僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

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過去~高校生編2

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-side 水野慶太-


制服が半袖から長袖に衣替えになって、厚手のものを着ないと寒くてやり過ごせない季節になってくる。


もうすぐ、一年。

僕と玲人が「恋人」という関係になって一年になろうとしている。

その中で本当に恋人と呼べる期間はきっと半分足らずなのだろうけど。


ふと廊下で立ち止まり、掲示板に目が行く。

先日あったテストの結果が張り出されていた。


一、水野慶太
二、桐生玲人


きっと一年前と変わらないのはこれだけ。

同じ位置、いつも並んで。

このうすっぺらい紙の上でだけ、僕は対等にそして誇らしく玲人の隣にいられるんだ。

前は全く興味がなかったのに、最近では張り出されるたびに確認せずにはいられなくなってしまった。

そしていつものポジションに名前がそろってることを確認しては胸をなでおろすんだ。


これだけは変わらない。

そっと、二人の名前の部分を指でなぞる。


(お前たちはいいね。いつも一緒で仲良しで。)


少しの間だけ僕はそれを眺めて、なぜか笑えてしまい、そしてそこから遠ざかった。


わずかに。

本当にわずかにだけれど。

慣れてきているのかもしれない。


玲人の浮気に。

もちろんそれは頭でだけなのだけれど。


最近では現場に遭遇したりなどしなくても、浮気したかどうか分かるようになって来た。

誰かを抱いた後に玲人に会うと、絶対に彼からはタバコの匂いがするから。


それはわざとなのか、無意識なのか。

いつも決まって。


その匂いを嗅ぐたびに僕の心はペキペキと少しずつ砕けていく。


でも、神様は意地悪だから。

その心を完全に砕けさせてくれなどしないんだ。


全部砕け散ってしまえばいいのに。

そうすればこの身を裂くような痛みも感じなくてすむのに。


でも、本当に神様がそうしてくれたらきっと僕はお願いする。

「戻してください」と。


だって心がないと感じることも出来ないでしょ?

玲人の事を愛してるって。

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