね。四つのうちの一つ」
「それはバーチャルアイドルの件で?」
「ええ。そうです。お名前を出すならば。賀籠六絢月咲さんですね」
「世間話ですね」
と数登も微笑む。
清水。
「そう。あなたも関わりがあったでしょうがね。あくまでも個人的な依頼だというのが元々になります。それで。あくまでも三つだったと。歯朶尾の関わったのは三つだと」
「なるほど」
と釆原。
「残る一つには関わっていないと」
「そう。扇子に関してです。しかし、賀籠六さんは扇子もなくしたということだった」
「思い込み。でしょうかね」
と釆原。
「ほう」
と数登。
「単純に。賀籠六さんが扇子をなくしていたと思い込んでいた。そういう可能性もある」
「歯朶尾に関しては何も変わらないけれど。賀籠六さんに関しては思い込み。その可能性であると良いですがねえ」
と清水。
「ただ扇子は出て来たんだろう」
と釆原。
数登へ。
「ええ。今度。賀籠六さんご本人にお話を訊くか。あるいは」
と数登。
「彼女のなくし物は。四つではなく三つだったと。そうならいい」
「そうだな」
と釆原。
名前を呼ばれた。
扉の向こうから声を張り上げている医師。
その声である。
釆原は立ち上がった。
診察室への扉前へ。
数登も腰を浮かした。
そして再び腰を下ろす。
清水もまだ居る。
釆原は扉を開けて。
《完》
全ては予想。
あとは、西耒路署の刑事さん方が明らかにするでしょう。
と数登珊牙。
歯朶尾灯。
入海暁一。
替え玉。
ルート。
薬物。
攪乱。
入海暁一をはじめから、刺すつもりでいた。
とすればどうなる。
一連の流れ。
安紫会で起きた抗争から攪乱に至る。
歯朶尾は入海を刺すために。
それに則るためだったか。
刺したことに関して。
歯朶尾が利用したものはなんだったか。
利用出来るものとして。
上がるのはまず替え玉のことだ。
入海暁一は替え玉だった。
伊豆蔵蒼士。
若頭の替え玉ということ。
そこをまず利用する。
次。
替え玉の件についての情報。
知る者と知らない者が居たということ。
情報として更にもある。
薬物のルートに関すること。
情報については隠すことが大前提。
その情報を知る者と知らない者が居た。
情報を上へ上げる部分と隠す部分。
その分かたれた状態を保ちつつ。
自身として必要な情報を、分かたれたままに。
入海の自ら隠す情報を外部へ洩らさず。
更に自分の持っている情報を入海に洩らさず。
入海のルート要員として、自身が組み込まれていたとしても。
歯朶尾はそこを利用して行動をした。
あくまで数登の予想を含むこと。
入海暁一の場合。
自身が替え玉であることを隠す行動を取るだろう。
特に組の外では気を付けるだろう。
そこもまた利用することが出来る。
先に把握して予測して機会を伺う。
そして鑑識という立場の出来ることもある。
警備の合間を縫った。
そして刺す。
五味田茅斗。
記者。
その五味田のデスク。
日刊「ルクオ」。
なんだかんだ日にちが経つ。
刑事たちが明らかにした情報が、徐々に公になりつつ。
警察発表だけを記事にするのか?
概ね記者が叩かれるのは。
警察発表だけを記事にするからだ。
とかいう意見がある。
例えば犯罪者側の素直な声がない。とか。
現場の大変さを全く把握していないだろう。とか。
そういう点での野次文句。
少なくとも、野次文句では個人的な部分までは見えない。
少なくとも、五味田自身は今回の件に関わりがある。
抗争に巻き込まれたという点である。
だから、警察発表だけを記事にしても。
そう言われてもなあ。
事情はこっちにだってあるしなあ。
出来るだけ叩かれたくはない、か。
日刊ルクオとして。
しかしまあ載せるにあたる内容の点で。
ちょっと待ったが掛かる場合だってある。
載せたくても載せないこともある。
そうすると。
ただただ簡素に載せるしかない枠とかも出てくる。
「簡素になり得ない情報ってのは?」
と菊壽作至は言った。
五味田のいる辺りに三人溜まる構図。
大体いつものパターン。
いま一人は釆原凰介。
日刊「ルクオ」の日中風景。
ニュースが飛び交う合間。
三人が丸く囲む部分だけは。
少し暇な空気が流れている。
時間は仕事に向かって飛んでいく。
てんやわんや。
それ自体に変わりはなく。
今は情報交換という体である。
菊壽。
「何か数登さんからは」
釆原。
「今は刑事の方がメインなんじゃない? 表に出ている情報はさ。うちでも大分扱っているからね」
「まあね。ただ九十九社さんってのは。個々人を中心に見ていく。というのが今回は特にそうだったようだし。立場立場で行かなかっただろう。立場立場で行くと見えない部分があったんだろうよ」
「あいつら警察じゃないから」
「そう。ただの葬儀屋だし」
菊壽はフンと鼻を鳴らして言った。
五味田。
「簡素とか。そういうのとかは、ですね。それとはまた話が別問題になるかもしれませんがね」
菊壽。
「何かあるのか」
「流れてくる細かい情報ですね」
五味田。
「そもそも俺ら抗争に巻き込まれてもいます」
「確かに。それはそう。大怪我はこいつだけだった。よかったな」
と菊壽。
釆原へ。
「そりゃどうも」
「うん」
「で。歯朶尾の件なんですけれど」
と五味田。
菊壽。
「刺したってのは認めたんだろう? 入海暁一を」
「そうですね。だからもう犯人扱いで大盛り上がりな」
「だからさ。分かり切った事実なんだから。歯朶尾はもういいから。歯朶尾周辺の詳しい、細かい情報については今回置いておこう」
「で」
と五味田。
「歯朶尾は。力江とかいう遺体が遺棄されていた場所を前もって。知っていたんじゃないかっていうことらしいですが」
「歯朶尾はもういい」
「でもこれ。公になっていない情報ですよ。公になっていない情報だからこそ、この場に合うでしょう。菊壽さんはそう思いません」
「確かにな」
「そうでしょ」
「で?」
「で」
「力江航靖を殺ったのって歯朶尾じゃないんだろう」
「そうですね」
「洋見仁重? 安紫会の。奴も幹部候補だって云われたけれど。今回の件でどうなんだろうね」
「薬物事案の方が色濃いんじゃないか。今」
と釆原。
「それと入海と歯朶尾に関する見方。そっちの方が重大事案だろう」
「そうかもしれない。まあ洋見は組員だし。力江航靖は阿麻橘組だ。のっけから殺されていた組員ね」
と菊壽。
「力江の遺体は河川敷で、頭部だけ山中にあった。だっけ」
五味田。
「そうです。大体そうですね」
「その頭部を遺棄したのも。洋見なの」
と菊壽。
五味田。
「恐らくは。そう。ただその辺よく聞いていないので」
「遺棄された場所は。入海暁一の遺体が発見された場所と同じ」
「そう。力江の頭部は山中にて。そんで身体の方は河川敷でした」
釆原は口を押えた。
「あ」
と五味田。
釆原。
五味田。
「ええと。それで、たぶん河川敷で見つかった身体の方ですけれど。そっちはすぐに阿麻橘組に見つかったんでしょうから」
「だが頭部は山中で、大分あとに見つかった」
と菊壽。
「そう。頭部は身体が見つかった後よりも更に後ですね」
「うん。珊牙が現場へ行った」
と釆原。
気を取り直したか。
「九十九社と西耒路署の刑事でね」
「たぶん九十九社の方が非公式でもついて行ったんでしょう。それで、力江の頭部は入海暁一が殺されて、遺棄されていた場所。というか同時に見つかったわけでしょう。ただね」
と五味田は一呼吸。
「なに」
と菊壽。
「ただですね。洋見仁重が安紫会の伊豆蔵蒼士。替え玉じゃない方ですよ」
「伊豆蔵蒼士の方ね」
「そう。で、その替え玉でない本当の伊豆蔵蒼士を殺ったのかっていうと。そうではないらしくて」
「らしいって言うけれど」
菊壽は椅子の背凭れへ反り返った。
「お前さ。情報が流れて来たんじゃなくて。情報を取りに行っている感じじゃないの?」
「今回そういう伝手が出来ましたからね。いろいろ」
五味田。
「刑事から直接でなくとも、組員に近しい人からの情報とか。いろいろあるわけで」
菊壽。
「でも力江と入海の発見場所が同じって云うならさ。洋見はあらかじめ歯朶尾のこととか。歯朶尾がやったであろう何かの一つでも。予め知っていたんだろうか? あるいは、歯朶尾の方から洋見へ伝えていたか」
「歯朶尾が入海を本当に遺棄したんなら。そうかもしれない」
と釆原。
五味田。
「あのですね。刑事からは何も訊いていませんからね」
「分かった」
と菊壽。
五味田は姿勢を直す。
「それで。協力関係というか」
と言って。
釆原。
「情報として隠す部分が多かったんだろう」
「ええ。そう」
「歯朶尾は。安紫会と関わりがあったってことになるが。そこはまず歯朶尾自身で隠す必要があった。洋見は洋見で安紫会の幹部候補だろう。洋見の意思かは分からないが、とにかく洋見が力江を殺ったということは。安紫会側としては伏せていたわけだし」
「自供はしたがな」
と菊壽。
釆原。
「洋見が力江を殺ったっていう動機は何なの」
「薬物のルートに関すること。主には」
「洋見なりにさ。組の薬物ご法度を護りたいとかそんなだった。だが奴は組員だからさ。その方法がな」
と菊壽。
「歯朶尾が入海を刺した。歯朶尾も安紫会の薬物の件と、入海に対して思うところがあった。それが洋見と歯朶尾に似通った点だった? のかもね」
「それで協力関係か」
と釆原。
「そう。あるとすればの話だ」
と菊壽。
「力江は結局。その《クロコダイル》の薬物ルートに関わって。その薬物で洋見に殺られたっていう展開だな」
「うん」
「しかも。その《クロコダイル》特殊ルートに歯朶尾と入海が噛んでいた。伊豆蔵蒼士と入海が合意の元にあったにせよないにせよ。西耒路署と劒物大学病院の間に出来ちまった薬物ルートってことになる。かなり大問題だよな」
「西耒路署からみても病院からみても。そうだろうな」
「そうすね」
と五味田。
「でも結局そのルートの存在を今調べているのも。西耒路署なわけで」
「うん」
と菊壽。
「で。今はご法度の話になる。安紫会で薬物はご法度だった。クロコダイルは例に漏れないな。薬物の資金源ルートが出来ていたということ自体。安紫会としてもそれは問題だった。更にそれが表に出ていなかった。情報としてね」
「そこを利用したんでしょう」
と五味田。
「表に出るはずの問題。それを双方が双方であっち隠しこっち隠しを繰り返して見えなくなっていた。ならばです。その隠しているという状態を逆に利用して。薬物ルートを食い止める側に使用する。とね。その方法としては殺人になったわけですけれども。幹部候補及び鑑識が殺人に手を染めちまった。でも」
と五味田。
「簡単に考えればですよ。行けばよかったんですよ歯医者に」
「なんで」
と釆原。
五味田。
「歯科あるでしょう。釆原さんの行っている劒物大学病院にも科くらいあるんじゃないです」
「歯科医がどうとかじゃなくて」
「あの」
と五味田。
姿勢を正して言い始める。
「数登さんが頭蓋骨を掘り起こしたっていう段階で。なんかおかしいぞって思っておけばよかったんです。だって、何かサファイアとか嵌っていたんでしょう?」
「ああ。奥歯のところに嵌っていたって」
と菊壽。
「サファイアだろう。通常だったら嵌めるような代物じゃあ」
「そう。そうです。通常そんなもの嵌めるのなんていません」
と五味田。
「そんなの嵌めるのは。ほら。同じ」
「同じ?」
「刺青入れたりする感覚とか。要するに組関係とかじゃないとやらないと思います」
「それだってやる奴は限られるだろうがね。鮫淵は入っていたな。刺青」
と菊壽。
五味田。
「そうです。だからルートとかなんとかより。頭蓋骨から辿れたんじゃないですか?」
「なんで」
「その頭蓋骨は伊豆蔵だったんでしょう。サファイア手術の記録とかです」
「そんな記録あるのかなあ」
「何処で伊豆蔵がサファイアを嵌めたかって真っ先に調べていたら。とすれば歯科医が適当じゃありませんかね」
「そういうのはもっと大工事になるんじゃないか。歯科医より。外科手術か大工とか。俺はよく分からないが」
菊壽。
「でもま。入海は歯朶尾に殺られずに、自分から替え玉を辞めていたかもしれない。替え玉だってばれるからな。入海の奥歯を調べれば一発だったかもね」
しばらく間。
「で」
と五味田。
「改めて時系列に行きます」
釆原と菊壽は肯いた。
「洋見仁重が阿麻橘組の力江航靖を殺害。そのあと。伊豆蔵の若頭が殺されたってことになります。ただ、いろんな奴らが膜を張っていた。それはさっきも言いました」
「うん」
と釆原。
五味田。
「続けます。今言った時系列から言ったらです。洋見は入海が。伊豆蔵の替え玉やっていたってことを知らない時から。歯朶尾と協力関係にあったのかもしれない」
「知っていたらさ。抗争が起きる前に。入海は真っ先に洋見に殺られていた可能性もある」
と菊壽が補足。
五味田。
「ええ。で」
「うん」
「伊豆蔵が殺されたあと。入海の失踪兼安紫会と阿麻橘組の抗争ですね」
「気になったんだけれど。伊豆蔵を殺ったのは歯朶尾なのか」
「いえ。阿麻橘組へ疑いが掛かっているようです。現時点ではね」
「ふむ」
「薬物ルートだけは食い止めたってことになる。今のところはね」
と釆原。
五味田。
「そうなるでしょうね。鮫淵柊翠って親分継続なんですか?」
「直接行って訊いた方が早いんじゃないか」
と菊壽。
五味田。
「なんで」
「一回安紫会の事務所にも出向いているわけだし。俺ら」
「実際敷地内に入りましたね」
と五味田。
「監視カメラとかに俺たち映っていましたかね」
「抗争の時に壊れてなければな。可能性はあると思う」
「なら。映像に映っていた戦闘シーンで一応。歓迎されたりするのかな」
五味田は言った。
菊壽。
「それはないだろ」
「そうすか」
「だがまあね。だんだん元に戻りつつあると思うよ。抗争の起きる前にな。週刊誌の方はまた親分の方へ熱くなっているから」
と菊壽。
釆原と五味田。
皿は出て来ただろうか。
上野焼の皿の五点。
今はまだ調査中という。
皿というのは。
歯朶尾が分析して釉薬から。
上野焼と決めた皿のこと。
安紫会の事務所からは、いまだに見つからない。
安紫会にあるのかすらも分からない状態。
それに見つからないとすれば。
そもそも調査する場所が違うのかもしれない。
鮫淵は鮫淵で。
趣味の焼物なのだからと。
いろいろ話を訊かれているという。
そしてあれよあれよと時間が飛んでいき。
一時間、三時間。あるいは翌日。
正式に歯朶尾からの証言が取れていく。
日刊ルクオにも情報が来て。
その発表を載せていく。
ルクオはウェブでの情報発行なんかもやっている。
だがこちらは会員制だ。
ので。
歯朶尾の証言の発表に関しては無料版ではほぼ分からない。
新聞、雑誌、週刊誌。
西耒路署内でも処分について。
上野焼の皿。
「何かそっちに情報行っているか?」
と釆原。
今日は空いている。
午後の時間。
ソファの待合で人はまばら。
隣に数登珊牙。
「いいえ」
と言った。
「歯朶尾さんの証言に関しては。入海を刺したことについてですね」
今は整形外科である。
「薬物ルートに関しても。いずれは記事にしていくつもり。入海本人も亡くなっているし」
「ええ」
「よく診てくれたと思う。ここの病院ではな」
劒物大学病院。
先日来ていた整形外科。
「なるほど」
と数登。
釆原。
「どう思う」
「何がです」
「今またこうして劒物大学病院には来られているがね」
「忙しくなるのでしょう。西耒路署、そしてこの病院も」
「処分とかその他か」
「僕の予想が当たっているとすれば」
「薬物ルートのことで本当に。確証になるものが出たらだ。軸丸さんにも影響は出るだろうか」
「少なくとも非があるのは入海暁一」
と数登。
「薬物ルートとなれば。多少影響は出るでしょう。ですが軸丸さんは予想のことも含めて。刑事さんとお話出来る材料をお持ちです」
「菊壽の軸丸への評価は酷かったが。チャットだがね。何でも文面で判断出来る訳じゃないな」
と釆原。
数登は苦笑した。
「オウスケが云うんですね」
「言うよ。今言った」
整形外科の待合。
入海暁一の名前はない。
今回は代わりの先生が担当するというが。
誰が来るのかはランダムなのだそうで。
数人から話を訊いた。
それは訊いたが、入海本人からではないのだ。
死んだ入海から「替え玉」に関することは何も聞いていない。
亡くなっている以上。何も証言を取ることは出来ない。
相手方。
今回診察するであろう医師だ。
俺の診察をするときにどんな表情をするだろう。
そもそも。安紫会の動きを追ったのが始まりだった。
と釆原は思ったりする。
扉が開いた。
出て来たのは清水颯斗。
数登は眼をぱちくりした。
「おや奇遇ですね」
と清水。
数登と釆原。
二人で隣り合っていたが。
その真ん中を開けた。
清水はそこへ腰掛けた。
「その後、どうです」
と釆原。
「いや、署もてんやわんやですよ。歯朶尾のこともありますから」
と清水は苦笑。
「忙しいですがね。今日は私も診てもらう日だったもんで」
「奇遇です」
と数登。
「良いでしょうか一つ」
と清水。
数登と釆原は眼をぱちくり。
「歯朶尾が盗ったと証言した品物はね。四つではなく三つだということでしてね」
「そんなこと仰ってしまって大丈夫なんでしょうかね」
と釆原。
清水。
「世間話だと思ってくださいな。あまり盗みに関しては。今回は重要ではなくなりましたから」
「重要でないというか」
と釆原。
「陰に隠れちまっただけでしょう」
「そうなりますね。ただ盗みに関して言うなら。世間話程度で出来るということです」
清水は微笑んだ。
「残り一つは扇子だったそうですがね。四つのうちの一つ」
「それはバーチャルアイドルの件で?」
「ええ。そうです。お名前を出すならば。賀籠六絢月咲さんですね」
「世間話ですね」
と数登も微笑む。
清水。
「そう。あなたも関わりがあったでしょうがね。あくまでも個人的な依頼だというのが元々になります。それで。あくまでも三つだったと。歯朶尾の関わったのは三つだと」
「なるほど」
と釆原。
「残る一つには関わっていないと」
「そう。扇子に関してです。しかし、賀籠六さんは扇子もなくしたということだった」
「思い込み。でしょうかね」
と釆原。
「ほう」
と数登。
「単純に。賀籠六さんが扇子をなくしていたと思い込んでいた。そういう可能性もある」
「歯朶尾に関しては何も変わらないけれど。賀籠六さんに関しては思い込み。その可能性であると良いですがねえ」
と清水。
「ただ扇子は出て来たんだろう」
と釆原。
数登へ。
「ええ。今度。賀籠六さんご本人にお話を訊くか。あるいは」
と数登。
「彼女のなくし物は。四つではなく三つだったと。そうならいい」
「そうだな」
と釆原。
名前を呼ばれた。
扉の向こうから声を張り上げている医師。
その声である。
釆原は立ち上がった。
診察室への扉前へ。
数登も腰を浮かした。
そして再び腰を下ろす。
清水もまだ居る。
釆原は扉を開けて。
《完》
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